プロローグ
「本当に人間の女を連れてくるんですか?」
薄暗い部屋の一室で三人の若い男たちが重々しい様子で話し合っている。三人とも深刻な顔つきで、
「仕方がないでしょう。女が生まれなくなって随分たちます。女を増やすためには人間を連れてくるしか方法がない・・・。それは皆も分かっているでしょう。」
そう話すのは、年は二十歳半ばを過ぎたころの男だ。顔だけなら女と間違えてしまうほど美しい顔立ちをしているが、その目は何かを決意したような鋭い光を放っている。
「で、でも、長老様や側近の方々は反対なさってましたし。ぼ、僕たちだけでこんなことしてしまったら、、、。」
「そうっすよ!俺も樹様の考えには賛成ですけど、長老様たちをどう説得するか、、、。それに、肝心の女はどうするんすか?」
不安そうな二人の質問に対して男・・・樹は少しも焦る様子を見せない。
「お二人の心配ももっともです。長老様がたは私が説得しましょう。女のほうですが、、、心当たりが一人だけいます。お二人には、この女性を連れてきていただきたいのです。協力していただけますか?」
そう言うと樹は懐から一枚の写真を取り出した。写っているのはショートカットの髪に、丸いぱっちりとした目が印象的な若い女だった。二人は顔を見合わせてから写真の女の顔を眺めた後、樹に視線を戻した。
「名前を”七瀬優希”といいます。」
「な、七瀬さん、、、。こ、この人を連れてくれば良いんですね?」
「本当に連れてきて大丈夫な女なんすか?」
「ええ、大丈夫です。連れてきた後のことは、私にお任せなさい。では二人とも頼みましたよ。」
「「はいっ!」」
二人は樹から写真を受け取ると部屋を出た。空はどんな黒よりも暗い色で、ぽつぽつと雨が降り出していた。そんな中を二人は黒い羽を広げてそのまま飛び立っていった。




