理解と許容 中(4)
はい続きです!
疲れた!『理解と許容』これにて終わりです!やっぱり5000文字くらいバーっと書くやり方に戻します!
今回はお城の朝食風景をご覧頂きます。
どうぞお楽しみください!(どこをだ)
よく磨かれたガラス窓に太陽の光が差し込む。ソアラの街が少しずつ人の賑わいを露わにして、目覚めていく。それは王室とて例外ではなく、城の中で誰よりも早く目が覚めた召使たちが料理を作るのに勤しんでいる。
王が朝食をとるのはいつも決まって6時と早めである。目が覚めたばかりの王は不機嫌そうに鼻を鳴らしながらパンを手にする。それは寝起きの悪さからなのか、顔に刻み込まれた皺が見せるものなのか定かではない。スープの器に手を伸ばした時、背もたれの後ろから細い、しかし冷淡な声が王を呼ぶ。
「なんだ朝っぱらから」
「お食事中失礼します。バジル様が数名の兵を率いて暗躍しております。目的はコルク=ボトルの暗殺と思われ、既にモロニカに刺客を送り込んだ模様です。ただ、兵が帰還した様子がないため返り討ちにされたと考えるのが妥当かと思われます」
「バジルか……昨晩のあの様子では、やはり納得しなかったか。だれがやられた?」
「は、オイル兵士長を含む8名の兵士を損失したようです。もっとも、兵隊の管理はバジル様に全任してあるため、申し訳ありませんが詳しくは把握出来ておりません」
「貴様にはそれを調べるまでの権利を与えておろう、ケトル=ポッドよ」
「かしこまりました。本日中に兵舎に赴き、確認します」
ケトルは跪き、王の座席の後ろから俯いたままの姿勢で話を続ける。周りには数名の召使いと執事が食器の片付けやら掃除やらで動いていたが、ケトルの声は聞こえていないようで、聞き耳を立てている様子は無い。
「よいのですか? バジル様を野放しにされて。コルク=ボトルは利用するために生かした。それが軍に殺されたとあっては元も子もありません。直ちにバジル様を引き止めた方が」
「構わん。奴がそうやすやすと殺される男ではない事は十分承知しているだろう。それに、儂の意思にそぐわぬ者は排除しておいた方が無難であろう」
王は果実を食べ終えると、ナプキンで口周りを拭い、丁寧に畳んで席を立った。
「また、噂はいつも根も葉もないところから立つものだ。儂が軍を引き止めたとあっては、儂に賛同するものの心証に傷がつく。奴らにはせいぜい潰しあってもらって、儂に反乱するものは誰ひとりいなくなるというわけだ。もちろん、魔法使いにかなうわけがないからコルク=ボトルが生き残るとして、奴には最後の勤めを果たしてもらおう」
「そのためにご面会の許可を下したのですね」
ふと、部屋の扉が開き、食卓に純白の衣を纏った男が入ってきた。王より華奢で、明らかに若い。手足は程よい筋肉で引き締まっている。
「お父様、おはようございます」
「おおレイス! 儂はもう食事を済ませてしまったぞ、ささ、お前も食べるといい」
王は先程までの重たい言葉を使う威厳ある姿から打って変わって、息子を愛でる父親へころりと態度を変えた。顔には貼り付けたような笑顔がレイスに向けられる。その背後では、小さな拳が握られていた。