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苦悩の集

欲望とまでは言わないが

作者: 時雨 小夜

 

 昨日夢を見た


 淡い夢だ すぐに消えてしまいそうな


 ただ手をつなぐだけ


 ただ君と歩くだけ


 たまに君の横顔を見て


 君も僕の視線に気付いて


 微笑んだりして


 僕がこんな幸せでいいんだろうかって


 死にたくなったりして


 そんな憂鬱を


 君が掻き消してくれたりして


 そんな夢を見た


 下らない夢だ すぐに捨ててしまいそうな


 何処かでひたすらに僕の名前を叫んで


 何処かでひたすらに頭を掻き毟って


 ずっと泣いている


 君を守らなきゃって


 ずっと走ってるんだけど


 ゴールが見当たらない


 君が見当たらない


 気付けばもうとっくに君を踏んづけていて


 そんな夢を見た


 誰に話すでもなく


 ぼそぼそ と、


 呟いた。


 そんな夢を見た


 目が赤くなっていた

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