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魔王とアルヴァは仲が悪い(なんで?)

 ……まあ、そんな私の予想通りアルヴァは暴れはしなかったんだけれども。


「ブラックメイガス、か……話に聞いている内はどんなものかと思ったが、こうして改めて見ると、思ったほどではなさそうだ」

「今代魔王……フッ、やはり改めて見ても歴代とそう変わらんな。本拠地にあろうと凡骨が染み出ている」

「フハハハハハ」

「クックック」

「顔合わせるなり威嚇しあってんじゃないわよ……何なのアンタら。相性最悪なの?」


 アルヴァを連れてきたら、いきなりこうである。ほんと何なの? 縄張り争いしてる猫なの?


「まあ、そう言うなアリス。ブラックメイガスは少しばかり魔族の間で悪い方向に有名でな? 余も常々出会ったらブチ殺そうと思っていたのだ」

「奇遇だな。俺も魔王とかいう、人間の勇者と戦えば今のところ全敗している魔族の面汚しを1度ブチ殺して、魔族最強の名を預かってやろうと思っていたのだ」


 奇遇だな、じゃないでしょ。あー、もうどうしようかしら。こいつらが本気で殺し合ったら止められるかしら? ライフ結構削られそうな気がするわね……いざというときはクローバーボムで吹っ飛ばすしかなさそうだけど……ハーヴェイは魔王だからなあ。吹っ飛ばすのはリスクがなあ……。


「なあに、心配するな。余のところに人間の勇者が来るなら即殺してやる。大した差はないだろうが、お前を殺したときと何秒差だったか数えておいてやろうではないか」

「虚勢を張るな。どうせ貴様も勇者も俺の手にかかれば大した差はない。精々……ん?」


 ひとまずボムマテリアルを出したら、アルヴァが気付いて「こら!」と叫んで凄い勢いで来る。ちょっと、腕掴むんじゃないわよ。


「なんだそのボムマテリアルは! 貴様、まさかまた俺をそれで吹っ飛ばす気じゃないだろうな!? しかも魔王諸共!」

「お、なんだアリス。その……うわ、なんだそれ。お前、そんな危険物を常に持ち歩いてるのか?」

「だって、やめろって言ってるのに殺し合いとか始めようとするし。本当にやり始めたら、そういうのもアリかなって……」

「なんて雑な女だ……! 貴様、人生それでいいのか⁉ 段階をすっ飛ばして全部ボムで解決していいとでも思ってるのか⁉ あとやめろとは貴様は一言も言ってないぞ!」

「そういうニュアンスのことは言ったでしょ」


 そもそもハーヴェイとアルヴァが殺し合うようなことになったら、この辺焦土になりそうだし。そうなったら最終的にボムでも使わないと止まらない気がするのよね。一応使う前に努力はするけどさ。

 ていうかハーヴェイがずっとボムマテリアル見てるんだけど。


「うーむ……サッパリ分からん。分からんが、なんと暴力的で絶大な魔力だ……ボムマテリアル、だったか? お前みたいな石だな」

「もしかしなくても褒めてないわよね、それ」

「然程悩みもせんのに余を吹き飛ばすことを考えるのは不敬かつ暴力的の殿堂入りだと思うが?」

「魔族最強の名をかけてこの辺を焦土にする戦いを始めようとするのも相当なもんでしょ」


 兵士も隠密もなんか真っ青な顔をしてるけど、まあなんかこう……こういうの考えるのも不敬なんだろうけど……不思議なことにハーヴェイを尊敬しようって気持ちが1ミリも湧いてこないのよね……。私が魔族じゃないからかしら。どうかな……分かんない。


「ひとまずそれを仕舞え。気軽に出すんじゃない」

「はいはい、分かったわよ。まったくもう、私のお父さんか何かなの?」

「とんでもないことを言うな。貴様のような娘など要らん」

「フハハ! 余もアリスのような娘は要らんな!」

「ちょっと。こんな究極美少女が娘だったら毎日ハッピーでしょうがよ」


 そんな当然の主張に……ハーヴェイとアルヴァは顔を見合わせるとハッと笑って肩をすくめる。なんでそういうとこで仲良しになってんのよ。ぶっ飛ばすわよ。


「まあ、貴様の寝言はさておいて魔眼石の話だ。何処で保管しているんだ?」

「あのくだらん石か? シーヴァが保管研究しているはずだが」

「シーヴァ?」

「うちの隠密隊長だな」


 シーヴァって誰だっけ……あ、クソメガネの本名か……。ついつい名前忘れそうになるわね。

 そういえばグレイは元気にしてるのかしらね?


「おいアリス」

「何よ」

「俺は今から魔眼石を見に行くが……貴様も行くか?」

「いや、当然行くでしょ。なんで疑問形なのよ」

「何故と聞かれてもな。頭を使うのが苦手な貴様に気をつかったのだが」

「あらありがと。怒っていい?」

「ダメだ」


 いくら本当でも言っちゃダメなことってあるでしょ、もう。そりゃ私だって理解できると思えないから家に居たいけどさ。結論だけ教えてほしいし。でもそれはちょっと無責任すぎるものね。


「まあ、仲が良いのは結構だがな。先触れも出したし、そろそろ余の城に行こうではないか」

「あれ、いつの間にそんなの出したの?」

「お前たちが漫才をやっている間に隠密にな」


 そういえば居ないわね、さっきの隠密。うーん、なんだかんだ出来る男よね、ハーヴェイって。流石魔王ってやつ?


「では行くぞ、ついてこい!」


 言いながら飛び始めるハーヴェイとアルヴァ……ちょっとこら、私飛べないんですけど!?

 あー、もう! ジャンプで追いかけるしかないわね……!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ハーヴェイとアルヴァは何故初対面のような会話してるの? すでに面識あるはず
[良い点] アリス「やめて!私のために争わないで!」 [一言] 父親目線なのか彼氏目線なのか
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