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op05:灼眼の鬼人と剣の神官


 ミレイが、広場に足を踏み込むと村の青年達が倒れていた。ミレイは慌てて一番近くに倒れていた青年を抱き起こす。

「大丈夫ですか?何があったのですか?」

「ミ、ミレイか…… に、逃げろ…… 早く」

 青年は苦しそうに呻く。

「い、今、フェンリア様を呼んできます」

 振り向き走り出そうとしてミレイは黒い影とぶつかり尻餅をつく。見上げると殺気の漲る灼眼があった。ジェニスの優しげな灼眼とは違う、何もかも焼き尽くしてしまうような灼眼が。

 ミレイは声にならない悲鳴を上げ後退りするが、黒い影は右手に持った大きな槍でミレイのスカートを地面に縫いとめる。

「昼間、この村に赤毛で左腕を失った男が運びこまれた筈だ。どこに居る?」

 地の底から響くような声がした。ミレイは声も出せずただ首を横に振る。

「こいつらのように、なりたいのか?」

 黒い影は槍を一旦引き抜き、切っ先をミレイの喉元に当てた。肌が破れ血液が浮く。

「誰だか知らないけど、その娘を放してくれないかしら?」

 後ろからの突然の声に男が振り返る。自由になったミレイは黒い影の横を駆け抜け、声の主に抱きついた。

「この村は我らガイア教の保護下にあります。ファン教の聖騎士様が傍若無人に振舞ってよい場所ではなくてよ。灼眼の鬼人殿」

「ふん。ここに赤毛、隻腕の男が逃げ込んだはずだ。引き渡してもらおう」

 フェンリアは自分に抱きつき泣きじゃくるミレイの髪を撫でながら答えた。

「それは無理ですわね。その者が犯罪者であるならガイアの法で裁きましょう。魔族という理由だけで追いかけていらしているのであれば教義により引き渡せません。ご存知でいらっしゃいましょう?」

 灼眼の鬼人、ウッドは不敵な笑みを浮かべる。

「魔族の隠れ里、目撃者を消すのも簡単そうだ」

「ミレイ、離れていなさい」

 フェンリアはミレイが自分から離れたのを確認するとソードブレイカーの柄に手をかける。

「勇敢な神官殿だな。私が灼眼の鬼人と知ってなお、戦いを挑むか。名を聞いておこう」

「フェンリア=ヒルデガルド」

 ウッドに表情に一瞬、驚きの表情が浮かぶ。

「『蒼い天使』の片翼に会えるとは思わなかった」

「そのふたつ名はルノアのものよ。最近では『蒼い聖女』と呼ばれているみたいだけど。私としては、もう一つのふたつ名の方がしっくりくるわ」

「『つるぎの神官』か?」

「ええ」

 周囲に少しずつ殺気が満ち始めた。



ここまで読んでいただいた方に感謝を。


怖いお兄さんの再登場です。ミレイちゃんになんてことをするんだ! という感じですが。


外伝1のop08のあとがきでふたつ名のことをちょっと書きましたがフェンリアのふたつ名が今回出ました。

ルノアは本編のほうで出ていまして、もう一つ出てきた『蒼い天使』というふたつ名は、見習い時代のルノアとフェンリアのふたつ名です。

ウッドが作中で『片翼』と称したのは、2人でひとつのふたつ名だからです。


ちなみにウッドの『灼眼しゃくがん鬼人きじん』、元は『赤眼せきがんの鬼人』でした。灼眼になったのは、アニメ化(アニメどころか小説も読んでません……)もされているあの作品から取りました。灼眼のほうがカッコイイし(笑


では、次回も読んでいただけたらうれしく思います。

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