2-2-03 研究所
哲斗たちが枠沢の研究所を訪れた時
枠沢は-----。
しばらくして枠沢が玄関に現れた。
「コレは陸幕長。
それに陸月さん。
ようこそ」
あまり“ようこそ”という
雰囲気ではない。
外には警備のためか
BBガン、BBライフルを持った自衛官たちが
二十四時間配備されている。
大型のバスや自衛隊の車両も数台。
「まあ、とにかく中へ」
枠沢は陸月たち十人ほどの一行を
中へと招き入れた。
防衛技術研究所の技官たちも
同行している。
研究所外で警備に当たる
自衛官が緊張の面持ちで
敬礼する。
応接間へと言う枠沢を
陸幕長たちは研究所内の案内をと-----
要請?した。
枠沢は-----案内する。
“また取り上げられては”
そういう表情がアリアリと。
「コレがBB兵器の」守山。
「はい。
ビーム発生用の装置といいますか。
発生管を造る装置です」
技官たちも眼を凝らす。
「設計図は見せていただきましたが
すばらしいの一言です」技官。
「この装置を我々でコピーできるか。
正直言って自信がありません」口々に。
「ご冗談を」枠沢もまんざらではない。
「いえ-----本当に。
もし出来るにしましても
一年やそこらでは-----とても」
「なるほ
ですがそれでは怪獣が」枠沢。
「はい。
ですから当分は
先生のこの装置だけが頼りです」陸幕長。
「新しいBB兵器は
今のところコレでしか造れませんし」陸月。
「アメリカ、バーザスからも
自国のBB兵器が完成するまでは
完成品を貸して欲しいと」陸幕長。
「それは聞いていますが。
私としても
これを持っていかれては
今後の研究に支障が。
それに-----
完成品もいくつかは
お渡ししたではないですか」
実際、完成品を何門も。
「しかし-----数が。
失礼ですが
先生が一人でお造りになられるよりも
我々の手で造った方が
二十四時間体制で造れますので」陸幕長。
「それは-----」枠沢。どうだか-----。
「それに何者かに
狙われないとも」
「ここでは警備も充分に行えませんし」
「それは-----」枠沢。
相当数の自衛官が警備と称し
建物の外を-----。
「それと-----先生に直接ご教授願えれば」技官。
「そちらへ行ってかね」枠沢。
「はい」
「しかし-----
大学の授業もあるし」
枠沢は玄希大学で教授をしていた。
「先生はまだ-----
大学で授業を」技官。
それを別の技官が-----とどめた。
「私は大学の教授が
本・業・だよ。
こちらは-----趣味?のようなモノ-----
だ・っ・た・か・ら・」
枠沢もニヤリと笑いながら。
「それと-----大学の授業と言えば
学生にまぎれて
自衛官と思しき-----方が
おられるようですが。
何とかなりませんか」
陸月も陸幕長と。
「それと申し上げにくいが。
ここのモノモノしい警備も」枠沢。
「それは-----」
「あくまでも先生の護衛が。
リドニテスも
まだ何人も生きていますし。
もし奴らが
先生の誘拐を
たくらむような事があれば。
それの各国からも
何やら-----
スパイのような者も
来日しているようですし」陸月。
「それにマスコミも」
何度かテレビのニュース番組には
出たが-----多忙なため-----今は。
「リドニテスたち。
彼らか-----」枠沢。
自衛隊は彼らが全員
死んだ事を知らないらしい。
まだ。
しかし教えるわけにもいかない。
それのモンローの事だ
他にもリドニテスを
-----事によると女性のリドニテス-----
レムルレディーまで-----
造っていないとも限らない。
「ですが-----リドニテスがどうして私を。
私などをさらっても
仕方のない事くらい
彼らの方が良く知っているでしょうし。
それも各国の-----ですか。
どうして私を」枠沢。
「それは-----。
先生ご自身が
ご存じないからでしょう。
ご自身の研究の価値を。
このBB兵器だけでも」
「なるほど。
しかし何か-----
監視されているようで」枠沢。
このままでは研究もままならない。
まあ-----やり方はいくらでもあるが。
それでも気になる。
「我々が。
ご冗談を。
我々はあくまでも
先生の身辺の警護のためだけに」陸月はとぼけた。
「それと-----。
技官たちを何人か」陸幕長。
「-----」枠沢はけげんな表情。
「この研究所に
派遣させていただきたいのですが」
「とおっしゃいますと」枠沢。
「ですから」陸幕長。
「いえ。先生に直接。
彼らにご教授願えればと」陸月。
枠沢は露骨に。
「まあとにかく」守山も。
別の装置を-----ながめるフリを。
「ですが先生は。
本当に重力推進装置や
特殊金属を
お造りにはならなかった。
-----のですか」シオリが。
「そう-----造ってはいないよ。
本当に」枠沢。
「そうですか」シオリ。
「聞くところによりますと。
方々のメーカーに
何かの鋳型のようなモノや。
他にもイロイロと発注なさっていたようですが」陸月
調査は徐々に進んでいる。
その報告は刻々と。
枠沢はニヤリ。
「その中には携帯BB砲やガン、
ライフルのものもありましたが」陸月。
「他にも」哲斗。複雑。
「相当、大きなモノを
造っておられるようで」
「その鋳型も今ここに」陸幕長。
「工作機械も-----多数お買いに」
装置を見て回る。
工作機械にしろ何にしろ
今は他惑星から-----。
その機械はここにはない。
「-----」枠沢はニヤリとしただけ。
「それよりも重力推進装置の件は
どうなりました。
実際にあったのですか。
バーザスは
提供してくれるのですか」枠沢。
「それは-----。
今のところ-----
不明-----です」
言いにくそうに。
「いま、交渉中です。
しかし、もしあったとしましても
我々としても交渉のカードが」陸幕長。
「そういう技術を得るには
当然、お互いに物々交換
という事になりますし」
「BB兵器を提供しているでしょう」枠沢。
「それはそうですが。
何か他にもあれば-----。
BB兵器だけでは-----
交渉もしやすいのですが」守山。
「この差し迫った時期に
何を-----」枠沢。
「それは-----。
何せ政府間の交渉ですので」
「それでここへ」枠沢も疑わしそうに。
「はい」
「ンー」枠沢は考え込んだ。
「重力推進装置の提供を受ければ
戦闘機にも応用できますし。
特殊金属があれば戦車も。
そうなれば」陸幕長。
世界最強の戦車が、戦闘機が。
「なるほど。
その手があったか。
戦闘機に、戦車ね」枠沢。トボケる。
「戦闘機や戦車となると
私一人では
とても造れないか」枠沢。思い直したように。
他惑星で造るという手も。
しかしそれを地球に持って来るわけには。
「ですから」技官。
「エンジンや内部の機構をそのままにして
装甲や砲だけでもか。
やはりそれしかないか」枠沢も考え込んでいる。
「戦車ですか」陸幕長。
「はい。
それの戦闘機にBB砲を
搭載するとなりますと-----。
また別にBB砲自体を
造り直さなければなりませんし」枠沢。
「それは我々の手で。
いま、研究中です」技官が。
「ですが肝心の
特殊金属と重力推進が」別の技官。
「それらを早急に手に入れるためにも
何か
交渉のカードとなるようなモノは
ありませんか。
それでここへ」陸幕長。
枠沢は-----全員を見回した。
「いや-----私も。
以前から
戦車や戦闘機を造ろうとは
思っていたのですが-----。
潜水艦のようなモノも。
しかし個人ではとても。
それで-----
レーダーやFCS、
飛行姿勢制御技術等を
自衛隊に譲ってもらおうとした
時期もあったのですが」枠沢。
今は解決したが。
どうするか。
他惑星のモノを
ここに持ってくるわけには。
陸幕長たちは枠沢が何を言っているのか
わからないらしい。
「例えば戦闘機にしても
機体は特殊金属製に
しなければならないし。
そうすれば
とても現用のジェットエンジンでは
飛べないしね。
何せ鉄よりははるかに軽いが
何十ミリもの厚さの
装甲で覆った機体だしね。
そうなると当然重くなるし」枠沢。
「厚さ数十ミリの-----機体ですか。
怪獣相手の戦闘機とは-----」空幕長。
「怪獣のレーザーを受けても
ある程度持ちこたえるには
そのくらいの装甲は必要ですし」枠沢。
「当然そうなるのか」哲斗。
「重力推進でもなければ
とても」シオリ。
「それも高性能のね。
重力推進装置が必要なわけだ。
怪獣相手に戦うのだしね。
現用のジェットエンジンを使っても
出来るだろうが。
それでは装甲を厚くは出来ないしね。
現用の戦闘機の場合
装甲とは言わないんだね」枠沢。言おうかどうか。
「以前。
メーカーに戦車を売ってくれと
頼んだんだが-----。
あっさりと断られたしね。
自衛隊にツテもなかったしね」枠沢は恨めしそうに。
陸幕長たちを-----。
「内部のエンジンや駆動系
コンピューター等を
そのまま流用して
装甲や装軌部分、転輪や
駆動輪、誘導輪だけを
変えればいいしね
まあ怪獣の攻撃は上から来る
前上方か
だからそれに合わせて
装甲の厚さは変えなければならないが
車体全体の重量バランスは
どうなるか」枠沢。
「なるほど」
「確かに-----
怪獣は大きいですか」
「ほぼ上からか-----。
距離にもよりますが」陸幕長。
「それで-----
せめて自動車といいますか。
装甲車だけでもと思って
以前造ろうとしたのですが。
うまくいかなくて」枠沢。
「ですが-----何を」哲斗。
「だから
特殊金属装甲の-----
装甲車を。
ですが今ならば
コネも-----あるような-----
ないような」枠沢は各幕僚長たちを。
無理かな。
「それであなたたちの力で。
その-----戦車の部品を-----
手に入れられますか」枠沢。
「それは-----」陸幕長。急な展開に。
「では先生もやはり。
特殊金属を造ろうと-----
なさった?」シオリ。
「そうですか。
それで-----」陸幕長。
“失敗したのか”
「それでどこまで
研究は」技官が。
「ですから-----戦車のエンジンや
FCS(火器管制システム)などを
あなた方のコネで
何とか
なれば-----」枠沢。
「ですから-----」陸幕長。どう答えていいやら。
「メーカーに頼んでいただければ。
他にもイロイロと」枠沢。
「法律的に-----」幕僚が。
「法律的に-----ね。
個人でやるとなるとか」枠沢。
やはり-----自分でやるしか。
しかしそれを出すわけには-----。
どうする。
この人たちと-----やるしか-----。




