要請
モンローの部屋。
枠沢は二人で話し込んでいた。
「いったいなんだ。
あの連中は」
「まあ。そう言うな。
大事な協力者だ。
もちろん彼らは彼らなりに
目的はあるだろうがな。
一人ではどうしようもなくなってな。
枠沢に協力を求めようかと思ったが
けんか別れした後だし」
「それで彼らに」
「そうだ。
ウチの大学に別の件で顔を見せた時にな
この事を話したら乗ってきた。
それで研究員を派遣してもらったんだ。
装置を試作するにしても
それなりの技術者がいるしな。
枠沢は器用だったから
お前がいればそんな者たち。
必要なかったんだろうが。
まあいい」
「だいじょうぶか」
「リドニテスを悪用するとかか。
その心配はないよ。
人格は全員。保障する。
それにそのおかげで
研究を完成させられたんだしな。
感謝しとるよ」
「こんな事に多額の金を出す者というのは、
ロクでもない事をたくらんでいると
決まっている」枠沢。
「変わらんなあ。
考えすぎだ。
マンガの読みすぎだ」
「お前はお人好しだからなあ」枠沢。
「それほどでもないよ。
それでお前に協力を求めているんだ。
昔のように一緒にやろう。
玄希大学に勤めたままでもいい。
情報交換という形ででもやろう」
「何か-----あるのか。
リドニテスも出来たんだろう。
だったらお前だけでも
後はなんとかなるだろう」
モンローの奴。
どこでつまっているのやら。
しかしモンローならば。
「いやーーーーー他にも問題がいろいろあってな。
それにーーーーーなつかしかっただけだ。
まあいい。
明日はリドニテスの実験をする。
それを見て。
考えてみてくれ」ようをえない。
スタールは熱心だった。
しかしあまり強引にやって
またケンカにでもなれば。
「こう言ってはなんだが
研究員たちを見ただろう。
どう思う」
「どう-----って」枠沢。
「優秀なんだろうが。
全く-----あまり役に立たん。
言われた事はするが
自分から進んで
というか
発想に独自性がない。
それがお前とは違うところだ。
それに
こう言っては何だが
超縮小理論も重力子・反重力子理論も。
第二周期生物の遺伝子や細胞を
金属周期の遺伝子や細胞に置き換えるのに
どの酵素を使うか。
それどころか
遺伝子のどこがどういう機能を持つか。
どう考えればどうなるか。
全くわかっとらん」
「それはモンロー・スタールという男が
天才すぎるからだろう。
誰もお前にはついていけんよ」
「貴様以外はな」
スタールもまんざらではない様子。
「買いかぶらないでくれ。
私はもう-----今は」
「また、始めればいい。
金でも、人でも何でも用意できる」
枠沢も考え込んだ。
モンローもこれ以上深追いするのは。
もう夜も遅い。
「とにかく考えてくれ」
枠沢はあてがわれた部屋へと下がった。