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目を覚まして

目が覚めた時、すべてが終わっていた。


病室のベッドから降りて、ベッドの横の椅子に座っていた射攻の隊長に詰め寄る。


作戦終了からすでに一日たっていたことを知らされ、あの人と彼が帰還しなかったこともきき、崩れ落ちそうになって・・・・支えようとした射攻の隊長の手をはらい。床に倒れた。


「・・・いかないと・・・」


「おい!・・・なにをいって・・・」


震える足を無理やり奮い立たせ、歩く。背後から叫ぶような声が聞こえたが、そんなのを聞くつもりもない。


「嫌だよ・・・・なんで・・・・」


なんで?と思っても、すぐに答えが出る。あの人があの人であり、彼が彼であるなら。そうなるのは当然だと思ってしまうから・・・・・


「待てって!」


強く腕をつかまれた。射攻の隊長だろう。振り返りもせずに振り払う。思いのほか、あっさりと手が離れる。


「嫌だよ・・・・・また、誰もいなくなって、一人になるのは・・・嫌だ!」


つめたいことにすら気づかないような、つらいことすらわからないような、そんな世界に戻りたくない。あいつらがいない世界に、どんな暖かさや、幸せな世界があるというのか、そんなものない。だから、懸命に歩く、身体はガタが来たかのように悲鳴を上げる。それでも


「・・・っ・・・・わかってたさ」


諦めたような声を背に、歩みを再開する。


今度はつかまれることはなかった。


自分の機体が置いてあるドックには何も置いてなかった。隣のドックの機体に乗ろうとして、整備員たちに押さえつけられる。


「放せ!・・・・いかなきゃ・・・」


機体に手を伸ばすそれを遮るように若い作業員が羽交い絞めにするように数人で押さえつけてくる。


「無茶言わんでください!そもそもこの機体はあなたのではないし、ハッチも、出撃扉も開かないでしょうが!」


若い男が怒鳴る。そんなことは知らない。私はいかなきゃいけないか、邪魔をしないで・・・


「おい、説得は無理だ。無理やりひっぺかすぞ!」


しわがれたおっさんの声、一瞬男たちの力が緩む。抜け出そうとしたらすぐに元に戻ったが。


「親方!でも・・・」


「道理じゃきかねぇんだよ。こういうのは・・・まったくあの馬鹿ども」


暴れても、抜け出せず、どうやっても、目の前の機体には届かない。それでも


「放せ・・・・・行かせて!守るって約束したんだ!あいつも、あの人も、守るって・・・・」


行かなければいけないんだ。そう叫んでいるのに、誰もがみんな、気の毒そうに、哀れみに近い目で、引きずられるように、ドックから追い出される。


「おめぇらは整備続けてろ。こいつは俺が病室に戻しておく、軍曹!手伝え!」


「はい、ですが、二人掛かりで女の子を抑え込むってのは、その・・・」


「軍曹!馬鹿言ってないでさっさと連れてくぞ!あと所属部隊の・・・・中尉だったか?射攻の指揮官に連絡をしておけ!」


「了解!」 


力づくで連れ戻される。ドックを出るころには力も果てて、抵抗もできずに、にじんだ視界のなか、声だけか聞こえる。


「お前さんの気持ちはわからんでもないが・・・・・今行ってどうにかなるわけじゃねぇだろ?いや、そんなんお前さんにはどうなったっていいのか・・・ここに馬鹿どもがいないから・・・まったく・・・」


整備兵の親方、確か階級は大尉だったか、覗き込むように顔をこちらに向ける。


「・・・機体の動力反応は消えてる。ってことは、あいつらの機体は破壊されて、敵の勢力圏内、しかも状況から脱出できても狼の群れを抜けなければいけない」


言い聞かせるように、諭すように。


「言わんでもわかるだろうが・・・あいつらは助からなかった。戦場じゃよくあることだ。いなくなった者を嘆くのは構わん。暴れたり、泣き崩れたり、当たり散らしたってかまわん。好きにすればいい。だがな」


その顔は、悲しげだが、決してこちらから目をそらしたりするような弱い目ではなかった


「後を追うことも、戦いを拒絶することも、死にたがるのも、それは残されたもののすべきことじゃねぇんだ・・・」


そんなの、勝手な理由だ。



「それでも無駄に命令違反して、死のうとするっていうのか?お前の大事な連中が、それをうれしいと思うと思ってんのか?そんな屑だったか?あいつらは・・・少なくとも俺はそうは思わねぇぞ」


そんなこと言われても、私は・・・・・


「・・・やだよ・・・・・・・・・やだ・・・・なんで・・・」


「その問いに答えなんかねぇぞ」


そういって二人掛かりで抱えるようにして私を病室に連れ戻した。



そして病室のベッドに押し込まれたとき


意外な人物がやってきた。





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