2-4-04 地下
「それよりも先生。
本当にモンロー先生の-----研究所と言いますか-----。
いえ-----トレル市の方の。
別の-----と言いますか。
そのような場所はご存じありませんか」幕僚。
申し訳なさそうに。
「いえ、バーザス国からも-----。
もし枠沢先生がご存知ならば-----。
おっしゃりにくいのは分かりますが。
確認して欲しいと」
枠沢は固い表情。
「どうして私が。
本当に知らないよ。
もう何年もモンローとは
会っていなかったし。
私がバーザスに留学していた時にも
あれ以外なかった。
モンローが隠していたなら別だが。
それにそのあともバーザスには
何度も行っているがその時も-----
なかった。
そこはもう確認済みでしょう」枠沢。
「ではこの研究所については」
地図と研究所の写真を。
枠沢はその写真をジッと。
“全く知らない”
本当だ。
「ンーーーーー。
これはーーーーー。
初めて見るモノだね。
それでこの研究所。
いつできたモノだね」枠沢。
「それは-----」
「バーザス国の調査では-----。
二年程前にできたもののようです」別の幕僚。
「それならば。
私が知っているわけはないだろう」枠沢。
全員、枠沢の表情を。
枠沢はその気まずい空気に。
「どういう事だね」
訳がわからない。
「いえ-----。
その研究所内から-----先生の-----」幕僚。
「君。それはもう」守山。
「何かね。
はっきり言いたまえ」枠沢。
「それは-----。
先生の指紋が。
採取されたと-----バーザス国の方から」
「その研究所から」枠沢。
「はい」
枠沢も何がなんだか。
「指紋などは。
例えば-----向こうの研究所で使っていた装置を
そのまま持ち込めば当然でしょう」
「それは-----」
何か言いたそう。
「周辺の住民に確認したところ。
バーザスからの情報ですが」
「出入りする先生のお姿を目撃したという者も」
「はい。多数」
「他人のそら似では」
どういうことだ。
枠沢。
「まあ。とにかくその件は。
今はビムルをどうするかだ」守山大臣が。
枠沢は釈然としないが。
「先生。ご意見は」陸幕長。
「エエ、まあ-----。
この地図で見る限り-----中心は代々木公園ですか。
そこに親玉がいる-----という事ですか」
「私どももそう考えております」幕僚。
「女王を倒さなければ働きアリをいくらやっても
意味がないようですし」
「まあそれは普通のアリと
同じようになっているらしいですし」
「まあ、そうでしょうな。
卵を産んで個体数を
維持しようとするでしょうし。
そのあたりは普通のアリとは違いますか」
「とおっしゃられますと」海幕長。
「いえ、普通のアリならば
いくらでも卵を産んで増えていくようですが。
このビムルはそのあたり、どうなっていますか。
まあいですか」
あのプログラムを使っていれば。
そう増えないはずだが。
「それで女王の大きさは」枠沢。
確か大きさは-----。
「それは-----働きアリの3倍程度かと。
資料ではそのように。
ここに」幕僚が枠沢の持つ資料を指差した。
「しかし先生。
女王アリというのは働きアリの大きさの
数十倍はあるのでは。
それに大きくなりすぎて動けないと
聞いておりますが」海幕長。
「はい。もちろんそうですが。
このアリたちはあくまで怪獣のコントロールの
研究のために造られたものですし。
アリの場合その数が数千ですか。
それ以上になります。
しかしそこまでの数は必要ないでしょうし。
それで卵の産卵数を制限すればと-----。
モンローに」
「先生が」
「はい」
「モンロー先生に」
「それで資料にも。
一つの巣の中の働きアリの個体数は
百から二百くらいだと」
「それに女王アリのサイズも数倍程度。
姿形は働きアリとほとんど変わらないと
なっているわけか」
「それに働きアリの個体数も
一定に保たれるようになっているはずですが」枠沢。
「どういう事ですか」
「つまり減った数だけ
すぐに補充されていくわけです」
「そう言えばそのような記述も。
十日もすれば卵から成体になると」幕僚の一人。
「しかし必要以上には増えないわけですか。
それは我々にとっては好都合ですか」空幕長。
「つまり-----女王を倒さなければ
次から次へ働きアリが。
倒しても倒しても-----
という事ですな」守山。
アリの巣ならそうだろう。
全員そのつもりだったらしい。
「現在そのように考えまして
代々木公園の地下を地中探査レーダーで捜索中なのですが」
「それの奴らは以上に体温が高いため
地下にいようと浅ければ
赤外線カメラで確認が可能です」
実際に確認したらしい。
それで何体か発見できたらしい。
「動きは」
「はい。相当活発に動いています。
しかし女王は相当深いところにいるらしく
地下数十メートルかと。
そこまで深いとさすがに見えませんし。
それに攻撃手段もありません」
「BB砲で撃てばどうなりますか」統幕議長。
「地上からかね」枠沢。
「はい」
「あの砲は-----都庁の例から見ても」
「やはり無理ですか」
「あの砲は核以上なのですし-----
どうなるか」
「それをお伺いしようと」幕僚も。
「あたり一面溶岩の海ですか」
「それならそれで範囲を限定できれば-----。
何とかなるかと」
「それは-----。
地上から撃ってあたり一面を溶岩のようにしても
あまり意味がないかも」枠沢。
「先生。どういう事ですか」
「ビムルはカテゴリー“2”ですし」
「やはり」
「ダメか」
「それに地下というか。
土に照準を。
土の成分をメルトダウンさせるようにセットすれば
そうなるかも知れんが。
そうではなく怪獣に照準を合わせておけば、
土自体にはさほど影響は出ないし」
「では-----地表から撃っても怪獣は倒せるという事ですか」
「いや-----。
机上の計算ではだが。
それに地下へ向かって撃つと。
やはり数十メートルくらいの範囲で
溶岩のようになるはずだし。
つまりはそれだけ土によって
BB砲の威力が墜ちるわけだし。
その状況でビムルにどれだけの効果があるか」
「なるほど」
「やってみなければわからないわけか」




