骸骨だからわからない
「ウ、ウゴカなイ!」
「ウゴカなイ…………」
俺たちが最初に始めた筋トレは腕立てである。
しかし…………
かれこれ2時間、伏臥位状態にある。
「モチあガラナイ」
腕の力がなさ過ぎて持ち上がらない。
俺についてきたスケルトン、ここからはスケさんと呼ぶ。
本人も了解済みである。
スケさんも一緒に腕立てをしようとしようとしているが、同じく持ち上がっていない。
「ベツノ────」
俺が別の修行に切り替えようとして話を切り出したが、スケさんの顔があまりにも真剣だったので、黙ってしまう。
顔は骸骨だからよくわからないが…………。
「モウスコ、シ、ツヅケテみルか…………」
「ドウシタ?」
「ナンデモなイ」
見すぎていただろうか?
声をかけられて目をそらしてしまった。
そういえば、基礎ステータスなんてどこで見るんだろうか?
そういえば存在自体は知っているが見る方法は知らなかった。
いや、最初っから探しておけばよかった。
悩んでいるとスケさんが俺の顔を覗き込んできていた。
「!? び、ビックリシタ!」
「ナンで、ソンナニオドロクンでスカ?」
スケさんの顔が泣きそうな顔になる。
いや、骸骨だからよくわからんが…………。
「ゴメ、ん。 イキなリダったカラ」
「イエ、コチラコソ、イキなリスイまセン」
しかし、喋りにくい…………。
骸骨だから器官がないはずなので喋れないはずなのだが謎理論で現在意思疎通を図っている。
そういえばこのゲームには魔法というものがあったな…………。
それをどうにかして喋りやすくならないかな?
これも後で考えるか?
いや、今考えよう。
「オマエハ、シャベルいガイデ、キモチツタエルホうホウ、シッテイルか?」
「シッテる」
ほう、それはいい!
スケさんは木の棒を一本持ってきて地面に文字を書き始めた。
『これでいい?』
『少し違うけど話すよりは良いんじゃないか?』
いつも話しているときは聞き間違いや聞き取れなかったりしたので、長い文章は文字にしたほうがいいな。
『ありがとう』
『お役に立ててうれしいよ』
スケさんは少し笑っているような気がした。
骸骨だからわかんないけど。