誘導
枠沢たちはテレビに映る怪獣を
食い入るように見ていた。
護衛艦が次々と。
「全滅か」
陸月も顔色が青い。
「あんな奴が
日本へ上陸でもしようものなら
大変な事に」哲斗。
「真っ直ぐに東京へか」枠沢。
「やはり、モンロー教授は
怪獣をコントロールする方法を」シオリ。
「そうなるだろうね。
調べてみなければ
はっきりとした事は言えんがね」枠沢。
モンローの奴。
どの資料を-----
プログラムを盗み出したのか。
あの中には確か-----。
しかし-----怪獣のコントロールに
こだわっていたところから見て
完全にコントロールは出来ないらしいし。
どの程度の改良を加えたのか
調べてみなければ。
しかしどうやって調べる。
怪獣の細胞でも手にはいればいいのだが。
それも出来るだけ多くの個体の。
「先生はリドニテスを調べられたのでしょう。
そこからは」シオリ。
「リドニテスにはそのような機能はなかった。
しかし-----怪獣ね。
リドニテスの場合は
ヒトの遺伝子と比較すれば
改造した部分はすぐにわかるし
そこを調べればいいんだが。
怪獣は。どれを。
恐竜か何かだろうが。
何を元に造ったのか。
元の
オリジナルの恐竜か何かの
遺伝子が手に入ればいいが。
遺伝子全てを調べるとなると
時間が。どの位かかるか。
まあ遺伝子にそのような機能を
直接組み込める分、
造る分にはリドニテスよりも
はるかに簡単なんだが」枠沢。
「どうしてですか」哲斗。
「いや、リドニテスの場合は
人の遺伝子を直接、
置き換えられるようなモノを使っている。
人はすでに実際に存在して生きているしね。
クローンのように
これから細胞分裂させていけばいいという
モノじゃない。
遺伝子にしろ、細胞にしろ
すでにあるわけだ。
そのすでにある遺伝子や細胞を全て
金属周期に対応する元素に
置き換えなければならないわけだ。
だから
いわゆる裏焼きしなければならない。
それが大変なんだ。
非常にね。
しかし、怪獣の場合
クローンだから
そのような機能を付け加える場合。
昆虫なり何なりの
該当部分の遺伝子を見つけて
遺伝子をその通りに
置き換えていけばいいだけだしね。
白血球というかタンパク構造というか、
免疫の型は合わせなければならんがね。
そうしないと
異種同士の鳥を組み合わせたときのように
羽がモゲてきたりする。
免疫というのはタンパク質の構造だしね。
遺伝子によって造られるタンパク質の構造が
生物の種類によっても
個体によっても違う。
だからそれに合ったものをね。
調べてみなければわからんが
新しい機能を付け加えるのも
割と簡単にできるわけだ。
走行性か何かの性質を」
「走行性ですか。
では光に」
「光ならこちらも光を使って
別方向へ誘導も可能なのでは」
「いや、光にではなく、
それを改良して
他のモノに反応するようにしたんだろう」
「他のモノですか」
「何に」
「だから調べてみなければ」
「なるほど」
「こちらで誘導は無理か」
「奴の弱点は」陸月。
「自衛隊の持つ兵器では無理でしょう」
「大砲もミサイルもですか」
「はい」
「核も」
「そうかと」枠沢。
「やっぱり、
その手のモノのパターン通りか」誰かが小声で。
「そのように造ってあるんですよ。
モンローが」枠沢、
「-----」
「エッ?」
「イヤ。何でも」枠沢、
「その手のモノのパターン通りなら
リドニテスさえいなければ
我々の持つ通常兵器でも
工夫さえすれば倒せるのでしょうが」誰かが意味ありげに枠沢を。
「-----」枠沢は無言。
しかしどこか-----ニヤリと発言の主を見つめた。
「まあ、
大砲の弾丸を受けて死ぬような怪獣など。
そんなモノ
怪獣とは言わんでしょうが。
そのような
た・だ・の・巨・大・生・物・も
モンローなら造れますが、
そんなもの造っても意味がないでしょう」枠沢。
「意味がないとは。
どういうことですか」シオリ。
「だからその手の○○モノでは
そうなっている-----。
いやまあ、
いろいろあるんですよ。
各方面からね。
イロイロ言われるとか。
まあいいか」枠沢。
「エッ」シオリ。
-----。
「なるほど」
「確かに」
「それでそのようにですか」
タメ息が。
「やはり
リドニテスに-----頼るしか」哲斗。
「実際、リドニテスはいるんですし」
「リドニテスならば怪獣を倒せますか」陸月。
「それは
モンローがそのように造ってあれば
倒せるでしょう」枠沢。
「と言いますと」陸月。
「モンローの考え方一つという事です。
リドニテスの方を強くしたければ
そうしたでしょうし」
「なるほど。
怪獣の方を強くしたいと
モンロー先生が考えていたのなら」哲斗。
「リドニテスでも勝てないわけですか」シオリ。
「しかし。
クルール市での事を考えれば。
それにその手の○○モノのパターンでは
やはりリドニテスの方が強いですから。
モンローもそのように造っている
可能性の方が高いかと」枠沢。
「問題ないわけか。
あれを見る限り」陸月。
「パターン通りですか」
「怪獣なんぞを造る
物好きなんだし。
そうに違いないか。
いえ失礼しました」
誰かが小声でブツブツと。
「怪獣はリドニテスに倒されなくてはならない-----か。
我々自衛隊にではなく」
「対怪獣専門部隊にではなく、だろう。
テレビでは。
彼らの持つ近未来のSF兵器では
歯が立たないしな」
「しかし映画では
自衛隊が-----。
この場合は-----現用兵器でか」
「それでは怪獣相手に全く」
「しかし映画の自衛隊でも
その手のSF兵器を持っている場合もありますし。
ああ-----いえ」
「だが我々は持っては-----」
タメ息が。
「どっちだろう」
「まあどっちでもいいか」
「その手のモノのパターンだからな。
仕方ないさ。
いや-----何でも」
話題を変えようとして-----しかし全員黙った。
「モンローは
いろいろなタイプの怪獣を。
中にはリドニテスよりも。
それにあのリドニテスは
相当手を抜いてありますし」枠沢。
“彼らの言う事にも一理あるが。
映画の中の自衛隊は怪獣相手に
現用兵器で戦うもの-----か。
確かにそういう思い込みはあるか。
私自身。
BB兵器はその手のテレビドラマを元に
考えたモノだし。
どうするか。
自衛隊に使ってもらっていいものか。
アノ○○映画では。
この○○映画では。
確か-----。
大丈夫だろうか。
その手のモノのパターンとしてはどうなる。
最近は映画の自衛隊も
SF兵器もアリとなってはいる。
しかしこの手の銃は出ては来ないか。
大型の兵器のみか。
基本的に。
どうするか。
まあいいか。”
枠沢は自衛隊員たちに眼を走らせた。
タメ息が。
「手を-----」陸月。
「はい」
「どうして」
「それは。
わかりませんが」
「では-----怪獣の方が」
「それは調べてみないと」
「そういう事ですか」哲斗。
「しかし。
今、それを言ってみても
我々にはリドニテスしか。
後は、どう
上層部が-----ですか」陸月。
枠沢も複雑な表情。
「リドニテスは
これ以上造らない方が」
「人は必要以上の力を持てば。
ですか」陸月。
「リドニテスが暴れだせば
怪獣どころではありませんよ」枠沢。
「しかし-----我々には。
怪獣が暴れれば
リドニテス以外は。
人選さえしっかりすればエリオットのような事は。
だいじょうぶでしょう。
それより先生。
リドニテスのあの薬
もっと手に入れられませんか。
モンロー教授に交渉して」哲斗。
「それは」
「それはいい。
ぜひ」陸月も。
「できれば怪獣に勝てる薬を」
枠沢は渋い顔。
「怪獣を造った責任はモンロー先生に。
それが暴れれば」
「それは」枠沢。
「隊長。大変です」
その時。自衛隊員があわてて飛び込んで来た。




