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外見は美少女

「ていうか、私が美少女って事実を今更再確認してどうするのよ。崇めるの?」

「そういうところもだぞ」

「余は別に外見が全てなどと狭量なことを言う男ではないつもりだが……これほど褒める場所の少ない奴も珍しいな」

「褒める場所がそこしかないという意味では外見が全てではあるのではないでしょうか?」

「全員ぶっ飛ばされたいの?」


 もっとあるでしょうよ、褒めるとこ。でも美少女と認めてるところは許せる。よし、落ち着いた。


「まあ、いいわ。私が美少女だったらなんだってのよ。美少女っぷりで平和になるの?」

「当たらずとも遠からずといったところか」

「え、マジで?」


 まさかアルヴァがそんなこと言うなんて、という驚きもあるけど……噓でしょ、確かにこの外見は最強美少女だと思ってたけど、歌の力に頼るまでもなく争いを止めるレベルだったってこと……?


「何を考えているかは知らんが違うぞ」

「そうよね」

「正確には好意的にとられやすい外見ということだ。これは交渉において非常に重要だ」

「外見至上主義ってやつ? あんまり好きじゃないのよね、そういうの」

「散々美少女がどうのとほざいた口で言うと面白いな。それで、だ。俺たちが行くのと、貴様のような人間の美少女に見える奴のが行くのと……どちらが警戒されないと思う?」

「見える奴、っていうの要らなくない?」

「答えは貴様だ、アリス。警戒されない外見というのは、こういった場合に凄く重要だ」


 流しやがったわね、こいつ……まあ、いいけど。混ぜっ返してもまたスルーされる気がするし。


「段々読めてきたわよ。私を人間の国に送り込もうとしてるでしょ」

「その通りだ」


 頭痛がするわね……人間の国が結構野蛮だっての教えたのこいつじゃなかったっけ?

 でもまあ、確かに私が行くのが無難って気はするけど……ん?


「そうすると、色々探りに来てた奴とかはどうするの? この際まとめてお姫様護衛隊みたいな感じで一緒に送り返した方がいいんじゃ」

「やめておいたほうがいいでしょう」


 赤毛の顔……あんまりもう覚えてない……を思い出していた私に、シーヴァがそう言いながら首を横に振って否定する。


「その中にどれだけ悪党がいるか知れたものではありません。アリス、貴方が強いのは知っていますが、暗殺者を相手に一日中気を張っていられますか?」

「無理」

「そうでしょう?」

「でもそれって私が1人で護衛……しても……あ、まさか」


 それを思いついた私に、3人がコクリと頷く。


「あの家には空間移動能力があるのだろう、アリス? そんなものを使わない手はないと余は思うぞ」

「たとえ言わずとも貴方の足跡を辿れば予想は簡単です。受け入れるのには時間がかかりましたけどね」

「まあ、バレるのは時間の問題だったがな。つまりはそういうことだ。貴様のあの家の理不尽な空間移動機能を使えば、寝る時は家に戻ればいい。こんな暗殺者を泣かせる護衛方法はそうはないと思うぞ?」


 いや、まあ。そうだけどさ? そういう風に使うのは私想像してなかったけど……まあ、その通りよね。


「後はそうだな……ストーリーが必要だ。アリス、お前がどのようにして人間の国の姫を助けたのか? 魔族の国で邪悪なことをやっている人間どもとやりあい、心優しい魔族たちの助けを受けながら人間の国へ行く……まあ、そんな感じのやつだな」

「ああ、人間の国の火種がこっちに持ち込まれたみたいな感じにするわけね」

「実際その通りだからな。シーヴァ、どうだ?」

「はい。すぐにそれで作りましょう」


 まあ、確かにミーファをこのままずっとうちで預かってるわけにもいかないし。何処かで動かなきゃいけないのは確かよね。でもまあ、問題はあるけど。


「それはいいけど、ミーファを攫った連中の話はどうするの? 送り届けてまた誘拐されました、は洒落にならないと思うけど」

「まあ、そうだな。たとえ茶番であっても『今度は魔族の仕業です』とされても困るといえば困る」

「原因を潰せと? 私にそんな名探偵みたいなこと出来ると思うの?」

「期待していない。だが安心しろ。必ず犯人は出てくるだろう。アリス、貴様はパッと見ではそんなに強そうではないからな。どんなストーリーを作ろうと、御しやすいと考えるアホは出るはずだ」


 まあ、それはそうかもだけど。でもそれってトラブルに巻き込まれやすいってことよね……?

 私はのんびりスローライフするのが目標なんだけど、その辺のトラブル体質みたいな部分だけパージできないものかしら?


「……アルヴァ。あれは何を考えてる顔なんだ?」

「ロクなことは考えていない。アレの思考の大半は無駄な時間だ」

「ちょっと聞こえてるわよ。どうして私をネタに仲良くなってんのよ」


 ほんっとアルヴァといいハーヴェイといい、シーヴァと……あ、思い出した!


「そういえばシーヴァ。リーゼロッテを守れってのは何だったのよ」


 ミーファを助けたとき、こいつの部下が言ったのは「ミーファを守れ」じゃなくて「リーゼロッテを守れ」だった。その理由をまだ聞いてない。


「念のため、ですよ」

「念のため?」

「ええ。その可能性は低くなりましたが……魔眼石とやらが本気だったなら、転生魔法の欠片を持つあの魔女を万が一にも奪われるわけにはいかないのです」


 ……そういうことね。ほんと災難よね、あの子も。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 過保護な男3人に囲まれて大事にされる… ここだけ見たら、乙女ゲーの主人公みたいだなぁ!
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