硬き巨人と英雄の帰還
チョット復活
「・・・・っ・・・・」
思った通りの射撃体勢、狙い通りのタイミング、狙い通りの弾道の軌道。
巨人の額に直撃したその弾丸は無慈悲にも砕け、巨人の額に傷もつけずに崩れて散った。
『くそっ化け物がっ!』
ライフルの弾丸を縫うように一機の灘良が剣で切りかかる。
振り下ろした剣は巨人の腕に当たり甲高い音を響かせて折れる。
「あ・・・」
「引け!」
巨人の腕が灘良にふりおろされる。とっさに撃った弾丸が腕をとらえて軌道を変えて胴からそれて右腕を砕き千切り灘良を吹き飛ばす。
部品をまき散らしながら勢いのまま吹き飛ぶ機体。残りの機体はライフルで撃ちながら距離を取る。
すでに随伴していた狼たちは倒されている。だが、巨人には全くのダメージを与えられない。
『くそ・・・このままじゃ』
『関節の部分は弱いって聞いたことはあるが、弾丸じゃ関節に当たる前にはじかれる』
『切り込んでも、正確に関節は狙えねぇぞ』
「・・・とりあえず距離を取りつつ射撃を」
巨人が砕かれた機体の腕の装甲を拾った。その行動が示すこと。嫌な予感。
「よけて!!」
巨人が投げた金属の片腕はライフルを構えていた遠くの機体の頭部を貫いた。
『くそ、カメラがやられた。サブでどうにかできる。戦闘は可能』
それでも機体を動かす。さがれ、と言いたいがさがってどうするというのか。
「・・・・・っ・・・・」
自分たちはここに立ちはだかると決めたのだ。絶対に通さないと、通してはいけないとここに立っているのだ。
巨人が近くの岩を同じように投げつける。威力は金属より弱いがその質量に別の機体が直撃して吹き飛ばされる。同じようにもう一機が岩によって吹き飛ばされる。
『くそがぁあああ』
無事だった最後の一機が剣を抜いて距離を詰める。巨人の首をはねるように横なぎの一撃は、巨人がガードした右腕に受け止められ、巨人の蹴りが機体の胴に吸い込まれる。
それは一瞬、射撃も間に合わないような刹那の出来事。
巨人の足を数発の銃弾がはじいてわずかに胴の横を削り落とされた機体が回転するように吹き飛ばされる。
自分の弾丸ではない。
自分の弾丸ではないのに、自分の腕と同じような正確な射撃。
それができる兵士はこの中には自分だけ、そして自分は間に合わなかった。
それに弾丸も違う。
自分の狙撃用の大口径ではなく。その弾丸は75mmの突撃銃。
『・・・・・敵を通すな。この先には守るべき町がある。護るべき民がいる。ここを防ぎ切ればすべてを守れる・・・なら、退くわけにはいかないよな』
その声は、いつものように、当たり前のように、通信機から聞こえてくる。
『・・・まったく、命令を無視して戦うなら・・・・死にに行くなら私がその先陣をきる。そうしないと、私の立つ瀬がないだろうに・・・』
視界がにじむ。すぐに拭って視線を巨人とその向こうで煙を出す銃を捨てて剣を抜く見知らぬ機体を見る。
『主攻、助攻は後退、あとは私たちに任せてくれ』
私たち、それがさすのは自分。
銃を向ける。
自分達では倒せなかった巨人を、
絶望的な敵を、
だけどわかる。
彼となら、そんな敵だろうと倒せないわけがないと。




