表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/59

遺志を継げる者達

「・・・・・・・・」


軽く目を閉じて、気持ちを落ち着ける。目の前には一面の銀世界、周囲を見渡せる高い丘に立つ。


「・・・ものずきだね」


自分でも驚くほどうれしそうな声に、咳払いする。


「なんで・・・私なんかに」


自分は隊長とは違う。あの人のように慕われ、部下を率いたこともない。


すでに射攻の隊長や部下たちは撤退してここには私の多脚騎士と、5機の多脚騎士しか残っていない。


いや、なぜか五機も残ったというべきか。


『隊長達はそうしたでしょうから』


その中の一人の返事に苦笑する。


「そっか、それなら私なんかについてくるより・・・全然納得できる」


『助攻4名、主攻1名、指揮権を貴方に』


隊長の部下は一人だけ、彼の部下は全員残っている。自分の同僚は射攻の副隊長について行った。


「ありがとう・・・でも、残っても何もないよ?・・・私はあの人みたいに死地を貫く力もないし、彼みたいに死地から生き残る力もない」


自分が信じたあの人たちのような力は自分には何もない。ついてきても全滅することには変わりない。それが、申しわけなく思ってしまう。


『・・・それでも、私たちは貴方について行きます』


「・・・・・・・」


自分は間違っている。そんな自分について行くという仲間がいる。死んでもいいという部下として立っている。


「・・・まいったなぁ」


あの人は、これほどの責任を背負って前に進んでいたのだろう。いや、これよりも重い物を、期待、信頼、希望・・・それを一心にあの人は背負っていたのだ。

そんな人たちを背負う事がこんなに重いとは思わなかった。


「ああ、そっか」


だから彼はそれを背負いたくないから、単独行動を好んでいたのだろう。


「意気地なし・・・でもなんでもないね。これは」


人が背負うようなものじゃない。こんなものを背負って平然と死地に行くのは。


心を持ってる人には辛すぎるだろうから。


『隊長?』


心配げな言葉と投げかけられた役割に、笑みを浮かべ答える。


「なんでもない。配置・・・といっても六機じゃねぇ・・・指揮なんかとったことないし、まあ、・・・うん」


あの人が背負っていたことの、たったほんの少しを背負うだけ。それ位、恋人の自分だってできるはずだ。いや、恋人ならば、しなければならないのだろう。


「臨時の、実際の命令でも、彼に確認すらしてないけど、それでも・・・断言できる彼の意志をもって命じる。敵を通すな。この先には守るべき町がある。護るべき民がいる。ここを防ぎ切ればすべてを守れる。それならば、私たちがやるべきことは一つ」


それはあの人が言うだろう言葉、私の言葉ではない。でもこの言葉こそふさわしい。


「敵の前に立ちふさがった仲間がいた、敵を抑えるために突撃した仲間がいた。彼らが死んだ理由を、逃げだした自分達でも、最後ぐらい守ろう」


『了解』


たぶん、自分たちがここで足止めしても、一時間も時間は稼げないかもしれない。意味がないかもしれない。それでもいいのだ。


「・・・もし・・・生きていたら、ごめん」


小声でつぶやく。確率はほぼないのだろうけど、謝っておきたかったから


あの人と・・・その横に立つ彼に


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ