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op06:ジェニスの決意とミレイとの約束


 激しい剣戟の音が響き渡る。その音はジェニスの耳にも届いた。ジェニスは未だに思うとおりに動かない身体を引きずって家を外に出た。

 村の中央の広場に対峙する人影が見えた。1人は幅の広く、峰にはのこぎりのような刃があるが入った剣、ソードブレイカーを構えている。もう1人は2.5m程もある槍、そのシュルエットから判断すると兄のバハムートに間違いない。

 おそらくフェンリア神官は自分の引渡しを拒否したのだろう。ガイア教の教義からすると、犯罪を犯したのでなければ、魔族をファン教に引き渡すわけがない。

 ファン教の聖騎士の兄にすれば、魔族をいくら巻き添えにしてでも自分を殺しに来る。

「くっ、自分でケリをつけなければ」

 ジェニスは、呟くように独白する。

「ジェニスさん」

 名前を呼ばれ、はっと顔を上げるとミレイの姿があった。

「まだ動いては駄目です。戻りましょう」

 そう言うミレイのスカートは裂け、喉元にも血のスジが残っている。

「ファン教の聖騎士がやったのですか?」

 ミレイは何もいわず、ジェニスの脇を支えた。

「戻りましょう。今のあなたでは…… あとはフェンリア様にまかせて」

「答えてください!」

 ジェニスはミレイを振りほどき、両肩を掴んだ。そして、真っ直ぐにミレイの深緑色の瞳を見つめる。

「答えてくれ」

「答えたら、そのままベッドに戻ってくれますか?」

 ミレイの答えはジェニスの問いを肯定したも同然だ。ジェニスはミレイの肩を放すと、激しい戦闘を繰り広げる2人のもとに足を向ける。

「行きます」

「嫌、行かないで、お願いです」

 ミレイが後ろからジェニスに抱きついた。

「あのファン教の聖騎士の男は、私の異母兄です。ファン教の聖騎士ですから魔族を狩りだすのに容赦しません。それが血の繋がりのある者でも…… ここは僕が決着をつけなくてはいけない。それを人任せにしては一生後悔する。僕がこの手で全てを決める。わかってはもらえませんか?」

「………」

「お願いします」

 ミレイは無言でジェニスの身体を支えた。そして広場の方に歩を進める。

「……ミレイさん……」

「怪我ぐらいなら許してあげます。死んだら駄目ですからね。立派でなくてもいい。どんなに無様でもいいです。生きぬいてください」

 うつむいてジェニスの身体を支えるミレイの表情はジェニスからは見えない。だが、本当はジェニスを引き止めたいという想いは感じ取れた。

「……約束します。ありがとう、ミレイさん」


ここ一週間ほど、仕事がデスマーチ状態で更新が遅れていますごめんなさい。

といっても読んでくれている人がいるのか疑問なんですけどね。

次回の更新は仕事しだいですね。予定では明日は早く帰れる予定ですけど…… 予定は予定でしかないですから……

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