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op04:ジェニスとミレイ


 身のふり方を考えるといっても何も考え付かなかった。自分の母が魔族であることも今日、初めて聞かされた。

 そして、先ほどあの女神官は自分のことを魔族と呼んだ。その言葉に侮蔑や嫌悪が無いのはガイア教の教えからなのだろう。ガイア教は生物のすべては平等というのが一番の教義だ。

 ファン教だと人間至上主義というか、魔族と教団の認定した邪教には決して容赦しない。聖騎士団などという小国の軍隊に匹敵する騎士団を保有しており。時には、各国に騎士団を派遣することもある。

「俺は、どうしたらいいのかな……」

 呟いてみるが、それで問題が解決するわけではない。ジェニスは右手でその炎のような紅い髪を引っ掻き回した。




 ミレイは暗闇の中に立っていた。しばらく、見ることの無かった悪夢…… おそらく、何人かの病死に立ち会ったせいだろう。夢とわかっていても、つらい事にはかわりない。

 目を凝らすと、少し離れた場所に両親と弟が立っている。3年前に流行り病で亡くなった時の姿で……

「?!」

 ミレイは両親たちを呼ぼうとしたが声が出なかった。それだけではなく、指一つ動かせない。金縛りにあったように。

 しばらく、そうやって見つめ合ったあと両親と弟が少しずつ離れていく。どこかにいってしまう。

 ミレイは両親と弟の名前を心の中で叫んだ。その深緑色の瞳から涙が零れ落ちた。




「ミレイ、ミレイさん」

 ミレイが、名前を呼ばれて目を覚ますと、炎のような紅い髪の青年が肩をゆすっていた。心配げに見つめる灼眼にミレイの顔が映っている。

「大丈夫ですか? ずいぶんとうなされていましたが……」

「あ、ご、ごめんなさい。私、寝ちゃったみたいで…… あ、あの、私、何か言いました?」

 ジェニスは、微笑んで言った。

「いいえ、意味のあることはなにも…… 私の名前は、ジェニス=ハス。あなたが助けてくれたそうですね。ありがとうございます」

 ミレイは両手を、パタパタと振る。

「い、いえ。私はなにも…… 怪我の手当ても、フェンリア様がすべてやられましたし。私は見ているだけしか……」

「でも、あなたが見つけてくれなければ、私は死んでいたでしょう。それならばあなたは命の恩人です」

「……」

 ミレイは俯いたまま、言葉を発しない。

「ミレイさん? 何か不愉快だったでしょうか?」

 ミレイが弾かれたように顔を上げた。

「いいえ、違います。私みたいのが命の恩人なんて…… 私は何もできないのに」

 ジャニスは右手でミレイの頬に触れた。

「そんなふうに自分を卑下する事は止めましょう。貴女が、私を見つけてくれた事は事実です。そのおかげで、私の命が助かったのも事実です。そして、僕は貴女のような女性ひととも出会えた。私はとてもついていると思います」

 ミレイの頬に朱が差す。

「あ、あの、わ、私、夕食貰ってきます」

 ミレイは顔を隠すようにして家の外に出た。そして扉にもたれかかり、早鐘のように打つ心臓が落ち着くのを待つ。

「嘘よ。私なんて……」

 ミレイは消えそうな声で呟いた。


お待たせしました。

と、言っても待っている人なんているのか? この小説…… 

自分で言って悲しくなるので、考えるな俺(笑


妹の結婚式や何やらで間が空いてしまいましたが、無事続きを更新。

ミレイは、私なりに可愛い娘(めがねっ娘万歳という感じでwww)に設定したつもりなのですが、自分に自信が持てないみたいです。(そういうようにキャラが動く)

両親と弟が亡くなったときに何も出来なかったのが影響してるのかな?


さて次回は、怖いお兄さんの再登場です。


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