2-3-09 遊泳
ベザーグは海中を真っ直ぐ
東京へと向っていた。
護衛艦が阻止行動に入った。
艦砲を取り去り
そこへ中型ハイパー・バースト・ビーム・キャノンが
一門搭載されている。
もちろん枠沢が製作したものだ。
もっとも
そのBB砲を載せた砲架と
その駆動部は
自衛隊で急遽製作したモノ。
艦砲の駆動部分をそのまま流用している⁻⁻⁻⁻⁻らしい。
間に合わせ品だ。
しかし艦そのものは鉄製。
怪獣の一撃で。
護衛艦のソナーは
すでにベザーグを捕らえている。
「撃ちまくるしかないか」艦長。
「はい。
カテゴリー“ツー”までならば
何とか対応出来るところまで
来ていたのですが」砲雷長。
「それならば、先制すれば何とかなるのですが」
艦は沈めずに持って帰って来てくれと言われているが。
護衛艦が捕捉した
ソナーのデーターは
そのまま防衛省にも送られてきている。
それによると
怪獣は海中を猛スピードで。
「しかし-----先生」海幕長。
「何ですか」枠沢。
「一つ、不思議に思ったのですが」
「何を」
「はい。
奴らどうやって海中を。
しかもあのような高速で」
「それは-----」枠沢。
“やはりこの点にも気がつく者がいたか。
その手の手きびしい方々は-----
どうだろう。
この事が知れればどう思われるか。
あのキワモノ○○では、このキワモノ△△では。
事例は違うが相当”
「これも私の考え方なのですが。
-----。
もしモンローが
その考えに基づいて
怪獣を造ったならば-----」枠沢。
“あのプログラムを使わなければ
モンローには怪獣を-----
造れないか。
それならば-----そのようになっている。
しかし-----本当にそうだろうか。
モンローなら-----ひょっとして”
「どういう」海幕長。
「いえ。
飛べない怪獣は全て
泳ぐために必要な部位には
必要な筋肉がつくようになっています。
それで」枠沢。
“言ったものかどうか”
「では
魚のように
-----泳いでいると」
「はい。そうです」枠沢。
「それであの速度か。
信じられない」
「大きいですから。
身体が。
しかも、何せ第五周期の筋肉ですし」枠沢。
「なるほど」守山も。
「しかし-----第五周期。
でしたら、
比重は水よりも-----
当然-----重いのでしょう」海幕長。
「資料にもそのように」
「はい-----もちろん。
生物の身体というモノは
水とほぼ同じ比重になっていますし。
ほとんどの生き物は。
ですから
怪獣も当・然・
比重は第五周期の水と
同じくらいになっています」
枠沢は困ったという表情。
こんな事-----言っていいのか。
言うと。
「では。海中では沈んでしまって-----
泳ぐどころではないのでは」海幕長。
「泳ぐどころか。
海中をハイズリまわるだけの
カナズチ怪獣か」陸幕長。
「それはそうだ。
水の何倍もあるのでしょう。
比重が。
それとも
それだけ重くても
浮いていられるだけの筋力が
あるのですか」空幕長。
「はい-----いえ-----。
もちろん-----そのくらいの筋力は
あるでしょうが」枠沢。言おうかどうか。
「しかしそれでは立ち泳ぎのように
。なってしまうのでは。
しかしベザーグは
魚のように」
「どういう事ですか」
「マイナス浮力がどの程度か
-----ですか。
魚雷と同じで。
あれは比重が水よりも大きいモノもありますし、
そのままでは沈んでしまいます。
高速で海中を進んでいるから
浮いていられるのですが
それと同じですか」海自の幕僚。
「ある程度の速力があれば
浮力が生じますし。
それと重さが釣り合って
魚のように泳げるのでしょうか」別の海自の幕僚。
「それは-----。
もちろん-----ある程度の速度で泳げば
そうなるのでしょうが。
その必要は-----。
それに速く泳いでいるときだけ-----
というのも-----
何ですし。
どのくらいの速度になるのか-----も。
それで-----」
枠沢は周囲を-----見回した。
全員。
枠沢が何を言い出すか。
枠沢は-----言わないわけには-----。
「これも
例の怪獣の翼に
重力推進機構を組み込んだときと同じで-----。
それの重力推進機構があるのだから
-----ということで-----」枠沢。
「例の-----」守山。
全員。思わず身を引いた。
あまり関わるのは。
しかし-----聞きたい。
「はい。
怪獣が造れるかも知れないとなった時に
モンローと長い間
議論したものです。
その中に-----。
怪獣が空を飛ぶには
やはり羽根が必要だろう。
とか。
空を飛べない怪獣が
どうすれば
海中を泳げるようになるのか」枠沢。
「重力推進で
その怪獣たちを泳がせればいいのでは」官僚。
全員、同意するように。
「それは」枠沢はため息を。
“何もわかっていない。
この人たちは“
「それでは
怪獣は全・て・
空を飛べる事になる
ではないですか。
羽根のない怪獣もです。
いくら泳がさなければ
ならないからといって
羽根のない怪獣を
飛ばせるというのは-----。
それこそモノ笑いのタネに-----。
それをゴマかすのに
全ての怪獣に翼を持たせるというのは-----。
どうかと思いますし。
その手の○○映画でも
羽根のない怪獣は出てきますし。
いえ、そちらの方が多いですか。
それに重力推進機関を
翼に組み込んでいる関係上、
翼を失えば
泳ぐことも出来なくなりますし。
羽根がなくなっただけで
-----飛べなくなるのは当・然・ですが-----。
泳げなくなるというのは-----
おかしいでしょう」枠沢。
「確かに-----映画でも」幕僚。
「怪獣は翼がなくなれば
飛べなくなるし
最初から翼のない怪獣は
飛ばないですか」別の幕僚、。
「それに翼のない怪獣でも
海中を泳いでいますし。
空を飛べる怪獣が
翼をなくして飛べなくなっても-----
海の中は泳いでいますし」
「出て来る怪獣全てが
羽根を持っていて
空を飛ぶというのも
おかしいですか」
「確かに」
「地上を歩くだけの
怪獣もいなければ」
「地底怪獣というモノも-----
ありますか」
「なるほど-----。
地底怪獣は
基・本・的・に・
空は飛びませんか」
「どうしてだろう」
「それは-----地底怪獣が空を飛んでは
おかしいだろう」
「どうして」
「それは-----」
“どうしてだろう”
「羽根のある地底怪獣など-----。
いない-----だろう」
確か-----思い出そうと。
思い出せない。
印象が薄いだけか。
いなかったのか。
まあいいか。
「それはそうですか」
「しかしどうして-----」
「それは-----」
「それは-----羽根があっては
地下をうまく進めないからでは」
「なるほど。
それで製作者サイドが」
「納得」
「製作者サイドの思い込みで」
「映画では-----」
「では現実には」
「それはもちろん-----」
「モンロー先生の思い込みというか-----」幕僚。
「モンロー先生の?」
“まさか”
傍らで小声でヒソヒソと。
話し込んでいた何人かが。
全員枠沢をの方を。
「やっぱり」
納得。
「はい。
私もモンローもその点を
どうすれば満足できるか。
それを徹夜で
何晩も考えたわけです。
この様な小・さ・な・こ・だ・わ・り・が
映画を造る際にも
実際に怪獣を造る場合にも
必要だと
子供のころに聞いた覚えがありまして。
それで-----そのように。
その点をおろそかにすれば
全体がブチ壊しになってしまいますので」枠沢。
「それで」
「こだわりになられた」
「完璧な怪獣にするために
こうすればと。
私が」枠沢。




