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第一話

書き直しました。2019


 その日は珍しく、冬だというのに暖かい日だった。

 陽光が、連立する柱の隙間から、走っている僕を射す。


(早く庭に出なくちゃ)


 焦りながら、見え始めた庭をちらりと一瞥する。駆ける足に更に力を込めた。

遅れたらコトだ。今日の式典は、僕が主役でもあるんだから。


(でも、主役なんて柄じゃない。僕は他人の人生を観ていたいってのに……。まあ、それ故に、今回の任務は楽しみでもあるわけだけど)


 僕は、自分の頬が緩むのを感じた。


 僕に白羽の矢が立ったのは、三ヶ月前のことだ。

 いつもと同じように記録係の任に就いていた僕のもとに、上官から呼び出しがあった。


 記録係は、内勤と外勤があって、内勤は主に城中で起こった物事を記録していく。その中でも王宮に就ける者はほんの一握りだ。


 そんなところに僕が就けたなんて、今でも信じられない。二年前の僕はよっぽど運が良かったんだろう。


 記録係は内勤と外勤だったら、内勤の方が地位は上だ。だけど、僕は外勤に出たい。給料も少し減ってしまうし、命の危険に遭うこともあるけど、それでも僕はずっと外勤の任に就きたかった。


 外勤任務は、主に国外で行われる。

 軍について回り、戦況を記していくのが殆どだけど、中には間者のような危険な仕事をする者もいる。

 だからこそ僕は、やってみたかった。

外の世界へ飛び出して、色々なことを記したいとずっと思っていた。


 その機会が与えられたことに、僕は今、体が震えるほど興奮してる。僕が注目される不満なんて消し飛ぶくらいに。

 上官から今回の任務を聞いたときは、泣いて喜びたいくらいだった。


 僕は今日、ジョウという国に行き、外勤の任に就くのだ。間者をするわけではないけど、条国に赴いて、そこで集められた各国の猛者達が計画していく作戦の一部始終を記録する。それが今回の僕の任務だ。


(まあ、他にも仕事はあるんだけどね……)


 僕の生まれたこの世界には、五つの国があり、世界地図で見ると、大地の形は龍に似ている。


 頭の部分にハーティム国という国があり、海を隔てて驟雪しゅうせつ国という大国がある。驟雪はちょうど龍の上半身辺りに見える地形をしていた。


 そして僕らの国、ルクゥ国も驟雪国に匹敵する大国だ。ルクゥ国は龍の下半身部分に見える位置にあり、龍の手に見える半島があった。その半島は驟雪国とも繋がっているため、半島を巡って諍いも絶えない。


 そしてこれから向う条国は、半島から北東に向かった場所にある小さな島国で、龍の玉のようにほぼ丸い地形だった。


 最南端の国である水柳すいりゅう国は、我がルクゥ国と海を隔てた位置にあり、龍の尾のように見える地形をしていた。


 そして、各国にはそれぞれドラゴンと呼ばれる生物が生息している。固有種が多いが、共通のドラゴンも存在していた。でも、その殆どが凶暴で、人間に害をなす。


 軍において、竜狩師サッシャと呼ばれる専属の討伐隊が組まれるほどの害獣だ。


 だが、なかでもラングルと呼ばれるものはおとなしい性格で、発見されると捕縛され、飼われることもある。


 ちょうど馬と同じくらいの体格で、首が蛇のようにうねっていて、人を乗せて飛ぶことが出来るんだけど、まあ、ラングルを飼えるのなんて、王族か上流貴族だけだ。

 僕みたいな中流貴族の出じゃ、まず手に入らない。


 今回の計画には、そのドラゴンという生物が深く関わっていたりする。

 この世界の食物連鎖の頂点に、通称〝魔竜〟と呼ばれるアジダハーカというドラゴンが存在する。


 この魔竜に毎年、世界中で多くの人間が殺されていた。

 僕らの国、ルクゥ国だけでも年間数百人は死んでいる。


 ルクゥ国に生息している魔竜は、東の山間部を住みかとしていて、王都とは正反対の場所だった。だから、王都生まれの僕は魔竜を目にしたことは無い。


 なんでも魔竜は、魂を糧としていて、対象物の魂を吸いだして食べるとか。


 被害を減らそうという計画は、各国でそれぞれ立てられていたけれど、成果は中々上がらなかったようだ。なにせ、竜狩師ですら、手が出せない相手だ。


 その魔竜を倒すために、各国が初めて手を組むことを了承し、此度の召集となったわけだけど……。

世界全ての国が手を組むだなんて、歴史上でも初めての試みだ。


(あ~! わくわくするなぁ!)

 

 胸を躍らせながら庭へ出ると、もうすでにパレードの準備は整っていた。芝生の生えそろった広場に、門へ向かって長い行列が出来ている。

 象や、馬、そして貴重なラングルが、ビシッと一列に並んでいるさまは壮観だ。


「おい! 早くしろ!」


 見惚れていた僕に、兵士が列の中から声高に叫んで手招いた。慌てて列へ近づくと、きょろきょろと辺りを見回す。


 列の中心にいた象の上から誰かが手を振ったのが見えて、僕はその象に駆け寄り、象にかけられた梯子を上って覗いた。豪華で煌びやかな椅子に腰かけていたのは、二人の男女だった。


 どちらも神官の正装を身に着けている。一人は、ツバがなく丈高い帽子を被り、純白のマントを羽織っている中年の痩せた男で、もう一人は金の髪を上品に纏めて、大きな花柄の髪飾りをあしらっている少女だった。僕と同い年くらいの子だ。どことなく、手持無沙汰な表情をしている。


「やっと来たかい。じゃあ、私はお役御免だね。さあ、さあ、座りなさい」

 彼はそう言って席を立ち、僕にそこに座るよう促すと、そそくさと退散した。少し緊張しながら彼女の横に座る。


(もしかして、彼女がそうなのか?)


 僕は隣の少女を窺い見た。彼女の肌は白いと言われる僕らルクゥ国の人間から見ても、極端に白く、透き通るように美しい。その緑色の瞳は陽光を受けて、雨上がりの野草のように煌めいた。この肌と瞳の色の特徴は、ルクゥ国の北部に住む少数民族に見られるものだ。


「こんにちは。もしかして、ヒナタさん?」


 僕が尋ねると、彼女はすっと首だけを動かして僕を見た。そして、瞳を軽く閉じ、頷くように瞬きをした。どうやら本人らしい。


「わあ。そうなんですね。僕、レテラ・ロ・ルシュアールです」

(ルクゥの英雄に会えるなんて、感激だぁ!)


 僕は興奮しながら彼女に握手を求めた。しかし、ヒナタ嬢はその手を無視して、つまらなそうに視線を外へ投げた。

 手のひらは行き場をなくして、わしゃっと空を掴む。成す術もなく、僕は腕を引っ込めた。


 彼女は、ヒナタ・シャメルダ・ゴートアール。


 ルクゥ国では、かなりの有名人だ。

 神戦巫女や血の巫女と呼ばれ、神官でありながら、戦場に立つ。


 鮮血を操る能力を保有し、竜討伐や、敵国との戦いで名を馳せた英雄だ。それでいて、その場に居るだけで、薔薇が香り立つように魅惑的なオーラを放つ少女だという噂だった。


 今回の任務の本当の主役は、僕ではなく彼女だ。

 彼女は、魔竜討伐にルクゥ国の中で唯一選ばれた猛者だった。僕は、そのおまけだ。

 密かにヒナタ嬢に目をやった。


 確かに、ヒナタ嬢には不思議な魅力がある。その容姿故なのか、思わず目を引くんだ。でも、噂によれば戦いの神、ジャルダ神に心酔しているとか。


 もしかしたらヒナタ嬢が戦場に立つのは、ジャルダ神への憧れ故なのかも知れない。

 なんだかむくむくと好奇心が湧いてきた。

(真実を確かめたい!)

 僕は、ヒナタ嬢を見据えた。


「ヒナタさん。ジャルダ神を心酔してるって、本当ですか? もしかして、その憧れから戦場に立つんですか?」


 思わず弾んだ僕の声音を打ち消すように、彼女は僕を鋭く睨み付けた。

(まずったかな……? また僕の悪い癖が出た)

 後悔した瞬間、ヒナタ嬢は唸るように低く呟いた。


「心酔だと? そんなものじゃない」

「で、ですよね。すみませ――」


「あたしがジャルダ神へ抱いている気持ちは、心酔などと安い言葉では表せはしない。あの方の素晴らしさを、お前は知らないのか。トリネザウスとラインスロープの戦いで、あのお方は、ラインスロープ軍を打ち負かしたのだぞ。その戦いたるや、まさしく軍神の名に恥じないもので――」


 突然、ヒナタ嬢は僕の言葉を遮り、饒舌に神話を語りだした。

 唖然とする僕を見る素振りもしないで、息つく間もなく、彼女は熱心にジャルダ神へのいわゆる称賛という名の愛を紡いで行く。


 それは、この星を造ったとされるトリネザウスと、その子供であるラインスロープとの戦いで、ジャルダ神がトリネザウス軍につき、軍を率いてラインスロープ軍を壊滅させた神話だった。


 炎の化身であるジャルダの兄でもあった、天空の神ラインスロープは、空に封印されてしまい、空は空虚となり、彼が封印の中で涙すれば、それが雨となって大地に降り注ぐと謂われている。


 ヒナタ嬢のジャルダ神への賛美はパレードの列が出発し、市街を歩き回っている間も続いたけど、僕はそれを聞くのが嬉しくてしょうがない。


 彼女が語る神話が楽しかったからじゃない。

 僕はその人が何に興味があるのか、それを知ることが三度の飯よりも好きだ。だって、その人の奥底に触れることが出来る瞬間だから。


 僕は、ジュストコールの内ポケットから取り出した自作のメモ帳に、すらすらと木炭のペンでヒナタ嬢の言葉を書き記していく。神話はもちろん知っていたけど、彼女の口から語られたということが重要なのだ。


 だけど、ジャルダ神の神話を話し終えた彼女は途端に無口になり、元のつまらなそうな表情へと戻った。


 石造りの家並みが並び、石畳の道を埋め尽くすほどに集まった大勢の市民へ向けて手を振り返すこともなく、笑顔を向けることもなく、ただ遠くを眺めていた。そのアンニュイな雰囲気が、どうしようもなく人々の視線を集めるのに、そのことにもまるで興味がないみたいだった。


 市街を一周し王宮の前に停まった象から降りて、そこに用意してあった祭壇の上に僕らは立った。

 先程の神官の男が立っていて、僕とヒナタ嬢は祝福を受けた。


 長々と祝詞を聞き、それが終わると、僕らは歓喜に湧く民衆に手を振った。このときもやっぱり、ヒナタ嬢は手を振り返さずに堂々としていた。


 僕らはまた象に乗り、王宮へと続く坂を上って庭に舞い戻った。

 ヒナタ嬢は纏めた髪を解き、髪飾りを乱暴に引き抜くと、象の上からそれを地面に投げ捨てた。

 まるで、おしゃれなんてしてられるかというようだ。

 

 僕は、美容に無関心なヒナタ嬢と共に象から降りると、彼女に続いて謁見の間へ向った。重厚で煌びやかな扉を潜ると、連立した白い柱に導かれるように、朱色のカーッペットが敷かれ、その先に豪華な椅子に腰掛けた初老の男がいた。


 ルクゥ国の王、バルト王だ。

 緊張しながら王の許まで行くと、先を歩いていたヒナタ嬢の隣に立ち、同時に跪いた。


「うむ。此度の式典はどうだった」

「はい。この身に余るほどでございました。恐悦至極にございます」


 緊張で少し声が震える。

 王は、「そうか」と呟いて立ち上がると、僕たちに顔を上げるように言った。顔を上げると、王は握っていた拳を解いて、金色のコインを投げた。


 コインは弧を描き、僕たちの頭上を通り抜けて地面に落ちて、くるくると回った。そのまま回転を速めると、どういうわけか、コインを中心に黒い滲みが広がった。


コインはその闇に飲み込まれ、あっという間に地面に暗い穴を開けた。それは直径五十センチ弱はある。


「これで、条国へ転移出来るそうだ」

「もしやこれは、条国の紅説こうとく国王がお造りになられたものでは?」


 条国の紅説王といえば、術式の開発に熱心で有名な方だった。どういう原理なのかは判らないが、次々に様々な術を編み出す。例えば、術式を紙に書き、それを地面へ落とすと一定期間火柱が上がり続けるものなどがあった。確か、呪火と言っただろうか? 是非とも御会いして、どんな原理で、どんな経緯で作られたのか訊いてみたい。


「その通りだ。さすが、物知りだな。お前に白羽の矢を立てて良かった」

「勿体無いお言葉でございます」

「お前にも期待しているぞ。ヒナタ。他国の者よりも多く、魔竜を仕留めるのだぞ」

「……はい」


 ヒナタ嬢は感慨なさげに頷く。


「では、出国と行こう!」

「ハッ!」


 王の号令で、僕とヒナタ嬢は立ち上がった。開いた穴を見つめ、互いに顔を見合す。今更ながら、緊張感が高まってきた。心臓が飛び出しそうなほど、鼓動が速まってきたのを感じる。


「あたしから行く」


 僕のビビリを察したのか、ヒナタ嬢は冷静に呟いて、暗い穴へと一歩足を踏み出した。


(ああ、僕って情けないなぁ)


苦笑を零した僕の耳に、ヒナタ嬢の独り言が聞こえてきた。


「待つのは面倒臭いからな」

(僕だって、緊張しただけで、すぐに行けるさ!)


 僕はムッとして、誰に言うでもなく心の中で見栄を張って、ヒナタ嬢の背中を睨み付けた。


 ヒナタ嬢は、穴の中心まで行くと穴に沈み込み、ずぶずぶと底なし沼に飲まれるように、闇の中に消えていった。

 僕はそれを見送ると、一息ついて気合を入れ、穴に向って足を踏み出した。


 * * *


 閉じていた瞼に光りが射し込んで、瞼の裏を紅く染める。僕は、ゆっくりと目を開けた。目に飛び込んできたのは、見た事のない部屋だった。いや、書物では何度か目にしたことがある。


 僕は思わず、しゃがみ込んで床を触った。資料で見た、い草という草を編み込んで出来た、畳という物が敷かれた床に違いない!

 ざらっとした感触。ほのかに香る、青臭い匂い。


「すごい! これが、条国の畳というやつか!」


 僕は感激して、部屋を見回した。そこは、四方に薄い戸で囲われた部屋だった。戸にはそれぞれ美しい絵が描かれている。


 川のような模様や、山や、森。色とりどりの花が描かれている戸もある。どうやらどの戸にも、金粉が僅かに散りばめられているようだ。上品な金色が陽光に照らされ、星のように輝いている。


 ただ、一箇所だけ、僕の後ろにある戸だけは、様子が違った。格子状の木枠の中に白い布のようなものが張ってあるだけだ。


 僕は、左の花が描かれている戸を触った。ざらっとしていて、紙の様な感触。僕の脳内に、昔見た図鑑が浮かんできた。


「そうか。これが、襖だ。そうだ、そうだ、資料で見たぞ! そうだ。それで、この後ろのが障子っていうやつだ!」

 

 障子は襖と違って和紙という紙が貼ってあって、明かりが入るようになっているんだ。

 こんな形式の屋敷は、通常、条国と驟雪国の一部の地方にしか存在しない。一部、と言っても、確か三分の一はそういう形式だと聞いたことがある。


 僕は、感激に打ち震えた。早く、書き記さなくちゃ。

 ポケットを探った瞬間、襖の向こうからくぐもった声が聞こえた。男の声だ。

 そっと襖を開くと、そこにはヒナタ嬢がいた。そして、もう一人、背の高い男がいる。

 ヒナタ嬢の横顔は、不快そうに歪められていたが、赤茶髪の金色の目をした背の高い男は、浮ついた表情でにやにやと頬を緩ませていた。


 何やらヒナタ嬢に語り掛けているようだが、ヒナタ嬢はしかめっ面を浮かべ、煩そうに男を見やっている。おそらくヒナタ嬢には、彼の言葉は理解出来ていない。


 男の年齢は二十代中頃。中華服チュフルと呼ばれる服を着ていた。

 短く、ぴんと張った立ち襟に、コートのように長い上着。太もも辺りからスリットが入り、丸みを帯びたズボンが顔を出している。腕の部分の生地は袖口に行くにつれ、大きく開いていた。


 中華服は最南端の国、水柳国の者しか着用しない。――ということは、彼は……。


「もしかして、水柳国の将軍、陽空ヤンクーさんですか?」

 襖を開けると同時に尋ねた僕に、彼は仰天したように見開いた目を向けた。

「何だよ。言葉解る奴いんの? 早く言ってよ~」


 彼は安堵したように息を吐いて、僕の肩を軽く叩いた。

 僕がこの任務に選ばれた理由のもう一つが、これ、通訳だった。

 僕らの世界には今現在、五つの言語が存在していた。細かく言えば、様々な民族が各国にいるから、言葉はもっと多様化しているけれど、大きく分ければ五つだ。


「じゃ、一丁通訳してくれる?」

「あ、はい」


 陽空さんに頼まれて、僕は意気揚々と返事を返した。


「彼女、超可愛いね。名前なんて言うの?」

「――え?」

「ほらほら、訊いてよ」


 陽空さんは僕の肩を肘で突付いて急かした。もしかしてさっきからこの人、ずっとヒナタ嬢を口説こうとしてたのか?


「あの、もしかしてずっと口説こうとしてたんですか?」

「そうだけど」

 僕の怪訝に満ちた質問に、陽空さんは、きょとんとした表情を向けた。


「言葉通じてないって分からなかったんですか?」

「分かったよ。でも、女性を口説くのに言葉なんて要らないだろ? 気合だよ。気合」


 僕はびっくりして目を丸くした。

 確か、水柳国には、星主せいしゅ教という宗教が広く知られていて、国民のおよそ九割が星主教徒だったはずだ。星主教の主な戒律で、男女は夫婦となるまで結ばれてはならないというものがあり、僕は勝手に星主教徒は堅物なんだと思っていた。でも――。


「もしかして、陽空さんは星主教徒じゃないんですか?」

「いや。星主教だよ。だけど、俺ガラじゃねぇんだよなぁ。あの国にいた時、心底合わねぇなって思ってたもんなぁ。ま、あの国でもヤルことはヤッてたけどな」


 陽空さんは破顔した。

 まるで、情事を思い出したみたいにどことなくいやらしい笑みだ。


 どこの国にでも、変わった人というのはいるものなんだな……。僕の国では彼のようなタイプは珍しくないけど、水柳国ではさぞや変人ように映ったに違いない。


 僕はまじまじと陽空さんを見てしまった。感心半分、呆れ半分といったところだ。いや、呆れの方が先に立つかも知れない。少なくとも僕は、いくら恋愛が自由だとしても、出会って間もない、しかも任務で赴いている見知らぬ地で、ナンパしようとは微塵も思わない。


(……この人を〝さん〟付けするのは、声に出す時だけにしよう)


 でも、題材としてはとても面白そうな人だ。


「え~と、ヒナタさん。こちら、水柳国の陽空さん。お名前なんですか? だってさ」

「お前が知ってるだろ」


 ばっさりと一蹴されて、僕はへらっと苦笑を浮かべた。


「だよね。――えっと、陽空さん。こちら、ヒナタ・シャルメダ・ゴートアールさん」


 ヒナタ嬢に答えてから、陽空に紹介すると、陽空は嬉しそうに彼女に握手を求めた。が、ヒナタ嬢はその手を軽く睨みつけ、そっぽ向いた。でも、彼はめげないようで、にやつく笑顔を止めない。


「よろしくね~。ヒナタちゃん。何歳なの? つーか、お前ちゃんと〝可愛い〟って言った?」

「……言いました」


 僕は愛想笑いを送った。嘘をついてしまったけど、ヒナタ嬢にそんなことを言えば、僕が睨まれるような気がしてならなかったから、言わなかった。最悪殴られそうだし。


「ていうか、口説くのに言葉なんて要らないんじゃなかったんですかね」


 ぼそっとぼやくと、陽空は若干驚いた表情をして、次の瞬間僕の肩を抱いた。


「お前、結構言うなぁ。気に入った! さん付けは良いぜ。陽空って呼んでくれ」

「それは、どうも」

(手間が省けたな。それにしても、肩が痛いな……)


 陽空の力は結構強くて、掴まれた肩が痛い。さすがは、軍人。文官の僕とは全然腕力が違う。


「んで、お前は何さんだよ?」

「ああ。自己紹介が遅れました。僕は、レテラ・ロ・ルシュアール。十八歳になったばかりの若輩者ですが、通訳と、記録係としてこの任務に携わらせていただくことになりました。よろしくお願いします」


 僕が軽くお辞儀をすると、陽空は納得したように手を叩いた。


「ああ、お前がそうなんだな。俺の国じゃ、母国語以外喋れるやつなんて滅多にいなくてよ。言葉どうすんだって思ってたら、王が月国から一人通訳が来るからそいつに頼れって言っててさ。お前がそうだったんだなぁ」


 陽空は感心するように言うと、僕に手を差し出した。


「レテラ、よろしくな」

 僕はその手を握り返す。

「こちらこそ、よろしく。陽空」

 

 * * *


 僕らは、その後すぐにやって来た兵士に案内されて、謁見の間へやって来た。どうやらここは、条国の城中だったようだ。


 条国の謁見の間は、ルクゥ国のそれと違って、長く続く廊下がなく、障子を開けると畳が広がり、すぐに玉座が見える。と言っても、玉座には薄い天幕が張られていて、中を伺うことは出来ない。


 条国では、謁見の間と言わず大広間などと呼ぶと書物で読んだ覚えがある。確か、玉座も上段の間とか、一の間とか言うらしい。これらは確か、驟雪国でも同じだったはずだ。


 大広間に通されて、跪こうと立膝をすると、部屋の中にいた、おそらく官吏だと思われる男に座って良いと言われて少し戸惑った。


 僕らの文化に、床にじかに座るというものはない。思わずヒナタ嬢を見ると、ヒナタ嬢は躊躇うどころか、堂々と胡坐を掻いていた。惚れ惚れするほど、大胆だなぁ……。


 逆に陽空は僕と同じように戸惑ったようだ。確か、水柳国にも床に座るという文化はなかったはずだ。


 ちなみに僕らは今、靴を脱いでいるから裸足だ。靴は兵士が預かると言って、どこかへ持っていった。屋敷の中を裸足で歩くなんて、これまた地べたに座るのと同じく初体験だ。汚くないのだろうかと、ここに来る間まじまじと廊下を観察したが、土汚れ一つなかった。当然と言えば当然か。皆裸足なんだから。


 僕が興味津々に辺りを見回していると、廊下から男の声が聞こえてきた。


「もう御二方、到着いたしました」

「入室を許可する」


 官吏らしき男が応えて、障子は静かに開かれた。逆光を浴びながら立っていたのは、一人の老人と、浅黒い肌をした女性だった。


 老人は、驟雪国や条国で見られる着物ハフルという衣装を身に纏い、女性は白いマントを羽織っていて服装は見えない。彼女の表情は、どこか自信に満ちているように見えた。


 褐色の肌を持つのはハーティム国の者だけだから、多分彼女はハーティム国の人間だろう。紫色の瞳で、彼女は部屋を見回す。


 地図で見るとハーティム国は最北端の位置にあるけれど、隣国である驟雪国との間に流れる紅海という海では磁気異常が起こる。


 そのため気候異常が起き、紅海の先にあるハーティム国の気候は夏であることが多く、季節も一ヶ月以上遅れてやってくると書物で読んだ記憶がある。


 だからハーティムの者は褐色の肌が多い。と、すると老人が驟雪国の人間だろうか。それとも、条国の要人だろうか。


 老人は、優しげな目元を更に緩めた。糸目が更に細くなり、生まれたての三日月みたいだ。


「先に着いとったのか。若い者を待たせたとは、すまないな」

「いえ。お気になさらず」

(驟雪国の言葉だ……。じゃあ、彼は驟雪の者か)


 僕は身体を捻りながら、軽く片手を前に出すと、隣に居た陽空がすくっと立ち上がった。そのまま足取り軽く彼らの前に行くと、女性に手を差し出して握手を求めた。


「初めまして。俺、陽空。水柳国で将軍やってます。お姉さん名前は? 年幾つ?」

(言うと思った)

呆れてため息をつくと、陽空は僕を振り返った。


「ほら、レテラ! 仕事、仕事! 通訳、通訳!」

「はい、はい」


 急かされながら僕は立ち上がり、メモ帳を取り出す。これもちゃんと記録しとかなくちゃな。陽空は呆れたナンパ野郎だけど、僕が調べた限りじゃ、優秀な人物だ。まあ、もっとも、国が違うから噂程度でしかないんだけど。

 だから、自分で見聞きして、こういうギャップを知るのも、楽しみの一つであるわけだし。


 僕は木炭を仕込んだペンを取り出して、メモ帳にやり取りを書こうとした。僕はいつも誰かの話を聞く時は、はした紙をジュストコールの内ポケットに入るくらいの大きさに切って、紐で結んだ自作のメモ帳に、その人の話を書きとり、後で巻物に筆で清書していた。だから今回もそうしようとしたら、彼女は僕を見て制するように言った。


「大丈夫よ。私、言葉解るから」


 それは明らかにルクゥ国の言葉だった。僕は、仰天して彼女を見返す。

 彼女は僕に構わずに、陽空と向き合った。


「初めまして、将軍さん。私は、アイシャ。ハーティム国で、太裳府・太楽令の任に就き、小関しょうせきの位に就いています」

(やっぱり、ハーティムの人間だったか)


 それにしても、太裳府の太楽令といえば、王宮の音楽を一手に率いている部署だ。太裳府には、そうとう優秀か、相当なコネのあるやつじゃなければ就けない。それでいて、小関の位にまであるんだから、この人はかなりのやり手らしい。


 僕はまじまじとアイシャさんを見やる。

 小関は軍の階級で、上から四番目だ。最高位が烈将れっしょう。次に将軍、三関さんかんと続き、次が小関だった。ちなみに烈将軍は、十万以上の大規模な戦争の時にだけ、将軍から選ばれるので、常に烈将の位に就いている者はいなかった。過去に一人だけいるにはいたけど、今となってはもう歴史上の人物だ。


「へえ、アイシャちゃんって戦も出来るの? 千人を指揮するなんてすごいじゃん。その若さでさ」


 陽空がここぞとばかりに彼女を褒め称えたけど、アイシャさんはにこりと愛想良く笑ってこれをいなした。


「いえ。若くはありませんよ。二十三ですから」

「十分若いって~。ちなみに俺二十五ね。ちょうど良い年齢差だよね」

「二十五歳で将軍職に就かれる方がすごいじゃないですか」

「そうかなぁ?」


〝ちょうど良い年齢差〟をスルーされた陽空だったけど、気づかないのか気にしないのか、デレデレと鼻の下を伸ばして笑った。


 僕は嘆息して、隣にいるお爺さんを一瞥する。


 ハーティムからは、文官と武官、両方をこなす優秀な官吏が来るとは聞いていたけれど、驟雪国だけは情報がなかった。どうやら、ぎりぎりになって決まったようだけど。

 僕は感慨深くお爺さんを見る。


 驟雪といえば、僕の国、ルクゥ国の隣国で、ルクゥ国の歴史の中でも一番争ってきた国だ。驟雪国には今、ルクゥ国のように英雄視される軍人は輩出されていないはずだ。


 見た感じ、お年寄りであるようだし、護衛や討伐目的の要人ではないのかも知れない。参謀としての参加だろうか。もしくはそれ相応の能力の保持者だろうか。


 僕のじろじろとした視線に気がついたのか、お爺さんは僕に視線を向けた。そして、穏やかな笑みを浮かべて僕に握手を求めてきた。


「ワシは、驟雪国から代表を頼まれて来た。燗海カンカイじゃ。よろしくな、若いの」

「僕は、レテラ・ロ・ルシュアールと申します。どうぞよろしく。貴方もルクゥ国の言葉を喋れるんですね」


 僕はお爺さん、もとい燗海さんの手を握った。燗海さんの手は、お爺さんとは思えないくらいに大きくて、ごつごつしていてたくましい。握り返された握力もとてもしっかりとしていて、強かった。


「ワシは旅が長くてな。出身は驟雪なのだが、長く放浪しとってな。言葉はその時に覚えたよ」

「すごいですね。僕なんて、国外に出たのは今回が初めてです」


 感嘆した僕に燗海さんは謙遜して、逆に僕を褒めてくれた。


「いやいや。一度も国を出たことがないのに、他の国の言葉を喋れる方がすごいじゃないか。たくさん勉強したんじゃろうな」

「いえ。僕は、知ることが好きなだけで……。殆ど趣味なようなものですから」

 

 僕は照れて頭を掻いた。するとその時、官吏らしき男が咳払いをして注視を促した。ぎろりと鋭く僕らを睨み付ける。神経質そうで、生真面目そう……。ちょっと苦手かも。

 

「国王がご到着なされた! 平伏されたし!」


 僕達は急いで畳に座り、燗海さんに習って平伏した。こんなかっこうも初めてだ。後で記しておこう。何となく情けない気がするって。


 衣擦れの音がして、誰かが座ったのが天蓋越しに伝わる。音の感じからして、椅子が置いてあるわけではなさそうだ。


「名乗れ!」


 官吏らしき男が号令のように言って、端から順に自己紹介が始まった。


「驟雪国に任命され、此度の任務に就きました。拝謁至極にございます。燗海と申します」

「ハーティム国より仰せつかりました。アイシャ・アザハルトと申します。此度の任務に携われること、一生の幸福にございます」


「ルクゥ。ヒナタ・シャメルダ・ゴートアール」

「水柳国より参じました。エン・陽空にございます。此度の任務、お役に立てるよう、謹んで努めさせていただきます」


 皆立派に口上を述べるなぁ。我が道を行くヒナタ嬢以外は――なんて、思いながら、僕も続いた。


「ルクゥ国より、ヒナタ様の補佐のため参りました。レテラ・ロ・ルシュアールと申します」

「面を上げよ」


 きりっとした堅い声音が、耳に心地よく響いた。僕は、緊張しながら顔を上げた。

 天蓋の中で、影が合図を送るように片手を挙げる。


 すると、するすると天蓋の布が巻かれていく。胡坐を掻いた男が姿を現した。彼は、背筋を伸ばし、深紅の衣冠束帯を身に纏っていた。


 案外若い。

 僕は少し度肝を抜かれた気分だった。紅説王が即位したのが一年前、二五歳のときだったから、若いというのは知っていた。でも、目の前にいる王は、まるで青年のように思えた。僕より少し上くらいの、青臭いことを言っても許される年齢。そんな風に見えた。


 その一方で、優しげな目元の奥から、不思議なほど強い引力を感じるような、この人についていきたいと思わせるような、そんな雰囲気がある。紅説王は口を開いた。


「此度の計画のため、集まってくれて感謝する。私は、三条みじょう紅説。こちらに控えているのは、我が弟、三条家分家の、二条青説にじょうせいとくだ」


 そう言って紅説王が指したのは、上段の間から少し離れた場所に控えるように座っていた男だった。あの、神経質そうな官吏だ。

 彼は俯きかげんだった顔を、すっと上げ、すましたように僕らを見て軽くお辞儀をした。


(この人、王弟だったのか)


 僕は、意外な心地で彼に視線を送る。でも、どう見ても、青説殿下の方が年上に見える。気難しそうな表情がそう見せているのかも知れない。

 そんなことを思っていると、殿下に鋭く睨まれた。僕は慌てて視線を逸らし、ヒナタ嬢と陽空に、彼が王弟だと訳した。


「皆はもう知っているな。この世界には、魔竜が存在することを」

 紅説王の言葉に、皆にぴりっとした緊張が走る。


「はい。此度の計画は、その魔竜を葬り去るためのものだと聞いてまいりました」


 答えたのはアイシャさんだ。上向きかげんに顔を上げると、長い黒髪が僅かに畳についた。やっぱり彼女は水柳、ルクゥだけでなく条国の言葉も解るんだ、と感心してしまう。


「その通りだ。だが、此度の計画について、諸君はどこまで聞いているかな?」


 紅説王は窺うように尋ねる。

 僕は、魔竜を滅ぼすためにルクゥ国で一番強いとされるヒナタ嬢を遣わすから、通訳と、記録を祖国に送るようにと言われていただけだったので、詳しい計画については何も知らない。


(ああ。メモ取りたいなぁ)


 魔竜についても計画についても、是非知りたいものの一つだった。それが今、語られているのだ。僕は、メモを取れない代わりに、頭をフル回転させた。一言一句、間違わないように憶えなくちゃ。


「ワシは、魂を集め、貴方様の開発なされた術で魔竜を操るから、護衛をしろと、そんなざっくりとした説明しかされてはおりませんな」


 先陣切って答えたのは燗海さんだった。

 護衛か。ということは、燗海さんは年に見合わない実力、もしくは重宝される能力を保持しているということになる。


 僕は得心しながら、静かに顎を引いた。

 それにしても、長年旅をしていただけのことはある。僕は少し条国の言葉は苦手なんだけど、燗海さんは発音も完璧だ。


「私も同じです。しかし、どうして魂を集める必要があるのですか?」


 アイシャさんはどことなく、詰問風に尋ねた。

(良くぞ訊いてくれた!)

 アイシャさんが質問しなければ、僕が尋ねていたところだ。


「魂を集め、その中に操相そうそうの呪符という物を入れるためだ。この呪符は相手を操ることが出来るものだ。それを、魔竜の体内に入れるために魂が必要なのだ」


「魂の中に呪符を入れ、魔竜に餌として食わそうということですな。一種の釣りのように」


 燗海さんが付け加えるように言うと、王は「そうだ」と頷いた。

 それを受けて、アイシャさんは、


「なるほど、承知いたしました」

 と納得したようだったけど、その表情はどことなく渋々といった感じがした。


 アイシャさんは不意に僕をちらりと見た。

(なんだ?)

 一瞬疑問が過ぎったけど、僕はわくわくしすぎてそれどころじゃない。早くペンを握りたい。

(……ん?)


 少し間が空いて、アイシャさんだけじゃなく、王や殿下まで僕をちらちらと見だした。殿下に至っては不機嫌な表情で、完全に僕をガン見している。

 僕もさすがに違和感を感じだしていた。僅かに首を捻る。


「――んんっ!」


 咳払いしたのは、陽空だった。僕の肩を軽く小突いて、耳元で囁いた。


「おい。通訳しろってことなんじゃねぇの? この雰囲気」

「――あっ!」


 僕は素っ頓狂な声を上げた。顔から火が出そうなくらい熱い。


「ごめん。夢中になっちゃって」


 僕は謝罪と言い訳をして、陽空とヒナタ嬢に今までのことを訳した。

 それにしても、陽空は案外、場の空気が読めるんだな。


 僕は感心したような、救われたような気がしつつ、やっぱり観察しがいのある面白いやつだと思った。


 * * *


 陽空もヒナタ嬢も答えはアイシャさんと同じだった。もっとも、ヒナタ嬢の言い方はまるで違ったけど。


『あたしは戦う。それだけ』


 王に向ってタメ口はどうかと思う。王は微笑わらってたけど、殿下は物凄い顔をしてた。まるで害虫を見るみたいに驚いて、蔑んだ目をしていた。


 陽空もヒナタ嬢も母国語で答えてたけど、王はそれに「そうか」とそれぞれの国の言葉で応対していた。王や殿下ともなると、国際会議があるからか、別の国の言葉も学ぶらしい。


「私は少しでも被害をなくそうと、十年弱、魔竜の研究に勤しんできた。そして、各国の協力のもと、此度の計画と成ったのだ」


 紅説王はなぜか哀しげに瞳を伏せた。それと同時に、青説殿下が睨みつけるように鋭い視線を兄王へ送った気がした。


(気のせいか?)


それは一瞬だったし、気のせいかも知れない。でも、何だか違和感を感じた。この兄弟は、あまり仲が良くないのかも知れない。まあ、王族には良くあることだけど――僕は、視線を紅説王へ戻した。


「皆には、期待している。準備が整ったら、魔竜の住処へ向う。それまでは、ゆっくりしていてくれ」


 紅説王は労いの言葉をかけて立ち上がった。そして、陽空を見据える。


「陽空、君には少し手伝って欲しいことがある。話がしたいから、ここに残ってくれ」


 陽空に訳すと、陽空は怪訝な表情を浮かべていた。それとは対照的に、僕は期待に胸を膨らませていた。


(いったいどんな話があるんだろう!)


 だけど、王は僕を見て申し訳なさそうに告げた。


「通訳は、青説がする。君は、部屋で休んでいてくれ。部屋へは部下が案内するだろう」

「……はい」


 僕は密かに肩を落とした。




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