哨戒と会議前
ゲームが面白くて更新遅れてしまいすいませんでした。
見張りは数時間。会話する気も無いので無言ですごす。稀に話しかけられるが二言三言で会話は途切れ、静寂の中でじっとモニターを見つめる。
「ん?」
白い軌跡をえがいて前方から複数の何かが、とんでもないスピードで機体上空を通り過ぎる。一瞬遅れて、甲高い轟音がスピーカーに響く。
「っ・・・・・・ああ、うざってぇ」
音量を下げる。敵の攻撃だが、別にこちらに問題がないので別にいいのだが、轟音の所為で、耳が痛い。
『猪の砲撃ですか・・・・何度聞いてもなれませんねあれは・・・・』
隊員のうんざりといった表情を浮かべてるのがわかるほどの呆れ声に、俺も小さく同意する。
大型の砲撃型の化け物、猪。
大きさは亀の三倍から四倍。巨大な体躯と背中にしょった大きな砲塔が特徴のその化け物は、別名「航空機殺し」といわれる厄介な相手である。
音速を超える戦闘機の機動を正確に予測するのはもちろんのこと。その弾丸も、戦闘機の手前で炸裂し大量の子弾をまき散らし、たった一発の弾丸が周囲数百メートルに散らばって、回避行動をとった戦闘機を撃墜する。無論命中すれば多脚騎士だって一撃でバラバラに吹っ飛ばされるし、弾丸がさく裂しないタイプは、かつて大型の戦艦や強固な要塞すら破壊させたとすら言われている。
因みに北利にも現在7体の猪タイプが存在する事が確認されており、6匹の蛇、5体の巨人と共に厄介な化物として、動向に注意が払われている。
「・・・・方角からいうと本土の偵察機か何かかもな」
呟く。どうせ関係ないとはいえ、不幸にも猪の射程に入ってしまったかわいそうなパイロットにしばし同情する。恐らくは海上を封鎖している蛇の動向を探る役目だったのだろうが、高度を取りすぎたのか、あるいは蛇が北利側に誘い込んだのか、どちらにしても今頃は爆散しているだろう。
『あれがなければ、本土に飛ばせるんですがね・・・・』
悔しいようなやるせない言葉。確かに輸送機が飛ばせれば、住民の避難は一気に終わる事だろう。そうすれば俺たち兵士も随時撤退に・・・・
「まあ、むりだわな」
猪に近寄るのも難しいってのに? そもそも7体全員を倒せるようなチャンスなんぞあるわけもない。そんなことできるのは絵巻物の英雄か、それとも、もうこの世にいない肉親ぐらいなものだろう。
「さてはてあと何時間なんだか・・・・」
携帯食料の棒状の栄養剤をかじりつつ。じっと機体を潜ませたまま。俺は腕時計を見て、あと3時間弱。
「・・・・・・・・」
だるいなぁ
何事も無く哨戒は終わって、帰って寝るかというときに、親友が
『隊員は、三時間後にミーティングを行うので作戦室に集合してもらいたい・・・何か用がある者は事前に俺か相棒に伝えておいてくれ』
そう言っていたので、しぶしぶ部屋で一休みの後、風呂入って作戦室で待機中というわけだ。
まあ、なんとなく何を言うかわかってるんだけどねェ。
どうせ自分の考えた作戦のことだろう。そして、その作戦立案者である親友が何を考えているかなんぞ。長い付き合いの自分は想像がつく。
コの字型におかれた長机にいる。まだまばらな数の隊員を見ると、何人かは同じように想像、いや、ちがうな、状況は理解していないだろうがこう思っているんだろう。
隊長が何かをするのだと。そして、俺たちに協力してほしいのだと。
何人かは厄介なといった表情を浮かべているが、ほとんどはやる気と覇気に満ちた瞳。それを見るたびに思う。
そこまで慕われてるのに、お前は足りないんだよなぁ
自分の為に命かけてくれる仲間がこんなにいるのに、お前はそれだけでは守れないとさらに上に登って行くのだろう。
なんというか、本当に・・・・本当にあいつは人間だよ。
それが眩しすぎて、人間に見えないほど
「となり?・・・・平気?」
そんなことを考えていたからだろう。その声にとっさに反応が遅れた。
「あっ・・・・・・・うん、いや、ああ、べつにいいぞ」
そうだったそうだった。相棒は作戦を説明するのだから席に着くことは無い
そしてこいつは他の隊員より自分か【射攻】の隊長の横に座る。まあ大概は俺の隣なんだが。
「?・・・どうかした?」
「いや、まあ、考え事してたからな」
不思議そうに見つめられても、動揺をこれ以上顔に出すつもりはないからわからんよ。
「・・・・?・・・・うん」
何とか誤魔化せたらしく席に座るこの子に、どうするかなぁと考えつつ。
「なんなの?今回」
まあ、そうくるよねぇ~
「・・・・・とぼけても無駄かな?」
「こういう時、隊長は絶対誰かに相談する。私が知らないなら絶対あなた・・・・・逆は無いけど」
断言される。まあ、その通りなので反論のしようもない。
「そうだな。簡単に言えば」
周囲が聞き耳立ててることは承知で答える。
「要は、油断してる化け物どもに一泡吹かせてやるってことだな」
「要はいつも通り?」
その問いに視線を逸らしつつ。
「・・・・・・・・ちょっち危険かな~」
その言葉に目の前の子の雰囲気が少し冷たくなった。
「・・・相当危険。犠牲覚悟・・・・か」
そう言って視線を外してくれる。一瞬瞳に映った恐怖の色をみせないように。
「なに、お前は死なせねぇよ」
頭をなでる。言っておくが決してエロではないぞ。
「う・・・・・私だって、死なせない」
少し照れくさげだが、受け入れつつも口をとがらすさまは本当にかわいい。
「・・・・・・隊長のついでにでも守ってやるからな」
「うん。私もそうする」
迷いない返答。うん。相変わらず優先順位は二番目ですね。わかります。期待などしませんとも。
「いっとくが、てめぇらは自分の命、勝手に守れよ。死んでも知らんからな」
周囲に向かってそう答える。
「守るよ。私は・・・・・・・みんなを」
彼女のその言葉を、少し苦々しく思いながら




