表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/83

2-4-01 都内某所


 東京都、渋谷区内。

 某デパート。

 すでにシャッターは閉じられ、店員もほとんどが帰宅した後。

 警備員が一人。

 店内を巡回していた。

 各階のフロアーを最上階から順番に。

 そこかしこに残業の者、メンテナンス会社の従業員がいる。

 「ご苦労様」

 警備員は気軽に声をかけた。

 いつものことだ。

 さらに別の階へ。

 階段を降りる。

 「ご苦労さん」

 別の警備員と行き会った。

 「何か異常は」

 「ありません」

 ニヤリと。

 まあ、異常など滅多にあるモノではない。

 定時の巡回もこれで終わり、詰所へ。





 「今日の野球は。

 良かったなあ。

 あそこで一本が出るとは。

 今年は行けるかも」

 同僚が満足気に。

警備の詰所では夜勤の二人が。

 「よかったじゃないか。

 それに首位を争っているんだろう」

 「もちろんさ」さも嬉しそうに。

 「でもなあ。

 最近はバッター頼りでピッチャーがなあ。

 故障者が早く復帰してくれればなあ」

 「しかし-----エースがいなくてあの成績なら。

 復帰するひと月後には。

 今年は大丈夫だよ」

 などと二人の野球談議は盛り上がった。

 ギャーーー。

 遠くで悲鳴のような音が。

 「何だ」

 「さあ。また誰かがふざけて」

 「荷物でも落としたかな」

 良くあることだ。

 たいていは-----笑い話で済む。

しかし確認しないわけには。

 念のため。

 監視用カメラのモニター室へ連絡を入れる。

 「なにかあったのか。

 妙な音がしたが」

 「はい。

 それで今、チェックを」モニター室。

 「下からのようですが」

 二人は地下へ。

 地下三階へと。

 そこは-----真っ暗だった。

 照明は。

 スイッチを押す。

 しかし-----つかない。

 「故障か」

 「まさか」

 侵入者に切断されたか。

 ハンドライトを手に。

 地下の食料品売り場。

 ここにはまだ人が残っていたはず。

 「こんなところに入って何を盗むつもりかな」

 「さあ。

 本当に泥棒か」

 泥棒ならば警察へ。

 とにかく確認しなければ。

 二人とも及び腰で

真っ暗な中をライトの明かりを頼りに。

 「モニター室。

 何かわかったか」

 「いや。

 何も見えない。

 怪しい人影も無しだ。

 とにかくそっちで何とかしてくれ」

 「ここにいた従業員はどうなった」

 「今、モニターを再生して確認しているところだ」

 突然、足が滑った。

 危うく倒れそうになる。

 そこを何とか踏みとどまる。

 「どうした」

 「いや。

 何かこぼしたらしい」

 ハンドライトで足元を。

 そこは一面。

 真っ赤な液体が。

 人が倒れている。

 血だ。

 ここの従業員だ。

 二人とも血の気が失せていくのを。

 「どうしよう」

 「どうしようって-----」

 一瞬。ワケが分からない。

 「とにかく-----警察だ。

 -----。

 「モニター室。

 死んでる。

 人が死んでいる。

 警察だ」モニター室へ。

 モニター室でもハンドライトで照らされた死体を

モニターしていた。

 警備員の言葉に警察へ。

 死体はそこかしこに。

 二人は及び腰で

上へ通じる階段へと。

 ここを早く出なければ。

 特殊警棒を片手に

おっかなびっくりで。

 後ろを気にしつつ。

 階段へ向け。

 しかし振りかえらない。

 振り返れば-----。

 突然、大きな音が。

 振り返る。

 そこには-----奇妙な姿の-----怪物が。

 金色の目。

 巨大な耳まで裂けた口。

 そこからのぞく牙の群。

 手足は二本づつ。

 体高は三メートルはあろう。

 直立している。

 しかも前身、返り血だろうか。

 赤黒い液体が

その不気味な巨体から滴り落ちる。

 二人は一瞬、凍りついた。

 怪物が二人をじろりと。

 にらんだ。

 二人は思わず後ずさりを。

 悲鳴とともに一目散に駆け出した。

 とにかく逃げなければ。

 気付くとフロアのところどころに

巨大な穴が。

 ちょうどあの怪物が出て来れるくらいの。

 それをよけながら階段へ。

 一気に駆け上がった。

 「モニター室。

 今の見たか。

 怪物だ。

 モニター室」応答がない。

 後ろからあの怪物が追って来るような強迫観念が。

 警察が来るまでは。

 地下二階から地下一階へ。

 どの階も照明は消えている。

 一階へ上がろうと。

 しかし一階と地下一階の階段の踊り場には-----。

 あの怪物が。  

 彼ら二人に気付いて振り返った。

 ここにも。

 その不気味な。

 残忍極まりない目を見た二人は。

 身体中の血が凍りついた。

 二人はゆっくりと階段を後ずさり。

 元来た地下一階へ。

 階段は別の箇所にまだある。

 それを使うしかない。

 ころがるように階段の残りを一気に。

 地下一階のフロアーを。

 真っ暗な闇の中を。

 何かに毛躓けつまづいた。

 ライトを当てる。

 人だ。

 死んでいる。

 首が、腕が。

 もげている。

 このフロアーもすでに血の海。

 足を取られそうになる事も

一度や二度ではない。

 一階へ。

 そこも。

 血の海だった。

 照明もやはり消えている。

 手に持つハンドライトの光のみが

真っ暗な店内を照らし出している。

 そして-----。

 そこかしこにあの巨大な怪物の影が。

 遠くでパトカーのサイレンが。

 徐々に大きくなっていく。

 二人は思い切って従業員用の勝手口へ。

 何としても。

 外へ出られれば。

 ギャーーーーー。

 もう少しでドアのノブに手が。

 というところで後ろを走っていた-----が。

 振り返る。

 あの怪物の巨大な牙が。

 警備員を頭から。

 胸のあたりまですでに口の中。

 手足が苦しげにもがく。

 骨の砕ける音が。

 男はどうしよもない。

 思わず後ずさりを。

 扉へ。

 鍵を開け。

 ドアのノブを回す。

 助かった。

 安堵の-----。

 後ろで-----気配?-----が。

 振り返った。

 巨大な黒い影が。

 腕が、カギ爪が。

 男の身体を横にいだ。

 身体が胴の部分で引き千切られる。

 男は一瞬何が起こったのか。

 声も出ない。

 血の海の中で-----絶命した。

 表にはパトカーが。

 勝手口から。

 警官が二人。

 ドアをノックしようと。

 扉は開いていた。

 警官はドアを開け、中を覗き込んだ。

 怪物とマトモに眼が会った。

 周囲は血の海。

 警官は思わずピストルに手を。

 事前の連絡で怪物のことは聞いてはいたが。

 過去数度の怪獣の出現で

既にこの手の事態は。

 怪物へ向けピストルを。

 しかし。

 怪物が巨大な腕で。

 牙で。

 二人の警官は逃げる間もなかった。

 引き千切られる。

 おびただしい血が。

 怪物が警官の死体をパトカーへと

 投げつけた。

 怪物たちは-----。

 いずこへともなく姿を消した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ