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10/83

○○サイエンティスト 1

 枠沢とスタールは

哲斗とシオリとともに研究所内を。

 「本当に困った事をしてくれたもんだ」

 モンローは渋い顔。

 二人は下を向いて黙ったまま。

 「君たちマスコミは口止めしても

無駄だろうしなあ」

 二人をジロリと。

 テレビカメラの前ではしゃべらなくても。

 他では。

 仲間内では。

 テレビでしゃべれない分。

 そうなるとマスコミがドッと押し寄せて来る。

 それに口止めしても

放送しないわけないか。

 「まあいい。

 しかしどうやってここへ」

 「いえ。

 先生たちと別れてから」シオリ。

 「先生たちがヘリで出かけられたのが。

 タクシーの窓から見えたものですから」哲斗。

 「それで」

 「はい。

 ヘリで出かけるとなるとここしか。

 インターネットにはこの無人島の事も。

 それで漁船をチャーターして」哲斗。

 実際はインターネットではなく

 匿名とくめいの手紙が。

 「漁船」

 「いえ。もう帰りました」

 シオリはしまったという表情。

 モンローはニヤリ。

 「まあいい。

 それより私に何か聞きたい事があるのではないのかね」

 「いいんですか」哲斗。

 「もちろんだ」

 「カメラが」シオリ。

 「カメラは-----。

 ダメだ」

 「そうですか。

 では-----怪獣から」

 哲斗も残念そう。

 「こっちへ来たまえ」

 映写室へ。

 「これは私の研究への

協力者用に作ったスライドだ」

 スタールに指示で二人の所員が用意を始めた。

 「この二人は

 バド・マイルズとライグ・リード。

 二人とも

リドニテスだ」

 二人は哲斗たちに軽く会釈えしゃくした。

 「では、まず怪獣から」スタール。

 「先生。あの怪獣は。

 やはり恐竜の遺伝子から」

 シオリ。

 メモを片手に。

 速記をしていたらしい。

 小型のICレコーダーも

 見つからずにすんだ。

 所持品検査はされなかった。

 スマフォもそのまま。

 どうしてだろう?

 「基本的にはそうだ」

 スタールは枠沢を。

 「しかし-----戦車砲。

 いえ、

大砲の弾丸タマを受けても-----全く」哲斗が。

 「そうです。

 どうなっているんですか」シオリ。

 「マサカ恐竜の遺伝子をいじって

怪獣っぽくしただけで、

そうなったという事は-----

ないですよね」

 恐る恐る。

 「まさか。

 マンガじゃあるまいし。

 それじゃあ。人が

靴をはいて○○マンの格好をしただけで

空を飛べるのと同じじゃないか。

 そんな事は-----。

 ありえないよ」

 “子供の頃。

 いくらやっても-----

飛べなかった。

 それで飛べていればよかったのだが。

こんな事ではヒョットして私はヒーローになれないのではと

真剣に-----”

どこのメーカーのならいいのか。

あれやこれやと考えていた頃が懐かしい。

 モンローは研究員の一人に合図を。

 スライドを。

 「これは」哲斗。

 「君たちも御存知のはずの

メンデレーエフの元素の周期表だ」

 「それは-----わかりますが。

 中学校でやった」シオリ。

 「それが何か」哲斗。

 「人であれ何であれ、

 地球上のたいていの生物は

この周期表にある第二周期の

炭素、窒素、酸素を

主成分としてできている」

 「それが-----何か」

 哲斗も怪訝けげんな顔。

 「はい。

 人の身体の細胞を造るタンパク質も

エネルギーとなる炭水化物も。

 そう言われてみれば

そうですが。

 それが-----何か」

 シオリ。

 得意らしい。

 「それを。

 第二周期の炭素、窒素、酸素を、

第三周期、第四、第五、第六周期の

同じ族の元素に置き換えられないかと

考えた男がいる」

 哲斗もシオリも。

 「なぜそのような事をする必要が」哲斗。

 「なぜって。

 君もさっき言っただろう。

 あの怪獣。

 どうして大砲で撃たれても-----ってね。

 そんなことあっていいわけないと。

 そう考えるのがマトモというモノだしね。

 まあいいか」

 「それは。

 確かに」

 「それでね。

 第二周期では分子の結合力が弱くてね。

 大砲の弾丸が当たっても-----というのは。

 それでだよ。

 まあ研究も進んでね。

 第二周期のまま

強くする方法もあるが」モンローは枠沢を。

 「それを先生が」シオリ。

 「イヤ。私ではない。

 ここにいる枠沢だ。

 私はただ

恐竜の遺伝子を解析して

それを置き換えただけだ。

 第五周期に。

 スズ、アンチモン、テルルに」

 「では怪獣は」哲斗。

 「そう。あの怪獣は。

 いわば、第五周期生物。

 “大怪獣 フィフス”と言うべきかな。

 自画自賛になるがね。

 生物の細胞を構成する

第二周期の元素の炭素、窒素、酸素が

第五周期のスズ、アンチモン、テルルに置き換わるように

遺伝子を改良してわけだ。

 もちろん水素もだが。

 これは第一周期なので説明ははぶくよ。

 第三周期や第四周期等の

元素を使ってもいいのだが。

 同じ族だしね。

 化学的性質も似ているし。

 まあいいか。

 だから大砲の弾丸タマが命中しても-----

そうなるように造ったものだ。

 だいたい怪獣たるもの。

 大砲の弾丸が当たったくらいで死ぬようでは

怪獣とは言わんのだろう。

 大砲の弾丸が当たっても死なないから

怪・獣・と言うんだろう。

 日本では。

 そうなっているんだろう。

 枠沢がそう言っていたが」

 「ええ。

 まあ-----そうですが」哲斗。

 「枠沢先生-----が-----そのように」シオリ。

 「大砲の弾丸が当たったくらいで死ぬような

怪獣を出した日には

笑いものになりますか。

 日本では。

 バーザスでは。

 どうなのですか」哲斗。

 「いや-----まあ。

 バーザスでは-----残念ながら。

 意思の統一がね。

 なされてはいないようだし。

 大砲の弾丸が当たってどうなろうが

怪獣と誰かが言えば

怪獣となるようだし。

 大体大砲で撃たれて死なない生物など----- 

と言う者も。

 いや。

 バーザスの事はどうでも-----。

 とにかく

それで大砲の弾丸が当たっても

死なないようにするには

そうするしかなかったわけだよ」モンロー。

 “こうは言ったものの

我国では実際。

 どうなのかな?”

 「そのために」哲斗。

 「第五周期に」シオリ。

 納得したようだ。

 二人とも。

 「枠沢先生が」シオリ。

 「すばらしい」哲斗。

 「イヤ、私は。

 ただ単に

発想しただけにすぎんよ。

 電子顕微鏡を造り、

遺伝子を解析し、

さらに分子合成装置まで。

 それで遺伝子を合成し

怪獣を造ったのは全てモンローの力だ。

 私の力など

とても彼にはおよばんよ」枠沢。

 モンローもまんざらではない様子。

 「なるほど」哲斗。

 「それで-----あの巨人。

 リドニ-----テスですか。

 彼も。

 その-----第五周期

-----ですか」シオリ。

 スタールはニコリ。

 「イヤ。彼らは違う。

 彼らはその考えをさらに進め

遷移せんい元素。

 つまり金属元素に置き換えてある」

 「金属元素」シオリ。

 「それで全身

金属光沢こうたくなのか。

 金属人間か」哲斗。

 「そう。

 “リドニテス”

と呼ばれる

一群の“金属人間”の事だ。

 もちろん

怪獣にしても金属周期のモノは造れるし、

 リドニテスにしても

第五周期のものもできる。

 ただし

第五周期の人型巨人は

リドニテスとは呼ばんがね。

 日本ではそういうモノは

-----どう呼ぶのかね。

 “宇宙人”とでも。

 そう呼ぶ-----らしいが。

 枠沢によると。

 まあいい。

 協力者の中には

そちらになりたがっている者もいるが。

 子供の頃に見たマンガの影響かな、

 全く。

まあいいか、

 それに

実際にはもっと複雑な事をしているがね。

 ただ単に金属周期に元素を置き換えただけでは

強度不足という事がわかった。

 怪獣も同じだが。

 それで枠沢の超縮小理論を利用した

超重核子ちょうじゅうかくしを使っている」

 「強度不足」哲斗、

 「何に対して」シオリ、

 「もちろん、

攻撃に対して。

 あらゆる兵器の攻撃に耐えうるようにするために。

 当然だろう」

 モンロー。

 枠沢の方を。

 「あらゆる通常兵器や

通常兵器に毛のはえた程度の

SF兵器には耐えられんとね。

 怪獣とは言えないんだろう。

 日本ではそうなっているんだろう。

 それに-----

通常兵器に毛のはえた程度のSF兵器を

日本では

“間に合わせ兵器”

というらしいが。

 枠沢によると。

 なにやら

間・に・合・わ・せ・的・に・-----。

突然、都合よく

出て来るそうだし」モンロー。

 「まあ-----日本では

そうですか。

 それも枠沢先生が」哲斗。

 「ではやはり先生は兵器として

リドニテスを」シオリ。

 モンローは苦笑した。

 「イヤ。私は。

 ただ、私の造ったリドニテスを

完璧かんぺきなものにしたかっただけだ。

 完璧な人類を造りたかった。

 しかし

協力者の中には

そう考えない者もいるようだがね」

 「誰だ。

 いったい」枠沢が。

 「それは-----言えない。

 まだ確証がないのでね」

 「なるほど」

 「それで

リドニテスが人に変身するわけは。

 それと巨大化するのは-----。

 そんな事があっていいわけが。

 この目で見ても

信じられない」哲斗。

 スタールは枠沢の方を。

 枠沢は苦笑い。

 「まず。人からリドニテスへではなく

リドニテスから人へ戻る時の事を

考えてみよう

 その方がわかり易い。

 リドニテスとヒト。

 どう違うか。

 身体を構成する原子も

遺伝子を構成する原子も全て違う。

 だからまずリドニテスの遺伝子全てを

ヒトの遺伝子へ戻さなければならん」

 「そんな事」シオリ。

 「どうやって」哲斗。

 「それには枠沢の超縮小理論を使った」

 「超縮小理論?」哲斗。

 「先程から出てきますが。

 いったいどのような」シオリ。

 「それは。

 例えば陽子が二つあるとする。

 これにある種のガンマー線をてると

一つの陽子になる。

 中性子も同じだ。

 陽子や中性子のまわりにある

電場が変化し、

それによって

そうなる。

 つまりヘリウムは

陽子二つと中性子二つでできているが。

 これを利用すると。

 特殊なガンマー線スペクトルを照てると

陽子二つと中性子二つが陽子一つになる。

 つまり水素になるわけだ。

 多数の陽子や中性子を

一つの陽子や中性子にまとめるという理論だ。

 もちろん電子もだ。

 原子自体もこの理論を応用すれば

原子半径を自由にコントロールできるが。

 まあいい。

 これは別の話だ」

 “水素貯蔵金属か”枠沢。

 「そんな○○な」

 「陽子や中性子は

クォートでできているはずなのに」シオリ。

 モンローはニヤリと。

 「この理論を利用して

まずリドニテスの遺伝子を

元のヒトの遺伝子へと変える。

 リドニテスの遺伝子は

ヒトのモノよりも重い元素でできているのでね。

 身体中全ての遺伝子をだ。

 もちろん身体中の全細胞も。

 ただ、ヒトの遺伝子,細胞と

リドニテスの遺伝子、細胞では

ただ単に第二周期に置き換えただけではすまない。

 空も飛ばさなければならんし

武器も持たさなければね。

 だからリドニテスの時には

遺伝子,細胞がそうなるように。

 人の時には人のものと同じになるように

プログラムしておかなくてはならない。

 これで等身大のリドニテスの完成だ」

 哲斗とシオリは二人の研究員を。

 「しかしそれをするためには

遺伝子に関する関する完全な理解が」哲斗。

 「もちろんだ。

 それだけではダメだがね」

 「巨大化するのは」シオリ。

 “本当なのだろうか。

 マスコミ相手にウソを言っている可能性も”

 スタールの方を疑わしげに。

 “実際には別に理論があって

しかしそれを隠すためにか。

 考えすぎか”

 「巨大化のほうは細胞分裂でやっている。

 生物には

細胞分裂には細胞周期というものがある。

 ヒトでは一つの細胞が分裂するのには

二十時間はかかる」

 「それで」

 「その細胞周期を異常に早めている。

 だから瞬時に巨大化できる」

 「まさか」哲斗。

 「養分は

栄養はどうなっているんですか。

 生物が。

 細胞が分裂して増えていくには

当然、栄養が必要ですが」シオリ。

 「そうだ。

 彼は栄養分も何もなしに巨大化。

 それに小さくなる時も

不必要になった栄養分を

捨てる事もなかったですし」哲斗。

 「見ていたのか。

 それも。

 まあいい」モンロー。

 二人ともバツが悪そう。

 「これにも枠沢の超縮小理論が使われている。

 巨大化に必要な物質は

 原子核内の陽子、中性子内に閉じ込めてある。

 つまりひとつの陽子や中性子内に

数百万から数千万の

陽子や中性子が入っているわけだ。

 栄養も同じだ。

 つまり巨大化するときは

陽子、中性子が次々に数を増やし。

 小さくなる時は逆に

一つの陽子、中性子にたたみ込まれていく。

 そして足りなくなれば

それは常に宇宙線から補給されている」

 「信じられない」哲斗。

 「人の身体の中に

あの巨大なリドニテスが

入っているという事ですか」シオリ。

 「そうなる」

 「私はまた異次元から飛んで来るのかと。

 アッ、イヤ」哲斗。

 「では-----重さは。

 巨人は

足跡から見ても。

 何万トンもあるのでは。

 しかし人になった時には

体重は

私たちと変わらないように」

 シオリは二人のリドニテスを見ながら。

 「それにも枠沢の重力子、反重力子理論を使ってある」

 「重力子、反重力子-----理論。

 なんですか、それ」シオリ。

 「枠沢。

 説明を」

 モンローは枠沢へ。

 しかし枠沢は。

 「まかせるよ」ニコリと。

 「そうか。

 それなら。

 これも枠沢の考えなんだが

例えば電気にはプラスとマイナス、

磁気にはNとSがあり

 引力と斥力せきりょくが存在する。

 プラスとプラス、マイナスとマイナス、

NとN.SとSは反発し、

プラスとマイナス

NとSならば引き合う」

 「それくらいは」哲斗。

 「それが何か」シオリ。

 「しかし重力には引力しかない。

 引き合うだけで

反発するという事がない」

 二人とも当然だと言う表情。

 「それは常識では。

 アッ、イエ」

 モンローはその言葉にニヤリと。

 「引き合うだけで反発力がないから

重力推進もできないんだが。

 ここにいる枠沢が-----考えついた。

 重力を発生する物質にも

電子と同じように。

 電子に対して陽電子が

存在するように、

重力子に対して

反重力子という物質が

存在するのではないか。

 とね」スタール。

 「それは-----。

 物理学者といわず。

 みんな-----言っている-----事ですし」

 シオリがブツブツと。

 「枠沢が天才的なのはこれからだ。

 物理学者はその反重力子は

宇宙のどこか。

 この宇宙ではない宇宙にあるとか

言っている。

 しかし枠沢は

重力子も反重力子もこの宇宙に。

 しかも

我々のホンの身近にあるのではないかと考えた。

 我々の身近にあるのだが、

我々が未熟なために

発見できないのではないかとね」

 「ですが先生。

 それはおかしいのでは。

 もしそうなら

そのようなもの見つけるなどという事は

簡単なのでは。

 もしそれがあれば

地球の上に落とせば

すぐにわかる事ではないですか。

 地上に落ちれば重力子。

 上空へ昇っていけば反重力子。

 しかしそんなもの

どこにもありませんし。

 ですから重力物質はこの宇宙に

反重力物質は上へ昇ってというか。

 反発して

とおの昔に宇宙のはてにでも集まっている。

 しかも遠ざかっている。

 と考えられているのでは」シオリ。

 「重力子同士は引き合って

重力子と反重力子は反発するか。

 私も最初。

 そう考えた。

 その考え方から脱却できなかった。

 しかしだ。

 枠沢は

別の視点から取り組んだ。

 電気双極子そうきょくしだ」

 「電気双極子?」哲斗。

 「そう。

 プラスの電荷を持つ物質と

マイナスの電荷を持つ物質が

ある間隔で並んでいるものだ」

 「それが何か」シオリ。

 “電磁気学か”

 「枠沢は。

 例えば

電子と陽電子は現実に我々の世界に

双極子ダイポールの形で混在している。

 くっついた形で存在しているわけだ。

 消えた反物質というのがあるが

アレは全くの間違いだ。

 ダイポールの形で身近に存在している。

 対出現対喪失というのもあるが、

あれは

モトモト空間に存在していた

電子と陽電子のダイポールが、

ガンマー線スペクトルが照ったことにより、

電子と陽電子が

分解または結合して

現れたり消えたりしておきる現象にしか過ぎない。

 我々の技術が未熟なため

その電子と陽電子のダイポール状のモノを

発見できない。

 そのために

何もないところから

電子と陽電子が飛び出して来たと

思い込んでいるだけだ。

 なにが

エネルギー

イコール

質量だ。

 Eイコールndの二乗だ。

 原子を見てみたまえ。

 陽子と電子が

ある間隔を置いて消滅する事もなく

存在し続けている。

 電子と陽電子の間で同じ事が起こっても-----だ。

 良いわけだしね。

 まあいい。

 つまりだ。 

 電子も陽電子も

宇宙のハシとハシにあるわけではない

ぶつかっても消えてなくなるわけでもない。

 双極子の形で存在し続けているわけだ。

 我々の身近に。

 それと同じように。

 重力子と反重力子は

重力双極子という形で

この我々のいる宇宙に

同時に存在しているのではないかと考えた。

 双極子というのは

例えば

プラスとマイナスが非常に近い距離で存在している。

 近づけばプラスとマイナスを感じるが

少し遠ざかれば

何も感じなくなる。

 例えば

電子なり何なりの物質が

その重力子、反重力子の双極子でできていた場合

どうなるね」

 「それは」

 「双極子同士。

 少し離れれば重力は感じられないが。

 しかし

この双極子に

別の双極子なり重力子、反重力子なりを

近づければどうなるか。

 双極子同士の場合を考えると

プラスとプラス、マイナスとマイナスは

反発し合い

プラスとマイナスは引き合う。

 まあ、電子内なり

陽子、中性子内で

どれ位、自由に動けるかの問題もあるが。

 その結果

双極子同士にあるプラスとプラス、

マイナスとマイナスの粒子の距離が変わり

わずかながら引・力・が生じる。

 引力のみだ。

 引力のみ生じるというのは

電磁気でもやっただろう。

 それが重力の正体ではないか。

 とね。

 斥力せきりょくは生じないわけだ。

 ただその場合

従来は重力子同士は引き合い

反重力子と重力子は反発し合うと

考えられていたが。

 そうではなく

重力子と重力子、反重力子と反重力子は反発し

重力子と反重力子は引き合う事になるが。

 念のため。

 それとここで言っている。

 重力子と反重力子は

電子、陽電子と同じような物質の事で。

 君たちの言っている

重力子-----光子と同じようなものではないよ」

 哲斗もため息を。

 全く。

 「それにその重力子と反重力子を

電子、陽電子と同じように分ける事ができれば。

 例えば今我々は電子のみを使用しているね。

 それと同じように

重力子なり、反重力子なりの

どちらか一方のみを使えるようになれば

強力な重力波レーザーも造れるわけだ。

 重力は電子に比べ

今までは力が非常に弱いと考えられていた。

 だからレーザーにしても意味がないと。

 重力波発電というのもできるかも知れん」

 「先生方、お二人は。

 失礼ですが。

 それが-----」シオリ。

 「そう。

 この理論が原因で大学を追われた」

 スタールも枠沢も。

 この理論の発表当時

えらいことになったらしい。

 「モンローにはスマンと思っている」枠沢。

 「水臭いことは言うな。

 そのおかげでリドニテスを造れたんだし

逆に感謝してるよ」

 “まあ、当然か。

 こんな理論を。

 ア、イエ-----”

 「しかし。

 それとリドニテスの体重とは

何の関係が」シオリ。

 「それが大いに関係があるんだよ。

 重力双極子が。

 物と物とが引き合う力の原因だとすると

つまり重さの原因だとすると」

 二人はゴクリ。

 「重力子と反重力子の双極子間の距離を変えれば。

 その物質の重さを

自由にコントロールできる事になる。

 電磁気でやっただろう。

 つまり

リドニテスが巨大化した時には

電子内、物質内に存在する

物質そのものかな。

 これは。

 重力子、反重力子の双極子間の距離を

元の状態に戻す。

 そうすると元の重さに。

 そして

人の大きさになった時には

双極子間の距離を小さくする。

 そうすれば軽くなるわけだ。

 そうなるように

距離の定常状態が何個かあり

その時にあわせて

都合のよい定常状態に収まるように造ってある。

 Eイコールnd二乗がどうなるか。

 エネルギーと質量の関係がね。

 いや-----まあいい。

 これは言わない約束だったし。

 だからリドニテスでは

最低三つの定常状態が必要なわけだ。

 人と等身大リドニテスと巨大化した時とのね」

 哲斗もシオリもア然と。

 何を言っているのか。

 全く-----信じられない。

 「それもガンマー線ですか」

 「そうだ。

 リドニテスを構成している原子というか

陽子、中性子、電子は通常のものではないんだよ。

 特殊なガンマー線スペクトルを照てれば

そうなるような陽子、中性子、電子を使ってやっている。

 そのような陽子、中性子を作る

遺伝子を造ったわけだ。

 それにガンマー線を照てると。

 実際にはガンマー線スペクトルと同じ効果を持った

酵素を使っているがね」

 「ですが。

 変身する時のエネルギーは。

 これだけの変化を強いるのですから

そのエネルギーは

莫大な量になるのでは。

 それだけのエネルギーを消費して

どこから補うのですか。

 まさか変身するたびに体重が減少するとか」シオリ。

 「それも急激に」哲斗。

 「まさか。

 それには宇宙を漂う宇宙線を。

 君たちの言う

ニュートリノや他の物質を

体内に取り込んで使っている。

 だからその心配はない。

 蓄積してあるんだ。

 超縮小してね。

 もちろんこれは。

 宇宙線は

普通の人間をリドニテスへ。

 原子を通常のモノからリドニテスのモノへと

変える時にもそれを使っている。

 ただし

蓄積していない分、

普通の人をリドニテスにする時には

それだけ時間がかかる。

 変身の時のように

一瞬にとはいかないんだ」

 「普通の人をリドニテスへと変える時にもか」

 「細胞というか遺伝子自体に

 宇宙線を取り込む機能を持たせてあるんだよ」

 「信じられない」

 「全く。

 現代科学とは

かけ離れた考えですので

何かの間違い。

 イエ」シオリ。

 「リドニテスを見てもかね。

 それに

現代科学の理論でどうやれば

リドニテスができるのかね」スタール。

 「いえ-----それは。

 例えば

その何とかいう理論で造ったつもりが、

実際には何かの偶然が重なって

たまたま-----できたという事も」シオリ。

 「リドニテスがかね」

 「はい。こう言っては何ですが。

 世の中には良くある事ですから。

 例えば」

 「例えば」スタール。

 「マ・ガ・サ・シ・タ・マ・マ・の理論のように」

 「マガサシタママ(MINIMUM MISTAKE)の理論。

 電磁論か。

 アインツの”総合場の理論”とやらの先駆けとなった

わけのわからんアレか。

 電場と磁場の総合か。

 次は重力場か。

 あの百年以上信じられて来た」

 スタールは苦笑を。

 (実際にはこのような理論は存在しない-----著者注)

 「マガサシタママの理論といえば」

 モンローは枠沢の方を。

 枠沢は-----無言で。

 「何とかいう電磁論もあるが。

 本当に正しいのかね」モンロー。

 「エッ。

 アノ○○○理論は-----正しいのでは」シオリは妙な表情を。

 「例えば-----電界が変化すれば磁界が変化するなどと

わけのわからん事をいっているようだが。

 本当なのかね。

 そんな事ありえないだろう。

 電界が変化しただけで

磁界が変化するなどという事は

本当にあるのかね。

 よく考えてみたまえ。

 アレは電荷が存在するから

電界なり磁界なりが

電荷に作用し

電子なり、陽子なりが動いて

磁界なり電界なりが変化するんだろう。

 電荷なり何なりがあってこそだろう。

 ○○の電磁論の元になった

ファラーの法則にしても、

アンプの法則にしても、

電線があっての話だしね。

 電線を流れる電子が磁界を生み出し、

磁界が変化する事によって

電線内の電子が動くんだろう。

 その証拠に

最初、磁界が変化すれば電界が変化する

と言っておきながら。

後で、磁界が変化しても電荷がなければ

電界は変化しないとしているしね。

 そうしないと

例えば電球を考えた場合。

電球から光が出る。

 つまり電球が光るわけだ。

 電球から光が出るのは

詰る所、電球のフィラメントで

電子が動いているわけだろう。

 電子が動いて電界が変化し

それが光というわけだ。

 しかし電界が変化しただけで

そこから光が出るとなればどうなる。

 電球以外からも光が出る事にならないかね。

 それを言っているわけだ。 

 あれはね。

 電波伝搬のように考えればいいんだろう。

 アンテナで電子が動く。

 そこから電場が変化して-----だ」

 モンローはそこで言葉を切った。

 シオリたちを見回すように。

 シオリたちは-----。

 「まあいいか」タメ息を。


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