作戦説明
説明はつかれる。
会議室にそろう20人の部隊長と、副官などを含む43名
それを前に立ち、説明をしている親友を見つつあくびをかみ殺す。
「・・・・・端的に行ってしまうと、敵の防衛線を突破。蹂躙し、脱出する。の三つの動きとなります。つまり」
そういってホワイトボートに凸マークを縦に三つ書く。
「まず先行部隊は敵の防衛線を突破。突破後に左右に展開し、敵を引き付け、中央部隊の突撃をアシスト。中央部隊は先行部隊が敵の防衛線を突破後、敵の内部。特に砲撃タイプを中心に殲滅します。おそらく。中央部隊が一番きつい戦いとなるでしょう。周囲が敵の中暴れまわることになりますから・・・・・・・・そして先行部隊は敵を引き付け終了とともにそのまま後退して基地に帰還。補給後は弱体化した基地の防衛戦力として動いてもらいます。そして、中央部隊は敵部隊に十分な打撃を与えたのち、撤退。おそらく、逃がすまいと敵も追撃してくるでしょうから、それを後方部隊が入れ替わるように前進。敵の攻撃を足止めします。おそらく西と東の救援も駆けつけてくるでしょう。ですが、疲弊した中央部隊を逃がすまで何とか時間を稼いでもらいます。中央部隊を守るように後退してもらい。全軍が帰還し、任務終了となります」
そこまで言って親友は少し間を取り。
「これが理想的状況のままの推移です。そして、うまくいかなかった場合の基本行動を説明します」
そういってホワイトボードに突破、蹂躙、脱出のみっつの言葉を書く。
「まず突破に失敗した場合。この時、先行部隊は被害甚大となります。その場合、中央部隊は可能ならば敵の防衛線を突破し、内部の敵を蹂躙してもらいます。そして、疲弊した先行部隊は敵を引き付けることも不可能でしょうから、そのまま基地まで後退し再編成を急いでもらいます。後方部隊は可能ならば敵の引き付け、退路の確保。中央部隊は敵内部の攻撃をある程度に抑え、後方部隊と協力しつつ撤退する・・・・・本当に最悪の場合、先行部隊が壊滅し、敵の防衛線の突破が不能な場合。中央部隊と後方部隊はそのまま撤退します。下手に先行部隊を救うことは・・・できません。その場合、先行部隊には文字通り死んでも時間を稼いでもらうことになります。稼がなくても死ぬ・・・・わかってください」
そういって親友は突破の字にバツを入れる。
「・・・・次に、突破成功し、蹂躙に失敗した場合。この場合は敵軍内部に強力な敵、巨人や蛇、猪などによって敵内部で暴れるほどの行動ができなくなった場合についてです」
少し間をあける。
「・・・先行部隊、後方部隊は中央部隊の救出の為に敵の前線を破壊して退路を確保。それができない場合は中央部隊を見捨てることになります。中央部隊は必至で基地までの敵を打ち破り撤退するか、敵の内部で死ぬまで暴れるかの二択になりますが・・・・できれば脱出、無理なら死んででも相手に被害を与えてください。文字通りにです。その間、先行部隊、後方部隊は見極めが大事となります。中央部隊は最も数が多くする予定なので、この場合。中央部隊を捨てれば多くの仲間が死ぬことになります。だから、冷静に判断してください。全軍が壊滅した場合。基地も陥落し、化け物は町を蹂躙していくことになります。それだけは防がなければならない。先行部隊、後方部隊が残っていれば、守り切れる芽が出てくるかもしれない。そのことも胸において、できる限り中央部隊を助けるように動いてください」
そして蹂躙の文字にバツを入れる。
「次に脱出に失敗した場合。要は後方部隊が敵の攻撃に敗れて、中央部隊に襲い掛かるような状況の時です。この場合。後方部隊は全滅しているが生き残っていても助ける手段がない。後方部隊はできるだけ時間を稼いで死ぬことになります。そして中央部隊になりますが、敵を食い止めつつ後退することになりますが、おそらく疲弊し、弾薬もほとんど尽きているでしょう。敵を食い止めることは実質難しいといえます。ですから、全力で逃げるか、捨て石となって味方の撤退を助けるかの二択となります・・・・・先行部隊はできれば救援してもらいますが、おそらくは無理でしょう」
そして脱出の文字にバツを入れる。
「これが基本戦術となります。状況によってはこれ以外の場合も十分ありますが、その時は各部隊の指揮官に判断は任せます。ですが、他の部隊に行動を報告することは忘れないでください。それがたとえ臆病風に吹かれ、無様に逃げるとしても、報告してください。それだけで助かる人が増えるかもしれませんから」
そういって親友は俺に視線を向ける。俺は持っていた資料を各隊長に配る。
「編成ですが、できる限り、実力、錬度を考慮した結果。大佐が考えた各部隊の編成となります。第7、12、13、22、36部隊は先行部隊。第36部隊隊長の指揮下に入ってもらいます。そして第10、15、23、27、31、33、39、42、51、60部隊は中央部隊。私の指揮下に入ってもらいます。第3、16、45、55、61部隊は後方部隊。第16部隊隊長の指揮下に入ってもらいます・・・・・・・何か質問はありますか?」
その言葉に、各隊長は資料を見つつ編成を確認。
「・・・中央部隊の先端の部隊が31部隊とは、つまり作戦の代表者が敵内部の突撃の先鋒となるということか?それは危ないと思うのだが」
一人の隊長格がそう発言する。
「・・・・中央部隊で一番攻撃力がある者が担う役目です。それが我々なら、やらねばならない。失敗はできる限り避けなければならない。違いますか?」
親友のまっすぐな視線に、その隊長はちいさくうなり。言葉が止まる。
「一番攻撃力が必要なのは先行部隊だと思うのだが?それに、中央部隊の役目場危険が高い。そんなところに全体の指揮官がいくのは問題では?」
別の隊長がたずねる。
「先行部隊は最初の突破が終わった後、その後はメインの戦場から離れることになります。最終決定権のある者が、そんな後方で指揮を執っても。移り変わる戦場を理解することはできないでしょうメインの現場で戦う者が、現場を動かすべきです」
危険は百も承知。でもさぁ。俺は後方がいいと思うぞ?言っても聞かないから言わないし、作戦前に口論してあの子を不安がらせたくないし。
各隊長を少し見まわす。作戦を理解し、戦いを決めた兵士の眼光。それは、固い決意を持つ光を放つような瞳。
嫌いではない。だが、守りたいと思うほど強い光だとは思わない。
むろん、彼らによってただ守られる住民のような、光すら見えない連中よりは嫌いではない。たぶん、連中はそんな住民の為に戦うのだろう。俺は全くごめんだが。
親友やあの子は助ける。だが、親友やあの子が助けたいものは別にどうでもいい。
たぶん。それを知ったら、親友は俺を相棒だとは思わないだろうから言わないけど。
そこはまっとうなただの人間と同じように、
守りたい大事な者たちに嫌われたくはないのだ。
優秀な人はいろいろな状況を考えて動ける人だと思う。




