2-2-02 交渉カード
「後は枠沢先生-----ですか」陸月。
「そうなる。
あの先生。
本当にもう何もないのか」統幕議長。
「それは-----」哲斗も陸月も。
「御本人からは
“ない”
と聞いていますが」シオリも。
「モンロー先生と一緒に研究していたんだし。
この砲の事もある。
この前も
もうないと言っていたしね」守山。
「それにその点についても
バーザスやアメリカ
他の関係各国からもだ
追究されたよ。
“本当にないのか”とね。
“日本政府が意図的に隠しているのでは”とも。
そう思われているフシもある」統幕議長。
「そう勘ぐられても
仕方がない面もあるしね。
それでお互いに
腹の探り合いで
交渉が進展しないのか。
イヤ-----それはないか」守山。
思いなおし。
「なくても
あるように思わせておいた方が。
その方が交渉が。
アッ、イヤ。
まあすぐにわかる事だしね」
「とにかく。
枠沢先生だ」守山。
「陸月二佐。
枠沢先生の例の秘密の研究所は
どうなった。
枠沢先生は何もおっしゃられないが」議長。
「いえ。あの件は。
この前
研究所の存在を我々がつかんだ事を
枠沢先生に-----それとなくお伝えしたところ。
非常に不機嫌に-----」陸月。
「それは聞いている」守山。
研究所の存在は
それより少し前に判明していた。
例の核爆発のすぐ後には-----だ。
そして盗聴器などを
-----全ての部屋にではないが-----
何個か仕掛けてはいた。
外から建物の外壁に
小さな穴を開けて
小型のCCDカメラを
挿入するという事までしていた。
もちろん内部への侵入も。
枠沢はアレから-----ミドグの件のあと
何度かその研究所へ立ち寄っている。
もちろん我々の尾行つきで。
「下手に気分を害しては
協力してもらえないか」議長。
「マサカ。
この重大事に」陸幕長。
「それはないでしょうが。
研究所もそのあと
一応見せていただきましたが」陸月。
「それでこの砲を発見したんだろう」守山。
「はい。
しかし-----大型砲の存在は-----
それ以前からうかがっておりましたし」陸月。
「それは-----確かに」陸幕長。
「以前のように
全ての研究設備を取り上げて-----
と言いますか。
提供していただいて。
もちろん任意でですが。
その上で
こちらで研究していただいた方がいいのか。
それとも
このまま先生の自由意志で
研究を続けていただいた方が-----
いいのか。
今検討中であります」陸月が陸幕長を。
「枠沢先生次第か。
しかしだ。
こちらの方が
人も資材もそろっているんだし
先生の身辺警護の事もある。
誰かに狙われんという保障もない。
何とか説得できんかね」守山。
「それは-----。
何度も言ったのですが」御刀哲斗。
「監視されているようで-----。
イヤだと。
それに-----こちらの設備は使えるモノが
ほとんどないとのことです」シオリ。
「それは」守山。
「それにモンロー先生の件も」陸月。
「モンロー先生?」守山。
「はい。
枠沢先生をあのままにしておけば
また、現れるかも」
「なるほど」守山。
「それはあるか」統幕議長。
「リドニテスか」
「しかしそれでは-----。
とにかくどうするか。
取り合えず
枠沢先生の研究の
全てのデーターなり何なりを
我々で知っておきたい」統幕議長。
「そうすればバーザスやアメリカとの
交渉のカードも握れますか」陸幕長。
「早く有効な兵器を実戦配備しなければ」海幕長。
「ですが本当に」シオリ。
「なんだね」守山。
「いえ。バーザスですが。
そのようなモノを
持っているのですか」
「それは」
守山は統幕議長と顔を見合わせた。
「コレは秘密だが
重力推進も特殊金属もある。
実物を見てきたよ。
この眼で」




