2-4-09 二門
「そうだ。
少し待って下さい」
“この際、仕方がないか”
「エッ!」
「何か、他にもあるのですか」
「またモンロー先生に何かおっしゃられた」
「イエ-----。
まあいいか。
こちらへ」
枠沢たちは研究所を出、近くの-----。
「このパターンは」幕僚。
「わかっている。
何かの兵器か装備だろう」守山。
ブツブツと。
「期待が持てますか」
「わからん-----が。
持ちたいところだ」
小さな倉庫へ。
扉を開ける。
「これは」
「BB砲」守山。
「いえ-----」幕僚。
同僚と眼で合図を交わす。
「分子破壊砲《MDキャノン》-----ですか」
一応、把握はしていたが
ここで出てくるとは。
あまり言うと枠沢先生。
また不機嫌に。
以前、こういうモノを見つけ。
「許可を取っていただかなければ」
という話になり。
もちろん先生も同意なされ-----。
そのあと関係各省庁巡り。
どこへ行ってもけんもほろろに門前払い。
その件があってからは-----。
ここの警備は自衛隊が請け負っている。
そのため何かを作ろうとしても
全て把握できる。
警備の中には警官もいる。
事務を担当している-----事務って何をしているのだろう-----関係各省庁のお役人も少数いる。
砲は二門あった。
155ミリ中砲よりだいぶ、いや相当大きい。
「先生。数が二門と言うのは
何かあるのでしょうか。
確かBB砲の時も」幕僚。
「出来ればもっと用意していただけていれば」誰かが小声で。
「そうです。
二門と言うのは。
私の思い込みと言おうか-----。
その手の〇〇モノではこういう場合
たいてい一門乃至二門ですので-----。
それで一応二門作ったという事です。
そういう事です」
「そうでしたか-----。
イエ」幕僚の一人。
“どの〇〇モノでそうだったか”
枠沢自身よくわからない。
単なる思い込みだ。
実際、あれから少し経って
その手の〇〇モノを見直すと。
「まあ。その手の〇〇モノでは
たいてい一門しか出て来ませんか。
その手の○○モノを見ながら。
二門あれば。
もっと数があれば。
そうすれば怪獣を倒せるのに。
子供心にそう思った。
その思いのせいで、そう思い込んだのでしょう。
そういう事です」枠沢。
「そうでしたか。
実は私も子供心に。
どうしてもっと用意しておかないんだと」
「しかしそれはあくまで-----
リドニテスが出て来るまでの
見せ場を作るためですし」幕僚。
「まあ現実に怪獣が出てくれば
その手の○○モノと違い、
我々自衛隊が倒してもいいわけですので」
「ですからもっと数があってもいいのでは」
「ですが本当に-----モンローが怪獣を造るとは。
その状況でこれ以上の数は」枠沢。
「なるほど」
「確かに」
「そんな事をすれば。
どのように思われるか。
それこそその手の○○モノに出てくる
危ない方々や組織と同じように思われかねませんし。
あくまで私は善意の民間人側ですし。
犯罪組織側と勘違いされては」枠沢。
「まあ-----あまりこういうモノを大量に持っていれば」幕僚。
「そう思われかねませんか」
「これだけでも-----思われますが」
「はっきり言って大量破壊兵器-----だろう。
BB砲もこれも」小声で。
「今までのを含めるとそれこそ」
「この先生。
いったいどのくらい武器を準備して-----いたのか。
わかってらっしゃるのかな」
「その言い訳で-----。
関係各方面に。
どれだけ走り回らされたか。
イエ、なんでも」幕僚。
しかし数か欲しい。
ここは-----。
「まあ、今は自衛隊からの依頼と言うかたちになってはいますので」
しかし勝手に作られた場合-----どうゴマ化すか。
あれはあくまで、こういうモノを造るという事を
事前に申請して許可が降りるのであって、
勝手に何でも造っていいわけではない。
しかしこの先生は。
許可のないモノを次から次に。
自衛隊としては是非とも欲しい兵器ではあるが。
こう毎回、関係各方面を-----回るとなると。
関係各方面の担当者にしろ-----。
もう顔馴染みというか。
大変だ。
「しかし次回からはそれなりの数を用意しても
大丈夫ですね」
「そうですね。
すでに実際に怪獣が」大丈夫かな。
何度も言うが。
数が欲しい。
そうは言ったものの-----どうしよう。
「それで。
MD機関短銃はあれだけの数を」
「まあそうですか。
もっと数をそろえたかったのですが。
あなた方のほうの研究がいそがしくてね。
個人的にやらせてもらえらば
もう少し数をそろえられたかも」枠沢も。
「それは-----先生」
「まあBB兵器の量産という面では
あなた方の研究所でやった方がよかったようですが。
やはり個人では手が足りないですし。
自衛隊の研究所でやった分、量産体制も整いつつあるらしい-----ですし」
どうなっているか
くわしくは教えてもらえないが。
しかし幕僚たちは。
“やはりこの先生。
何をしでかすか”
全員引いた。
数は欲しいが-----。
自衛隊としては-----内緒でこういうモノを
勝手に作るわけにはいかないし。
様々な段階を経なければ許可も予算もおりない。
しかし枠沢先生が勝手にという事ならば
-----なんとか-----なるか。
後が大変だが。
関係各方面にどのように説明すればいいのか。
こう度々では。
「今度は何をお作りになられていたのでしよう。
いえ。これからお造りになられるのですか。
最近、そのような案件も増えてきましたし」
笑いのない眼でそう言われれば。
別の担当部署でも。
「それを自衛隊はご存じなかった。
大変ですな」
-----だ。
そのくらい把握はしている。
口元まででかかったが。
なぜかその担当者に手で制された。
「とにかく-----。
頑張って下さい」担当者。
とのことだ。
そう言えばこの担当者。
この前行きつけの居酒屋で偶然会い、
その手の○○モノの話で盛り上がった事も。
もちろん怪獣がでてきたあとだ。
枠沢先生についてもいろいろきかれたが。
そのあたりは適当に。
聞くところによると先生の馴染みの店にも
しばしば。
それも何人も。
中にはサイン色紙片手に。
護衛の自衛官がいっていた。
しかしこの先生。
大丈夫かな。
証人喚問。
必至だな。
どうしよう。
それが原因でこういうモノの製作を
控えられるのは。
いざという場合。
今回のように。
今回の場合、役に立つのかな。
この兵器。
しかしなければ人的被害も増えるかも知れないし。
それにもしBB兵器がなければと思うと。
これについては関係各方面にも御理解いただいている。
それで何とかここまで。
中にはその手の○○モノの手厳しい方のような方もいるようだ。
要はこの兵器が役に立つかどうかだ。
それ次第か。
まあ今までは-----充分に役には。
どうしよう。
もう一度言うが。
どうしよう。
「それで二門か」口々に。
「携帯BB砲は確か5門でしたが」
「あれは-----。
個人用ですし-----。
そのくらいの数はなければ
格好がつきませんし。
その手の○○モノでも
その手の武器を手にいれた場合。
その時には何丁も持っているのでは」
「まあ-----そうでしたか」
そうだったかな。
枠沢先生の思い違いかな。
「しかしそれではその手の手厳しい方々に-----。
何を言われるか」
「その時は頼みますよ」枠沢。
「ええ。まあ」自衛官。
「どうすれば」小声で。
「しかしこの砲ならば地下の怪獣も」陸幕長がわって入った。
「たぶん。
しかし地下数百メートルとなりますと。
やはりやってみなければ。
出来ればMD爆弾で」
全員感心もしきり。
「しかしMD爆弾では威力が。
それにそこまで。地下数百メートルまでは行けるかどうか」
「それはそうですか」枠沢も。
モンローがあのプログラムを使っていれば。
いける可能性も。
しかしそれを言うのは。
構わないか。
今回は-----見送るか。
周りを見ながら。
これ以上言うのは。
他にも重要な案件がある。
「ですが、他にも問題が」枠沢。
全員、キョトンと。
「何かあるのですか。
まだ」
「この先生の事だ。
その手の〇〇モノを再現しなければ。
そう思っているかも」
小声で誰かが。
「となると-----一択か」
「一択というと」
「やはり」
「まだ完成していない-----の」
「そうなりますか」
「そうでしょうね」
「完成まで-----あと少しかかるのですか。
巨大怪獣が暴れ出す前には-----完成を。
していただきませんと」それらの声を聞きながら陸幕長がきいた。
その手の〇〇モノでは-----。
「イエ.そういうわけではありません。
そうではなくて。
すでに完成はしていますよ。
私もその手の〇〇モノを見ていて
もどかしい思いをしていましたので。
『どうして早く造っておかなかったんだと』
まあ、今考えれば製作サイドが番組を盛り上げるために
そうしていたわけですし。
しかし実際に怪獣が出現し。
その上で造る場合は大丈夫でしょう。
完成させていても。
その手の手厳しい方々にも御理解いただけるかと。
ですから、一応完成はしています。
それに巨大怪獣が動き出してくれれば。
地上に出て来てくれればBB砲で。
いや、奴はカテゴリー“3”ですか。
奴がもしアリならば絶対に出てはきませんし。
女王アリは一生を土の中で送るらしいですし。
-----。
ですからこの砲は。
いつでも撃てますよ。
ただ」
「ただ」
全員。枠沢の次の言葉を待っている。
「ここの倉庫の扉が」
「倉庫の扉」
「はい。
小さすぎて。
いや、砲の方が大きいんですが。
外へ出せないのですよ。
分解して出せばいいのですが-----
それには何週間もかかりますし。
どうしましょう」
「どうしましょうと言われましても」陸幕長。
「やはりそう来ましたか」
「その手のモノの定番ですから」
「私も何かあるのではと」口々に。
「倉庫の扉と言うのは-----」
「新パターンですか」
「さあ------」
「ありましたか」
「どうしましょうか」幕僚が。
「この倉庫を壊すしか」遠慮がちに。
「やはりそれしかないですか」
枠沢はタメ息を。
「それでこの砲の事は内緒にしていたのに」ポツリと。
確かに聞いてはいない。
それでか。
全員、納得。
こういうモノが出てくる度に
機械や設備、施設ごと接収してきたわけだし。
今回も。
「もっと早く言っていただけていれば」
「やはり倉庫は壊して持ち出すのでしょう」枠沢。
「まあ-----そうなりましたか」
「今までも」枠沢もため息を。
「仕方ありませんか。
しかし修理できる程度に。
よろしく」
無理だろうな。
なぜかわからないが。
更地にされることも。
やはりこういうモノを作らせたくはないのか。
証拠隠滅とかなんとか。
なにから-----。
そういう事を言う者もいる。
訳がわからん。
まあいいか。
「先生。
今はそんな事言っている場合では」陸幕長。
枠沢もあきらめ顔。
倉庫を出、研究所内へ。
兵隊ビムルの遺伝子の解析に掛る。




