2-3-08 出撃
その時
あわただしく会議室のドアが開いた。
全員そちらを振り向く。
自衛官が入ってくる。
幕僚にメモを。
「何!怪獣が」それを見た幕僚が。
全員。緊張した。
「ベザーグか。
奴め、今までどこに。
やっと現れたか」幕僚。
「君!」守山。
「失礼しました。
怪獣が。
ベザーグです。
出現しました」幕僚。
「ベザーグとは」閣僚
「例の無人島にいた。
五頭のうちの最後の一頭ですよ」枠沢。
「例の」
「カテゴリーは
確か」官僚
「カテゴリーは。
“スリー”-----だったね」守山。
「そのようです」統幕議長。
大変な事に。
「そのベザーグがどこに」
「それが-----。
太平洋を真っ直ぐに
海中を日本へ。
この東京へ」
「どうして」
「バーザス国ではなく」
「よりによってこの日本へ」
「バーザスへ上陸した個体もいるのに」
「海の中からか」口々に。
全員。枠沢を。
「ですから」枠沢。
「そういう事か」守山。
「そういうことでしょう」幕僚も。
「上陸地点を設定出来る個体かと」枠沢。
「その手のモノのパターンか」
「東京か」ポツリと。
「怪獣は日本を目の敵に」
「なぜか日本ばかりを」
「その手の◯○モノ。
他の国では造っていないのか」
「造っていれば。
襲われるのはその国となるだろうしな」
「しかしーーーーー作っていても枠沢先生が見ていなければ」
「それはあるか。
その手のキワモノ○○の収集癖は」
「ないのでは」
枠沢の家を調べても、
外国製のその手のキワモノ○○は数えるほど。
「そういう事か」
全員。
枠沢を。
枠沢も極まりが悪そうに。
「外国のその手のモノは-----
あまりTVでもビデオでも
見ませんでしたし、
外国製のモノもみていればーーーーーと
モンローと話している時にもしばしば思うこともありましたが。
特に怪獣をどこへ上陸させるか。
等といった場合に。
その時は。さすがに時間もありませんでしたし
DVDを探して見直す訳にはいきませんでした」
皆、納得。
「しかしモンロー先生もバーザス国のその手の○○モノを見てなかったのかな」
「さあ」
「バーザス国ではどんなキワモノ◯○がその当時、放送されていたのかーーーーー」
「モンロー先生もこういうモノを造るくらいーーーーーだから。
枠沢先生の話に興味を持つ方だからーーーーー。
きっと」
「しかし、もし見ていたにしろ
日本へ来るという事は」
「枠沢先生を優先したわけか」
「ライバル心か」
「それならーーーーー。
一通り枠沢先生のお考えを実現すれば」
「そういうことか」
「今度はモンロー先生のお考えに沿った怪獣か。
どうなるのだろう」
ヒソヒソと。
「日本とバーザス国のその手のキワモノ○○対決になるわけか」
「どっちがすごいのだろう」
「さあ」
枠沢を。
しかし今はーーーーー怪獣だ。
「さっそく首相へ報告を」守山。
防衛庁幹部が官邸に。
住民には避難勧告が。
「東京上陸以前に
阻止出来ないのかね」閣僚の一人。
「それは-----」守山。
「海自では現在
護衛艦、および潜水艦に
BBキャノンを搭載する計画が。
しかし未だ-----。
旧式艦二隻に-----通常の鉄板製の艦の事です-----
試験的に搭載して実験している段階ですが。
もっともその内の一隻は
怪獣が現れた時の用心のために
東京湾沖数百キロに展開させてはありますが
相手がカテゴリー“スリー”となりますと。
-----。
船体を特殊金属製にした
最新鋭の艦はまだ建造中ですし
どうなりますか。
もちろん阻止命令は出しますが」海幕長。
「一撃で破壊されかねないか」守山。
「はい。
バーザスの戦艦がアレでは」
「特殊金属か」
「はい。
それに枠沢先生の造られていた
潜水艇にしてもまだ-----」
完成していない。
小さな艦だ。
「それに魚雷やミサイルに詰める
爆薬の開発にしろ
研究を始めたばかりですので」幕僚。
「例の特殊火薬かね」官僚。
「はい。
枠沢先生の研究により
触媒のようなものを使い
代用することが出来ましたので。
それにより火薬を」
「それで威力は」
「全くわかりません。
造ってみなければ」
「そんな」
「威力が落ちるのか。
上がるのか。
はたして爆発するのかも」
「それではお話に」
「科学とはそんなものですよ。
結局はやってみないと」枠沢。
全員。黙ってしまった。
特殊火薬よりも
さらに威力のあるモノも開発中だ。
こちらの方がいいか。
「それにもし出来ても
カテゴリー“3”にはとても」小声で枠沢が。
「カテゴリー“2”ならば
何とかなったのですが。
そのような事を言っても
仕方がありませんし。
何とか追い返すだけでも-----
出来れば」海幕長。
隊員を無駄に-----勝算もなく送り出すのは。
そんな事をすれば士気に関わる。
しかし手をこまねいて見ているわけにも。
「とにかく-----」守山。
首相から電話が。
“何としても阻止しろ”
という事らしい。
「戦闘機を出すしかありませんか」空幕長。
「しかし海の中では」守山。
「はい。
BB砲は大丈夫ですが
怪獣を発見出来ません
戦闘機のレーダーでは」枠沢。
「では-----やはり上陸してから」
「そうなりますか」
「それでは被害が」
バルーグの時と同じ事に。
「他にも問題が」枠沢。
「試作の段階ですし」幕僚。
「いえ。
それより心配は風防の方です」枠沢。
「風防。
例の」守山。
「先生が気にしておられた」
「何ですか。
それ」官僚たち。
「いえ。
試作の一号機二号機では
風防に-----特殊金属製ではありますが-----
透明なものを使用していますので。
透明にしないと
外が見えませんので
仕方なく」枠沢。
「まあそれは-----
当然ですか。
戦闘機は視界の確保が
重要ですし」
「そこが弱いのですか」官僚。
「いえ。
強度は同じなのですが-----
他の特殊金属部分と。
ただ-----」枠沢。
「ただ?」
「光を。
風防というからには
透明でなければなりません。
可視光線に対して。
ですから」枠沢。
「怪獣の光線兵器に対しては
無力なわけか」官僚も納得したように-----首を。
「そこを狙われれば」
「いえ-----無力というわけでは。
怪獣の吐く光線は
そのほとんど全てがガンマー線領域の光ですので。
風防には
特殊金属の中で
可視光線は透過するが
他の赤外線や紫外線
エックス線、ガンマー線は
通さないものを使っています。
グラフで表しますと
ちょうどこの様な形で透過します」
枠沢は光やガンマー線に対する透過度を
頭に思い描いた。
ホワイト・ボードにザッと書き表す。
「ではなぜ」
「怪獣の吐く光線の波長の
ガンマー線やその他を通さなくても-----
可視光部のみで
もし直撃。
いえ。カスリでもすれば
中のパイロットは黒コゲに。
怪獣の吐く光線の威力は
我々の想像を越えていますので」
「そういう事か」
「まあ可視光に対しても
通常時はそのまま透過するように。
しかし強力な光を受けたときは
シャッターのような機能が働き
-----液晶のような機能を
その透明特殊金属に
持たせるわけです-----
その光を遮るという方法もあるのですが。
これはまだ研究段階です。
しかし光は光速ですし。
光線を受けてからでは
間に合いませんし。
どうしますか。
まあ怪獣が光線を吐く場合
ホンの少しの時間ですが
特殊なガンマー線を周囲に放射します。
それを捉えて
その機構を作動させるという手もありますが
それも全ての怪獣に当てはまるわけでは
ありませんし」枠沢。
「なるほど」
「それでは使い物にならないのでは」
「ですから現在」枠沢は技官を。
「ですから現在
風防のない機を
試作三号機以降では製作中です」技官。
「風防がない。
それで飛べるのかね」官僚。
「テレビカメラで外部の映像をとらえ
コックピット内部の
前後、左右、上下に配置された
大型の液晶ディスプレイに
その映像を表示すれば」技官。
「なるほど」
「全周スクリーンか。
それでその機は」
「それがまだ-----。
少しかかるかと」技官。
「じゃあどうすれば」
「パイロットたちは
ぜひ出撃させてほしいと」空自の幕僚が。
先ほどからだいぶ
せかされているようだ。
“出撃命令はまだかと”
「大丈夫かね」守山、
「いえ、
当らなければいいですし
特殊金属製の防護服もあります」幕僚。
「しかしあれは視界が」空幕長。
防護服は顔面を含め
全身を被っているために
視界が-----
ヘルメットに取り付けられた
カメラからのモノのみとなる
守山は幕僚をジッと
「では-----出撃させたまえ」
幕僚は-----。
「我々も出撃します」陸月が
「よし。出動」陸幕長。。
哲斗もシオリも。
その後ろ姿に守山は。
「大丈夫ですか。
奴はカテゴリー“スリー”でしょう」
「残念ながら。
カテゴリー“3”の怪獣を倒す武器は
まだありません」枠沢も。
哲斗たちの出て行ったドアを。
ジッと見つめていた。




