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合流手前

雪道を歩くように走る。すでに一晩中歩き続けてたうえ、すでに太陽は高く昇っている。持ち出した携帯食料やお菓子のような嗜好品は食いつくし、凍るように冷えた飲み物は早々に廃棄して雪を口に入れて渇きをいやしている。


いくら耐熱、耐寒に優れている北利専用の防寒軍服であっても、寒いことには変わりはない。雪が降っていないのが救いではあるが、すでに積もった雪が、歩くごとに体力を奪っていく。


「・・・・・・」


一歩一歩、ゆっくりと踏みしめて歩く。


「・・・・・・・・・・」


すでに身体は凍り付きそうなほどに冷え、意識は朦朧としている。


それでも俺は歩くのをやめない。


歩くのをやめればそのまま倒れて、やがて雪の中に消えていくのだろう。


それは別にいいと思う。


むしろ、そのまま雪の中に溶けるように死ぬのも悪くない気がする。


そんな折れそうな心を、何とか奮い立たせ、足を動かす。

すでに目的の町は見える距離にある。


「・・・・・来てるよな・・・・親友・・・・」


確信しているのに思わずつぶやく。


「・・・・・・・いなけりゃ、いいのに」


心のどこかにわずかにある願いが口から出る。


俺は親友を救うために、できるだけのことをやったんだという自覚がある。


だから思ってしまうのだ。


ここで親友がいないのなら、この場所であいつが死んでしまうなら、俺は悲しむあの子の横に自信をもって立てるだろうと。


その思考は間違っている。自分はあいつを救うと決めたのだ。


だが、どうしようもなく願ってしまうのだ。


救うのだ。だけど、いなければいい。そうすれば自分は納得してあの子のもとに・・・


「・・・・・・・・・本当に下らねぇ」


雪がゆっくりと降り注ぐ。願わくは、こんな思いもすべて真っ白に覆い隠してくれるなら、ここで消えてもいいじゃないかと、半ば本気で思う。


だけど歩みは止まらない。そんなもので隠れて諦めるような気持ではないのだ。


「・・・・・・さみぃ」


それは体のことか、心のことか、


まあ両方なんだと、小さく笑って。歩き続ける。


もう町は目の前に見えていた。


町の中に入ると。そこは雪に埋もれつぶれた家や、溶けることなく雪の中に埋もれた車。火事になったのだろう。黒くすすけたビル。化け物に砕かれた家、戦車に潰されただろうガードレールや壊れた多脚騎士の残骸。機能を停止した街並みが、どこか悲しい。


とりあえず。生き残るために、防寒と食料がある場所を探さなくてはならない。


とはいえ、自分はここにレジスタンスがいることを知っている。


ならば目立つ大通りをうろつけばそいつらに気づいてもらえるはずである。


まあ本来は不審な軍服男がレジスタンスの拠点に近づいたら襲われるか、逃げられるかのどっちかだろう。


接点がないのならば実際そうなるだろう。


「止まれ。手を挙げてゆっくり顔を上げろ!」


左右から飛び出すように出てきた二つの影が、銃をこちらに向けてくる。


「へいへい、どうせ見覚えのある顔ですよ。どうだい?」


顔を上げる。


「やっぱり大尉さんでしたか」


銃を下げて警戒が解かれる。


「できればリーダーに早めに伝えてくれ、大佐殿と早急に連絡を、とそれから俺のほかに誰か軍人こなかったか?」


「了解。それから、軍人の方はいまリーダーと一緒にいるはずです。一時間ほど前にこちらに来ましたので」


「・・・・いきなりリーダーに会うってどうやったんだよ・・・」


親友とリーダーにつながりはない。それなのになぜたった一時間足らずでレジスタンスのリーダーと話って。


「・・・・ちょいまて・・・・ああ、お前ら、あいつに銃向けたな?」


その言葉にびくりとからだが震えたのを見て、事情を察する。


「ばっかじゃねぇの?・・・まあ、あいつが事戦闘に関しての強さなんて見た目じゃわからなねぇか・・・・・・てことは、大佐の名前だして何とか休戦、確認のために俺が来るのを待ってる感じか、リーダーと話してるっていうより、ひょっとして銃突き付けてる感じ?」


返事はうなずきの肯定・


「・・・・めんどくせぇ・・・・・」


いなけりゃいいと思っていた。

死んでくれていてほしいと思った。


だけど、呆れたように笑みが浮かんだ事が少しうれしい。


笑みが浮かぶということは自分自身が安どしているということだから。


もう自分でもよくわからないぐちゃぐちゃの中身の中に、確かに残ってることが分かったから。




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