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悪運スキルで異世界最凶!  作者: いとゆー
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第1話 日本一理不尽な異世界転生

「身長174cm、体重58kg、顔はまぁまぁ、性別は男で年は17歳の高校二年、名前は山口ひろあき君であっているかな?」


 目の前の老人が問い掛けてくる。


「あってます……てゆーか顔はどうでもよくないですか?」


「趣味はAV鑑賞で好きなタイプは、同じクラスのーー」


「ちょっと待ってください、余計なこと言わなくていいですから! 趣味もアニマルビデオを見る事ですから。あと好きなタイプも関係なくないですか?」


「おーすまない、悪かった悪かった。それで本題なんだが……」


「早く言ってくださいよ」

「………………」

「おーい」


「すまん……本当にすまんな、ひろあき君。実はな、今天国が一杯でのぉ、地獄しか空いてないんじゃよ、でもひろあき君、生まれてきてから悪いことしてないんだよね……」


「はぁ……てことは、俺もしかして地獄行くんですか?」


「え、いいの?」


「いやいや、嫌ですよ」


「地獄っていうのはのぉ、死にたくても死ねなくてなぁ、一生ツラーいお仕置きに耐えなくて生きなくてはいけないんじゃ。まぁ、既に死んでいるからここにいんじゃがな」


 と言いながら、いかにも閻魔(えんま)らしい低い声で笑い出す。


「俺、地獄に落ちるなんて、絶対嫌ですよ」


 ていうか地獄って思ってたどおりの場所なんだ……まさか本当に天国と地獄があるとは。とか思っも見なかった。


「そこで一つ提案があるんじゃが」

「と言うのは?」

「ひろあきくんにぴったりの場所があるんじゃ」

「もしかして生き返させてくれるとか?」


「まぁ、そんなところかもしれんな、じゃあ幸運を祈る」


「えっ? ちょまっーー」


 それは一瞬だった。


 足元によくアニメや漫画に出てくるような模様のようなものが刻まれた円のような光が出てくると辺り一体が光に包まれる。


 きっとどこかに飛ばされたのだろう。転移だか転生っやつなんだろうか。なんだか心地いい。このまま死んでもいいと思った。いいや、もう死んでるのか。


 あれ? そもそも何で死んだんだっけ?





 (さかのぼ)ること、一週間前。


 リビングでいつものように、夕食のカップラーメンを食べていた。高校になってから一人暮らしを初め、カップラーメンは俺のお友になっていた。


 7時を過ぎた頃、好きなバラエティ番組を見るためにチャンネルを変えると同時に画面がニュースの番組に切り替わった。


「あれ?」


「臨時速報です。超巨大な隕石が日本に向かってる模様」


 どのチャンネルにしても同じニュースしかやっていなかった。俺は驚いてベランダに出て、空を見上げると、巨大な赤い塊が空を埋めつくしながら落下してきた。


 もう日本が消滅するぐらいの隕石がすぐそばまで来ている。


 何故こんなに大きい隕石が落ちてきたのか。

 何故予測が出来なかったのか。


 そんな事を考えてる暇はない。時間は一刻一刻と、迫ってきている。家の中に戻り、 友達、家族、本当に大切な人達に、片っ端から電話で「ありがとう」と、伝えた。やる事は済ませた。


 そしてまたベランダに戻る。空を見上げると目の前まで隕石がきて、一瞬、時が緩む。走馬灯が駆け抜ける。


 そして、死んだ。







 はずなのに、目が覚めた。夢かと思ったが、辺りを見回すと、その選択肢は消えた。


 幽霊が沢山いた。子供から大人、爺さん婆さんまで。皆、足がひょろひょろで、地上10cm程を浮遊していた。


「目が覚めたかい?」


 優しそうなおばあちゃんが、話しかけてくる。


「若いのに気の毒だったね。日本は隕石で消滅したそうよ。だから今、凄い混雑してるみたい」


「………………そうだ、隕石が」


 お婆ちゃんは、ゆっくり話してくれた。ここは、天界で、行き先を天国か地獄かに決める場所。たくさんの人が死んで、天界が混雑しているらしい。他にも色々な話を聞いた。


「おばあさん、ありがとう」


「じゃあ、私はもう呼ばれたから行くわね」


 おばあさんは、いい人だったからきっと天国に行くんだろうな。


 それにしても全然名前が呼ばれないな、こんなに混雑してたら呼ばれなくてもおかしくないか。


「あー暇だなー、何もすることないし、年が近い人いないかなー」


 ぶらぶら歩いていると不意に後ろから声をかけられた。


「あれ? ひろあき? ひろあきじゃん!」


「大成! お前も死んでたのか!」


「何当たり前なこと言ってんだよ、みんな死んだに決まってるだろ」


「そうだった、そうだった。それより大成、いつもより黒くない?」


「そうなんだよ、天界、日差しが強くてさ、肌が焼けるんだよね~~って、誰が肌黒いじゃ」


「あはは、いや、間違えた。大成なんか、暗くない?」


「あのな、閻魔様の所に行ったらよ、お前は女子の顔面に屁をこいてたから、地獄行きなって、言われた」


 大成が言い終わると同時に、大成の足元に穴が出現し、吸い込まれるように大成は落ちていった。


「たいせーーい………………くろっ」

「ひろあき死ねぇぇぇぇぇ」


 いやだから、もう死んでるんだって。無事大成が地獄に行ったということで。それより、屁ぶっかけただけで地獄行きとか、基準低くね? それより大成、女子の顔面に屁、こいてたとか最低じゃん。


 その後、五日間に渡り、寝て、話しての生活を続けた。俺が閻魔様に呼ばれたのは、天界に来てから、一週間が過ぎた頃だった。


「失礼します」


 ドアをノックしてから、扉を開けると、簡素な部屋の中に椅子が二つあり、奥の方に閻魔様だと思われる人が座っている。


「座りなさい」

「失礼します」


 と、言った成り行きで、今に至る。 天国が一杯とか、そんな理由で納得出来るわけがなかった。


 俺は抵抗しようと試みたが、光に呑まれ一瞬の浮遊感を感じた後、視界が晴れていき、光が薄くなる。どこに転生するんだろう。


 そんなことより………………。






 ああ、天国、行きたかった。



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