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そして一人になる。

数か月かそれぐらい放置されていた機体を一時間で動かせるようにする。


言ってしまえばそれだけだが、それを行える整備員はほとんどいないだろう。


まず起動するだけでも相当数のパスワードが必要だ。


「よっと、あったあった」


トレーラーの操縦席の死体のポケットからボロボロの手帳を取り出す。血でぬれたそれをペラペラとめくる。


「・・・こいつかな?」


よくわからない数字の羅列を見つけると、それを、頭の中に叩き込んだ変換コードに変換


「ん・よし、変換できた・・・『なすべきことをなせ』か・・・んでこいつを」


数字が意味のある言葉になる変換コードを操縦席の下に置かれた機体の点検表に書かれていた機体の登録番号に当てはめる。


「たぶんこれで通ると思うんだけどな」


文字を当てはめ機体の操縦席に入る入口のコンソールに打ち込む。ビンゴ。機体のエンジンがかかったと液晶に浮かぶのを確認。


機動まで30分


「よっし」


思ったより早く起動できそうだ。


「やったな」

俺の後ろで覗き込むように見ていた親友がつぶやく。


「・・・とはいえ起動できても、たぶんこれ機体調整できてないから操縦しづらいと思うぞ」


一応注意を言っておく。


「ある程度はこっちでどうにかする」


小さく笑うその顔にこっちもつられるように笑う。


さて・・・さっさと終わらせよう。


親友が慣れた感じで機体に乗り込む。自分は機体から降りて転倒しているトレーラーによじ登ってドアを開け中に入る



転倒したトレーラーのエンジンを動かそうとキーをひねる。


頼むから起動してくれよ。


エンジンがかかる音が聞こえる。転倒したトレーラーが吐き出すエラーを処理して機体の拘束を解除。


通信機をオンにして親友に確認。


「ロック解除完了、いいぞ」


『了解』


金属が軋むような音をあげてトレーラーが振動する。


よしこれで・・・ん?


ちょうどその時、通信機が通信を拾う。


確か通信の番号はうちの部隊の奴に調整したから拾う?トンネルだぞ?


トンネル内の通信設備が生きていたのか?


『・・・を通すな。この先・・・もるべきま・・・がある。護る・・民がいる。ここをふ・・・ればすべてを守れ・・・。それならば、私たちがやるべきことは一つ』


その声はよく知っている声、ききたかった声。


その声が、ききたくない言葉を続けるのを、黙って聞くことしかできない。



「・・・の前に立ちふさがったなか・・・がいた、敵を抑える・・・突撃した仲間がいた。彼らが・・・・・・・を、逃げだした自分達でも、最後ぐらい守ろ・・・」


ぶつっと何かが切れるような音とともに通信が切れる。


「親友、聞こえるか?」


機体が起き上がり。地面にしっかりと六本の足で立つ。


『聞こえてるし、それも聞こえた』


その声は少し怒っているように聞こえるが、ほんの少し温かみを感じるのは気のせいだろうか。



「ちょっと動かした感じどうだ?」


『問題なし、早く乗』


「いや、先に行った方がいいだろここは」


さえぎって答える。


「迷う時間はないぞ?俺たちがあれを言うときは、目前に敵がいるとき、敵を前にして剣を振るうとき、ならば、すでに戦端は開いているようなものだ」


ならば向かった先は戦場、そんな場所に一人乗りの機体に二人で乗っていくのは明らかにまずい。というより、席のない俺が操縦席の後ろにいてもケガするか気を使われて戦力低下にしかならない。そして、おそらく戦況はそれを許さないだろう。


『・・・了解』


わずかな逡巡の後にはっきりと答える。その答えに、満足げに笑みが浮かぶ自分も自分だと思う。


「んじゃ俺は後から帰るからよ。間に合わなかったら、諦めてくれや」


ここは敵の後方、親友は敵を背後から奇襲し突破するだろう。味方と合流し、おそらく後退しているだろう本隊を動かす必要がある。


『・・・やっぱり一緒に』


「少しは信用しろっての」


根拠もないのに落ち着いた声が出たことに少し驚く。


「お前が防衛線立て直したらこっちは無理に急ぐ必要ねぇだろ?強行軍でいかないなら帰る方法なんぞいくらでもある」


ぶっちゃけここまで基地に近づいたなら道なんかすぐにわかる。帰れないという可能性の方が低いのだ。


「彼女ぐらい自分で守れ、俺に押し付けようとした罰だそれは、さっさと行け親友」


そういってにやりと笑う。


『・・・すまん、お前も絶対戻って来いよ。相棒』


通信機ごしのその言葉と同時に機体が走り出す。トンネルに無数にある氷の柱を砕きながらまっすぐに出口の方に。


「さて・・・と」


身体を横転したトレーラーによりかける。


さすがに・・・つかれた


「・・・・はぁ、ここで休んだら凍えて死ぬんだろうなぁ」


体力は限界、身体は凍え、精神は・・・


何も言わない通信機を見つめる。


「・・・・・ああ、やってやるよ」


あの子の声を聞いて持ち直している。無理やり体を起こして前に進む。


「泣かせてたまるか、あの馬鹿を」


あんな馬鹿な言葉を吐いたあいつを殴ってやらんと気が済まない。


お前まであいつと同じこと言いだしたら俺の身が持たねぇんだよ。


そういって叩いてやらないと気が済まないから。 


復活したけど更新は遅れると思う。

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