2-3-04 配置
「人のいないところへ上陸してくれれば
被害も最小限に抑えられるのに」
「では外国に怪獣が出現する場合は。
-----。
日本でも知られている
有名な観・光・名・所・
ということですか」
「まあ、そういうことですか。
モンローも私も怪獣の出現地を決める度に
世界各地を回ってどんなコースを取らせるか
調べたわけではありませんし。
その辺りはやはりその手の観光パンフレットからとなります。
テレビ番組からのモノもありましたか。
まあ、その手の○○モノの場合も
怪獣が姿を現すのは
観光名所が主ですし」枠沢。
「まあ-----それはそうですが。
それはあくまで映画会社の都合で-----。
東京に現れた場合でも
観光ツアーのコースとよく似た経路を」
「しかしそれはあくまで
その作家の先生が
観光コースを参考に
怪獣を暴れさせたからではないのですか。
東京といえばここだ。
とばかりに。
いえ、なんでも」幕僚に一人。
その作家の先生。
東京の方なのかな。
まあいいか。
今更この先生に言っても
仕方がないか。
あきらめ顔。
全員ため息が。
「それでモンロー先生が
遺伝子をいじって
そのように」
実際には枠沢が-----遺伝子をいじって
個々の怪獣ごとに
世界中の主要都市を目指すようにだ。
その都市のリストは
観光旅行案内からピックアップした。
そのプログラムも
モンローに盗まれていた可能性もあるか。
しかし例の無人島では。
モンローの奴
その事には触れなかったし。
どういう事だ。
ヒョッとして
コンピューターが勝手に出現地を
設定してくれる
あのプログラムを-----。
その場合
製造者はその事を知らなくて
当然か。
確か-----。
コマンドとパスワードを入力しなければ
確認画面もでないし。
あのプログラム。
どの都市に-----。
その都市のリストのデーターにしても
何種類かあるし、
怪獣によっては
“複数の都市に
順・番・に・上陸するように
設定されているモノ”もある。
毎回毎回
東・京・にしか現れない
某○○映画の怪獣と同じで
“一ヶ所にしか”-----というモノも。
あるいは
“近場の都市を順番に”。
また、
“世界中の主要都市をランダムに
というモノ”もある。
“ある特定の国にだけ
というモノ”も
もちろん。
これではリドニテスを
さらに増やさなければ-----
ならないかも。
どのプログラムを使っているのかが
わからない以上
怪獣がその都市に
出てくるまでは-----。
「ですが。
どのようにすれば
そのような事が可能とは。
偶然ということはないのですか」
「これをごらん下さい。
これは今まで世界各地に現れた
怪獣の遺伝子です。
モンローはご存知のとおり
怪獣を自分の意思で
自由にコントロールする
研究をしていました」枠沢。
「それはもちろん
存じております」
「その研究の一環として
どうも昆虫や魚の本能といいますか
習性の研究を進めていました。
ご存知のように」枠沢。
「それは以前に」
「それで」
「その研究も相当
進んでいたようで。
例えばサケ、マス、ウナギ。
あるいは回遊魚。
さらには渡りをする
ある種の昆虫の
特性といいますか
習性に該当する遺伝子を抜き出して」枠沢。
全員顔色が-----。
「第五周期なり、何なりに置き換えて
元の怪獣の遺伝子に
付け加えて行ったらしいのです」枠沢。
「では奴らは太平洋を回遊し
挙句の果てに
生まれた国へ帰って来るというのですか」
「怪獣が生まれた場所ではなく
サケやマスが-----ですか」官僚。
「しかしサケやマスは
生まれた川に帰って来るのでしょう。
だったら当然
怪獣はバーザスの無人島へ。
そこで卵からかえったのですし」
「いや、世界中からサケやマスを集めれば
それこそ思いのままに。
何せ、生まれた場所に帰ってくるのですから」
「それで大西洋にも」
「ヨーロッパやアメリカ東海岸にもか」
「しかしサケやマスは
元の川の臭いを覚えていて
それで帰ってくるんだろう」
「だったらやはり-----。
バーザスに帰ってくるわけか」口々に。
「いえ-----そうではなく。
もちろんサケやマスならば
そうかも知れませんが。
あくまでも
それをヒントに
他にもいろいろいますし。
遺伝子の帰巣本能ですか。
その部分を解析し
ある時期が来ると
目的の国といいますか
場所に行くように
組み込んだらしいのです」枠沢。
「そういう事-----ですか」
「しかし-----」
「信じられません」
「その目的地というのが
日本や」官僚。
「アメリカ、バーザス、
ヨーロッパか」
「そのようです。
怪獣の遺伝子にも
似たような分子構造が。
どのような方法で
そのような事を可能としたかは
私では-----。
これからの研究課題ですか」枠沢。
「しかし我々が無人島で
手に入れた資料には
そのような事
書かれてはいませんでしたが」
「それは-----」枠沢。
モンローの奴。
出現場所をコントロールできることを
知らなかったのか。
では-----使用したプログラムは
どれになる。
製造者の意志は関係なく
ランダムに勝手にコンピューターが
出現地点を決めるプログラムは。
いや、そんな事は。
バルーグは日本に。
奴はその事を知っていた。
今までに手に入れた
遺伝子を解析しても
わからないし-----。
今から思えば
どのプログラムを使って
怪獣を造ったか
わかるように
履歴がデーターとして
怪獣の身体の中に
残るようにしておくべきだった。
まさかプログラムが盗まれるとは-----。
その手の○○モノでは
よくあるパターンなのに。
-----。
「しかし何らかの方法で
出現地を予想できれば」統幕議長。
「対応もしやすいか」大臣。
全員枠沢を
しかし-----枠沢としても
どうしようもない。
「さらに-----」枠沢。
「他にも何か」
「これは対怪獣戦において
非常に重要な事ですが」
枠沢は一瞬。
迷ったように。
「いえ。
怪獣の幼体期の成長の仕方に
関するものですが」
「幼体期?」
「そう言えば
奴らどこで成長を」
「そうだ。
そこを見つけ出せれば
完全に成長する前にたたける。
それならば
カテゴリー“3”だろうが、
何だろうが。
自衛隊の哨戒機は
何をしているんだ」官僚。
「海上自衛隊の総力を挙げて
捜索しているのですが」海幕長。
枠沢は困ったような表情。
「それが-----全く発見できません。
我々も相・当・念入りに
捜索しているのですが。
これはバーザスにしろ、アメリカにしろ
同じです。
それに-----。
世界各地に
幼体が上陸したという
情報もありませんし」統幕議長。
「そう言えばそうだ。
子供のうちに
大都会に現れても
良いはずなのに」
「現れるのは
大人の怪獣のみか」
「先生。
これも-----」
「先生の-----。
何・ら・か・の・お考えによるものですか」
期待半分-----。
「はい。
残念ながら
遺伝子レベルでそのように。
昆虫の中には
幼体期を全て土の中で
暮すモノもいます。
地上に出て来た時には
すでに成長しきった姿となって」枠沢。
「それもモンロー教授は-----
実現していたと」
「どうもそのようです。
幼体期に発見されて
殺されるのを防ぐためのようです。
それに世界各地に回遊しだすのも
成体になってからですし。
それまでは地下深くに」枠沢。
実際には枠沢が-----。
「地下深くですか」
「ではバーザス国の近海に」
「いえ-----それも。
近海ならば発見される恐れも。
それで-----」枠沢。
「離れた場所にか」幕僚も。
「しかし誰に」
「それは-----」枠沢。
「我々に。
それしかないでしょう」幕僚。
「ではやはり-----。
モンロー教授は世界征服を狙って」
「やはり-----そうか」
全員-----。
「待ってください。
それではリドニテスの件は
どうなります」シオリが。
「それは-----」
全員-----。
どう考えていいのか-----。
「それは-----。
モンロー教授が
怪獣を造ってから後悔して」官僚。
「枠沢先生は
どうお考えですか」別の官僚。
「それは-----」枠沢は言おうかどうか。
「何か。
ご存知なのですか」陸幕長。
「それがモンローに。
ある日」
言いにくそう。
「先生。
おっしゃってください」官僚。
「モンローに、こう質問したのです。
その手の○○映画では
怪獣が暴れても
暴れるのは成長した大人ばかり。
成長前の怪獣はどうしているのだろう-----と。
モンローはどう思う-----と」枠沢。
「それで」
「その時はちょうど
第五周期ですか。
恐竜の遺伝子を解析して
第五周期に置き換えれば
“怪獣”ですか。
それを造れるのではという事が
二人の間で
話題になっていた時期ですので-----」
「それで」
「確かにその手の○○映画でもテレビでも
暴れるのは
-----皆・さ・ん・も・おっしゃった通り-----
大人の怪獣だけですし。
子供の内に発見されて
殺されるという事は
見たこともありませんし」枠沢。
「しかし先生。
それはあくまで映画やテレビでは
対怪獣専門部隊は正義の味方ですし。
いくら怪獣でも
何もしない子供や赤ん坊を
片っ端から殺していくというのは-----。
都合が悪いという配慮から
そうしているわけでしょう」官僚。
「もちろん私も-----モンローも-----。
その点につきましては
充分に承知しておりました-----が-----」枠沢。
「が-----何ですか」
「怪獣たるモノ。
やはり、そうあるべきなのかな-----と
モンローが。
それに対し
私も日本ではそうなっていると。
そう答えたわけです」枠沢。
「それで?」
「幼体期は地下か海中ですごし。
成長してから
地上に姿を現せば良いと-----。
私がアドバイスを」枠沢。
「それも先生が」
「それで-----先生のアドバイスを受けて
モンロー先生がそのように-----」
「まさか
本当にモンローが怪獣を造った上に。
しかもそういう機能まで
持たせるとは-----
思いませんでしたので。
まことに申し訳ない事を」枠沢。
「ですが-----。
そうは言っても
思い込みだけで
そのような事をしますか」海幕長も。
「モンロー教授は
枠沢先生に非常なライバル意識を
持たれていた方ですし」哲斗。
「それはあるか。
そのために枠沢先生に対し
これ見よがしに」
「しかし日本への怪獣来襲は
どうなります。
日本へ来るように最初から
遺伝子レベルでプログラムをしていた
という事なのでしょう」
「ではやはりモンロー先生は
世界征服をーーー」
「それは違うのでは。
怪獣の卵をバラまいたのは
モンロー先生自身ではなく-----」哲斗。イヤに弁護する。
「なるほど、確かに。
モンロー先生は
た・だ・造・っ・た・だ・け・で・
怪獣を成長させて
このような事態を
引き起こすつもりはなかった-----。
というわけか」官僚が枠沢を。
「それで怪獣の出現予想地点に
リドニテスを」
「事前に配置した」
「そうなりますか」
本当のところは
枠沢が遺伝子レベルで
そのようになるようにしたのだが。
枠沢は-----。
その手のキワモノ映画に出て来る
その手のモノに対し、
どうすればそれを実現できるか。
あの点は、この点はと。
ここは、あそこは
このようにすればと。
それらについて、
日夜、考え
次々と実現していった
-----わけだ。
しかしマサカ-----。
それらの研究成果を記した資料が
何者かに-----。
モンローに盗まれたわけだ。
隠ぺいの強度からいって
モンローもそのことに気づかなかったか。
不本意ながら
今までに現れた怪獣、リドニテスの
遺伝子を調べた結果から判断して
モンローは
それをそのまま使っているようだ。
モンローが自ら遺伝子を
操作しようとした形跡はあるが
-----アレではとてもとても。
下手にいじれば-----どうなるか。
しかし-----本当にそうだろうか。
もちろん枠沢にすれば
そのような怪獣など
実際に造るつもりなど
-----この地球上では-----
造ればどうなるか
イヤというほど-----
全くなかったわけだし。
タダ単純に。
その当時は
その手のキワモノ映画を見て
この点はこうすれば
あの点はああすれば
-----と。
それでそのようにしただけだ。
しかしそれを言うわけには。




