2-1-06 名前3
「いえ。
怪獣自身に名前を書いておけば
いいんですよ。
身体のどこかにでも、
遺伝子レベルで細工をして。
他にも
カテゴリーや生年月日くらいは。
身分証明書くらいの内容は」枠沢。
「なるほど。
身分証明書を-----」
「もちろん出身地もですか」自衛官。
「それは-----もちろん」枠沢。
「やはり-----。
怪獣百科でも出身地は
重-----要-----で-----す-----し-----。
イエなんでも」自衛官。
「学校の名札か何かと。
アッ。イエ」
自衛官は己が胸に眼を。
「そうすれば
いちいち怪獣が出てくるたびに
資料をくって
名前やカテゴリーを調べる必要も
なくなりますしね。
数も多いですし。
妙な名前を勝手につけられる
心配もなくなりますし」枠沢。
「なるほど。
しかし-----失礼ですが。
あのミドグにしろ
日本に現れたバルーグにしろ、
どこにもそのようなモノは
ついてはいませんでしたが」
「そのようにはされなかったのですか」
「それとも我々が見落としたとか」
「イエ-----見落としはないでしょう。
見落とされるような名前の付け方をしては
意味がないですし」枠沢。
「なるほど」
「ではどうして」
「技術的に問題でも」
「いえ-----そうでは
技術的には何も問題は-----ないでしょう。
モンローならば」
“危ない-----。
あくまでモンローが-----。
私が造った事がバレれば
大変な事に”
「それで実際につけようとしたのですが-----。
やはり-----
怪獣の身体に
名前や身分証明書ですか。
そのようなものをつけるというのは
首にIDをぶら下げるのも同じです。
物笑いの種になるのではと-----。
そう考え直して
二人で相談してやめたわけです」
「-----」
「まあ。
身体に名前を書いた怪獣などは
いませんか」
「我々としては
その方が好都合なのですが」アメリカのレーナン。
「どうしてつけられなかったのですか」
「モンロー先生にそうしていただける様に
先生から」
「そうしていただいていれば
名前に関しては-----マスコミにも」
“やはりそう来たか。
マスコミ対策か。
どうゴマ化すか”
「現実に怪獣を造る場合
名前をどこかにつけておいて
当・然・
-----なのでしょうが。
イヤその方が自然なのかも。
しかし-----
映画やテレビドラマの場合
そうは出来ないでしょうし-----。
やはり映画やドラマでは
その手のモノの常識というモノも
ありますので。
現実とはまた違った常識内で
処理する必要が。
現実には
人が遺伝子工学で造ったものならば
身体のどこかに
名前くらい付けておいても
いいのでしょうが。
オカシクはないのでしょうが。
その手の怪獣モノの模型にも
ついているものもありますし。
有名な画家や彫刻家が作った作品には
製作者名もついていますし。
しかし-----。
映画やテレビドラマに出て来る
怪獣となりますと
そのようにするわけには
いかないのでしょう。
実際の話。
怪獣の身体に
名前などつけた日には-----。
その手の○○モノのファンの中には
手きびしい方々もたくさんいますし
何を言われるか。
“非常識だ。
何を考えているんだ。
そんなモノをつけた怪獣など
いるものか”
“この映画の、ドラマの製作者は
何を考えているんだ”
等々。
やはり現実とその手のモノとは
違いますし。
その点を良くわきまえておかないと
大変な事に。
それでどうするか迷ったのですが。
モンローも私も」枠沢。
「確かに。
我々でもそのように言いますか」
納得したように。
「それで-----結局。
映画やドラマの方の常識を
優先させる事にしたわけです。
皆さんにしろ
身体のどこかに-----。
目立つところに
これ見よがしに
名前をつけた怪獣など
見たいですか」
枠沢自身。
見たくはなかった。
マア-----。
ここまでイロイロ言って来たが
それが
つけなかった一・番・の・要因だった。
慣れればそれでも良かったかな。
と思う時もある。
まあいいか。
手厳しい方々の声もある。
「それは-----そうですか」
その答えに枠沢も満足げに。
“やはりそれが正解だったか”
ホッとしたような表情で。
心のどこかに引っかかっていたのだろう。
「ですがモンロー先生が
つける気になれば」
「それはそうですか」
モンローの技術では
名前などつけることは出来ない。
だから身体に名前をつけた
怪獣の出現はないわけだ。
しかし出来るとなれば
モンローならば
どうするか。
まあいいか。




