第二の人生 2
困った。非常に困った。どうしよう。あれから色々見てみたが、どうやら俺が第二の人生オンラインの世界にいるのは間違いないようだ。
ゲームにしては解像度が高すぎるし、視覚、聴覚以外の五感もはっきりしている。そして何よりNPCの会話がとてもプログラムとは思えない。
どうみたってモブである店の売り子の少女が、漁の成果から今日の天気、挙げ句の果てに胸の成長具合についてまで話し出すのは明らかにおかしい。
第二の人生オンラインは確かに戦闘に関しては圧倒的と言って良いほどのリアルさとバラエティを誇っていたが、その反面、日常会話についてはそこまでリアルに設定されてなかったはずだ。
店の売り子などよっぽど重要なキャラでない限り、店の商品に関する質問と定型文の会話くらいしか出来ない。
本当は実際に会話して確かめれば良かったのだけれども、そこは自宅警備員としてのプライドやら持ち前のチキンハートやらが邪魔して行動には至らなかった。
程よい海岸の岩に腰掛け、今後の方針について考えることにする。
まずこの世界に来てしまった原因。十中八九【セカンドライフボール】のせいだろうが、正確なところは分からない。
次に日本への帰り方。
無論これも分からない。
だが、それでは困る。こんなわけの分からない世界に閉じ込められているわけには行かない。日本でやらなくてはいけないことがまだたくさんあるのだ......
そうたくさん...
.........やらなくてはいけないこと
......あったっけ?