表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/14

第二の人生 3

太陽が爛々と照りつける浜辺で俺は日本でやらなくてはいけないことを必死で思い出しそうとしていた。


学校...高校を中退した。

友達...ネットの中に30人程度。うち女は2人。

趣味...ゲーム。

職業...自宅警備員。

将来の展望...特に無し。

貯金...親のスネ

彼女...100人近くはインストールした。ただし全員少し薄っぺらい。


家族...母親が1人......


母さん...



スーパーマーケットで働き始めると言ったら泣いて喜んでくれた母。


スーパーマーケットを辞めたと伝えても、「自分のやりたい時にまた始めたら良いよ。母さんいつでも応援してあげるから」って優しく微笑んで、涙を流しながら俺を抱きしめてくれた母。


京都産のハンカチを渡したら、「ありがとう。今まで何にも力になれなくてごめんね」って言いながら袖を濡らしていた母。


将来しっかりした仕事に就くための勉強をしたいからお金が欲しいと言ったら、潤む目で俺を見つめて、嬉しそうに震える手で10万円を俺の手に握らせてくれた母。


母の顔が次々と脳内に浮かび上がっては消える。


(あいつ)泣いてばっかだったな...


ほんと俺は駄目な息子だったよな。

親孝行らしい親孝行も一回も出来ずにこんなわけの分からない世界に来てしまって...


あれ?何でだろう?


目の前が霞む。


これは...涙か。


目にゴミでも入ったのかな。


ははっ


何故か涙が止まらないや。


俺、どうしたんだろう?













そこで俺はふと気付いた。いや気付いてしまった。










今の俺の身体がスライムだったということに。


ヤヴァイ!何がヤバイって超ヤバイ。俺の体がどんどん粘液となって溶け出している。


まさに水も滴る良い男。ウホッ!


...じゃない。そんなこと考えている場合ではない。


俺は急いで日陰に転がり込んだ。


すっかり失念していたが、スライム兼吸血鬼属性を持つ俺は昼間に直射日光に当たると身体がどんどんゲル状に変化してしまうのだ。


こんなニュルニュルヌチョヌチョな状態を他人に見られてしまっては俺の「人間に紛れて異世界で過ごそう計画」が頓挫してしまう。それだけは死んでも避けなくては。


異世界で暮らしていく上で最初から躓くわけにはいかない。




えっ?

日本?


特に未練もないのでここで暮らすことにしました。


駄目な息子でごめんよ。母さん。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ