偽りの王女様
ちょいグロいかも・・・
皆さん、こんにちは。
私は夢の案内人『叶夢』と申します。
今回紹介する『夢』は、周りが偽りの世界で生きていた王女様のお話です。
ちなみにあっちの世界で国は殆ど王権ですよ?
まぁ、知っている方は知っていると思いますが・・・・
おっと、そろそろ時間ですね。
それでは『偽りの王女様』ごゆっくりどうぞ。
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ある国には一人のとても可愛らしい王女様がおりました。
王女様は王がやっている政治については執事たちに聞いただけのことしか知りませんでしたが、何不自由なく召使たちに囲まれて幸せでした。
そのせいか、王女様はいつも自分勝手で傲慢な方に育ってしまいました。
王女様は、ある日城の庭でゆっくりと寛いでおりました。
「今日は良く晴れてて気持ちがいいわ。」
そこに執事がやってきて、お茶の入ったティーカップを差し出しました。
そのお茶は遠い北の国のもので、値段が高く滅多に手に入らない代物です。
王女様はお茶を受け取りながら言いました。
「今度新しいドレスが十着ほど欲しいの。用意できる?」
「直ぐに用意させましょう。」
王女様は満足そうに頷いてカップの淵に口を付けましたが、一口飲んで顔をしかめました。
「何これ?ちょっと冷めてるじゃない。」
「はて?何時もどおりのはずなのですが・・・」
「もういいわ。下がって。」
そのお茶は国民の税金で買ったと知らない王女様は、そういうとお茶を地面にぶちまけました。ついでにカップも投げ捨てて、放置しています。
「・・・畏まりました。」
執事はそう言うと城の中へと消えて行きました。
王女様は再び一人になって目を瞑ろうとしましたが、そのとき
「バリーン!!」
突然城の窓が割れる音が響きました。
「一体何の騒ぎかしら?」
王女様は庭を抜け、城の中を覗きました。
そこでは信じられない光景が広がっていました。
なんとこの城には立ち入り禁止のはずの国民達が、城の中で暴れまわっているのです。
しかも狂ったように「王族は皆殺しだ!」と叫んでいます。
「何なのよ!?あれ!!」
皆が幸せで満たされていると信じていた王女様は、わけが分かりません。
実はこの国の王は国民達から多額の税金を巻き上げており、そのせいで国民達は飢え死にするほどまで追い込まれていました。
そして遂に今日国民達の怒りが爆発し、城に乗り込んだのです。
しかしそんな事は全く知らない王女様は、混乱するばかりでした。
―なんで皆あんなに怒っているの?私どうすればいいのかしら?
王女様がオロオロしていると一人の国民に見つかってしまいました。
「王族が一人残っていたぞ!皆逃がすな!!」
王女様は急いで逃げようとしましたが、飾りが沢山付いた服では思うように動けず、直ぐに捕まってしまいました。
髪を引っ張られて床に倒されたとき、国民達の顔が見えました。
憎しみのこもった目で睨まれて、王女様は恐怖しか感じません。
「まったく、こんな高そうな服着やがってよぉ・・・」
「結局これも俺達の税金かよ。」
「私達は苦しい思いをしているというのに!」
王女様は更に混乱しました。
「そ、そんな筈ないわ。だって執事たちはこの国は豊かだって・・・」
「ほざいてんじゃねぇ!!」
国民の大声に思わず耳を塞ぎました。
「俺達がどんだけ苦しい思いをしているのかも知らないで!!」
「こいつ!殺しちまえ!!」
「そうだそうだ!やっちまえ!!」
そういって一番先頭にいた男が斧を振り上げました。
このとき初めて王女様は自分が信じていた世界が、全て偽りだったことを知りました。
皆が幸せなどではなかった。それはただ自分達だけだった・・・と。
王女様は慌てて口を開きました。
「ま、待ってちょうだい!わ、私知らなかったの、あなた方が苦しい思いをしていること。だから私がこれからはちゃんとこの国を・・・」
しかし、王女様は気付くのが遅すぎました。
なぜならもう気付いたときには、国民達の心はこの国と王から離れていたのですから。
酷い仕打ちを受けてきた国民達の心は、今更現実に気付いた王女の言葉などただの薄っぺらいたてまえにしか聞こえないのです。
「もう、その言葉は聞き飽きたんだよ。」
王女様の言葉を遮って、男は冷たく言いました。
男はもう一度斧を持ち上げました。
そして斧が振り落とされ王女様の首と胴体は二つに切断されました。
頭と胴体がドサリと音を立てて、真紅の血が泉のように切断されたところから絶え間なく出てきます。
こうしてあまりにも無知で傲慢で、真実を何一つ知らなかった王女様は反逆を起こした国民によって殺されてしまいました。
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『無知』とは時に最大の罪となります。
王女は身の回りの現状について、無知なのに贅沢ばかりをしたため残酷な方法で殺されました。
どうか皆さんもお気をつけください。
それでは次の物語でまたお会いしましょう。
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