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堆星

 堆星は薬を手に

 装甲車で一路、防衛省へと急いでいた。

 何人かは迷彩服姿で銃を構えている。

 前後にも装輪装甲車や高機動車が。

 堆星はジッと

薬の入ったアタッシュ・ケースを眺めていた。

 「いったい誰がリドニテスになるのかな」

 同僚の多里たざとが。

 「さあ。我々には-----わからんよ。

 全て上層部が決める事だ」堆星。

 「しかし

なっても二三年で

また普通のヒトに戻るんだろう。

 怪獣相手に戦わされた上に

それじゃあな。

 なれるのは二人だけだしな」多里。

 「四人だろう」

 “一人で二三年おきに飲めば

十年近くは-----”

 「ああ-----そうか。

 分ければいいのか。

 しかしだいじょうぶかな。

 あの枠沢先生。

 あの先生の調べた結果を真に受けても」

 「それはあるか」

 「もし半分に分けて、

量が足りなければ

どうなるのか」

 「まさか身体半分だけリドニテスに

なんて事には」

 複雑な表情を。

 「問題は山済みか」

 「しかし」堆星。

 「それでもなってみたいのも

本音か。

 あの枠沢先生のケツを蹴っ飛ばして、

変身時間も

期間も

何とかできないものかな」多里。

 「それでどうする」

 「いや。

 それは」

 「まあいい。

 しかし、あの先生じゃあ」堆星。

 「無理か」

 「やはりモンローでなきゃ」

 「しかしモンローはリドニテスだぞ。

 それに我々が頼んでも」多里。

 「だから

 こっちもリドニテスになれば。

 モンローを捕まえて」

 「なるほど。それで」多里。

 堆星はニヤリ。

 「しかし、あの先生も。

 自宅に盗聴器からテレビカメラまで

仕掛けられているのを知ったら

怒るだろうなあ」

 堆星は話題を変えた。

 バーザスにいた哲斗からの連絡で

すぐさま手を打ったのだ。

 「まあ、そうだろうな。

 しかし」

 「モンローとグルかもしれないし

仕方ないか」

 「それにあの先生。

 この研究に対して

あまり我々に協力的じゃないしな。

 今度はコンピューターにも仕掛けなけりゃな。

 データーとかを全て手に入れたいしな」

 「二尉殿」隊員の一人が。

 「何だ」堆星が。

 「人が空を」

 「何?」

 堆星も多里も窓から外を。

 見えない。

 「本当か」 

 「はい。

 前の車両にも確認しましたが。

 見たと言っています」

 「どういうことだ。

 なんでリドニテスが我々を」多里。

 「本部へ連絡しろ」

 「襲って来るかな」

 「わからん。

 しかしモンローはともかく」堆星。

 「ライグとかいう奴や。

 エリオットなら」

 「これ以上、仲間は増やしたくはないか。

 確かテレビでも」

 「しかし我々が薬を持っているという事を

どうして」

 「わからん」

 「どうする」多里。

 「どうするって。

 しかし薬は

何としてでも」堆星。

 「本部から連絡が。

 何としてでも薬は持ち帰れと」

 「何!

 かせ」

 無線機をひったくるように。

 突然

前を走る高機動車が

白く発熱し溶け出した。

 後続の装甲車がそれに突っ込む。

 その熱で溶けていく。

 堆星たちの乗る装輪装甲車は何とか止まった。

 横転しながら。

 「クソー」堆星。

 リドニテスが一人。

 歩いてくる。

 誰かは熱でボヤケて良くわからない。

 まあ、リドニテスはどれも似たようなものだ。

 慣れなければ

誰だか個体識別はむつかしいはずだが、

実際は-----どういうわけか識別できた。

 子供の頃に見た

マンガのヒーローによく似ている。

 エリオットでもライグでもモンローでもない。

 「無線は」多里。

 「装甲車が横転した。

 もう動かない」堆星が無線で。

 リドニテスへ後続の装甲車が発砲する。

 しかし全く。

 リドニテスはその装甲車へ。

 隊員たちへ。

 腕から光を。

 装甲車が

隊員たちが溶け出した。

 白熱しながら。

 「何とか脱出しろ」

 無線が。

 相手は陸幕長だ。

 「無理です。

 扉が開きません」多里。

 扉が全て

溶接でもされたように

何をしようがビクともしない。

 「リドニテスの使用を」

 堆星が、思わず口走った。 

 「しかし、カギが」多里。

 「こんなカギくらい。

 すぐに開く」

 堆星はそのあたりはプロ級だった。

 リドニテスは。

 堆星はカギを-----開いた。

 中からリドニテスの薬が。

 「陸幕長」多里。

 「時間が」堆星。

 「仕方ない」首相もいるらしい。

 「飲め」陸幕長。

 二人は薬を手に

飲んだ。

 薬は胃の中へ。

 全身に。

 身体中の細胞が。

 リドニテスはそれを待っていたかのように

装甲車の扉を強引に開いた。

 扉がハガれ

吹き飛ぶ。

 銃を持った隊員たちが

装甲車の中から発砲するが

全くこたえない。

 堆星と多里の二人は

リドニテスに首をつかまれ

外へ引きずり出された。

 「貴様ら二人か。

 薬を飲んだのは」

 バーザス語で。

 声からは全く誰かわからない。

 声帯も口の中の形状も

変化しているらしい。

 しかもその姿は

ライグでもエリオットでも

モンローでもない。

 二人は首をしめられ、声が出ない。

 他の隊員たちは

どうしていいのか。

 リドニテスは、

二人を道路上に投げつけた。 

 装甲車を、他の隊員たちを向き直り

重力波レーザーを。

 全てが白熱化し、溶けていく。

 二人は。

 「貴様。

 何者だ」

 リドニテスはニヤリと笑っただけ。

 「クソ。

 なぜリドニテスにならないんだ」堆星。

 なれないらしい。

 「知らなかったのか。

 その薬。

 飲んでから数十分しないと

身体が完全にリドニテスのものと

入れかわらないんだ」

 「そういう事か」

 確かに、そう枠沢教授も言っていた。

 「我々をどうするつもりだ」多里。

 何とかスキを見つけて

 「いや。

 その薬が本物かどうか確めなくてはな。

 そのために誰かが飲むのを待っていた。

 装甲車から出られなくしたのも

そのためだ。

 そうすれば仕方なくな。

 ニセ物をつかまされてはな。

 それに私自身の力試しも」

 「じゃあ。我々をモルモットに。

 しかし、我々が飲んでしまっては

お前もどうしようもないだろう」

 「どうして。

 私は余分な薬は始末したいだけだ。

 しかし-----どうやら本物のようだ」

 二人は走り出した。

 何としても逃げなければ。

 時間さえかせげれば。

 道路をはずれ山の中へ。

 別々に。

 リドニテスはその二人をジッと。

 空へ飛び上がった。

 森の木々の間を走る二人を

確実に捕らえている。

 多里が-----まず。

 同じ薬でも

それとも個人差か

全身の変化が。

 身体が。

 落ち着いてきたようだ。

 「これでリドニテスに」多里。

 「あの野郎」

 リドニテスへと変身した。

 着衣はそのまま。

 「これで奴と」

 全身に言い知れぬ感動が。

 そこへ例のリドニテスが降り立った。

 「残念だったな。

 私もこれでリドニテスだ。

 早く-----倒しておかないからだ。

 覚悟しろ」バーザス語で。

 多里はリドニテスへ向け

重力波レーザーを。

 リドニテスの身体が

その外皮のみが溶け崩れていく。

 「正体がバレてはと

 ボディースーツを着込んでいたんだが。

 これでは」

 リドニテスはニヤリと。

 特殊金属製のスーツでもやはり。

 「そんな。

 しかしどうして」

 「残念だったな。

 そのリドニテスでは

私には勝てない」

 逆に重力波レーザーを。

 多里の胸を直撃。

 胸が。

 身体の内部から高熱が。

 溶けていく。

 「もう一人の方も

そろそろ。

 他のリドニテスのせいにしたかったのだが

ちょうど手ごろなスーツがなくてな」

 リドニテスは空へ。

 “いた”

 堆星も

リドニテスへ変身を終えたところだった。

 「これでリドニテスに」

 言い知れぬ感動が堆星の全身を。

 「しかしうまい時にリドニテスが現れたものだ。

 多里たちの眼を盗んで

薬を奪う必要もなかった。

 これで後は

モンローを捕まえて

リドニテスを完全なものにしさえすれば」堆星。

 “そして

 私をバカにしてきた奴らを。

 私をないがしろにしてきた奴らを

懲らしめてやる。

 そして私の理想の世の中を。

 このリドニテスの力さえあれば。

 世の中の奴らに

私が主人である事を思い知らせてくれる。

 この私を奴隷あつかいした奴らに。

 他の奴隷どもと同じにあつかいやがって。

 アゴでこき使いやがって

主人に対する接し方をわからせてやる”

 その時。

 リドニテスが-----降り立った。

 「さっきの奴は」堆星。

 「あれは私だ。

 ボディースーツを着込んでいただけだ。

 私がやったとバレてはな」

 「そういう事か。

 しかしどうして」堆星。

 堆星が重力波レーザーを

 相手の腕へ。

 命中。

 殺してしまっては。

 しかし-----結果は全く。

 「どうして」堆星。

 「同じリドニテスでも

力に差があるという事だ。

 しかし、枠沢も

本物の薬を引き渡すとは困ったものだ。

 それも二つとも。

 それに時間的に見て-----全量か」

 あの錠剤は他のものと違い

半量でも何とかヒトをリドニテスへ。

 しかしそうなるともっと時間がかかる。

 「まあ、奴は」

 リドニテスは重力波レーザーを。

 堆星も。

 リドニテスの胸を直撃。

 しかし

堆星は

全身が白熱化。

 消滅した。

 リドニテスは堆星を。

 ジッと。

 リドニテスは空へと飛び立った。




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