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逮捕3

長い(筆者にしては)

「お前大丈夫か?話を聞いているか?」


バニ子たんの萌えオーラのせいでトリップしていた俺に衛兵さんが声をかけた。


大丈夫なわけがない。生命の危機だ。


「危うく萌えすぎて窒息するところでした」


俺は顔を天井に向けたまま答えた。バニ子たんが衛兵さんを指して何やら口をパクパクさせている。


やはりかわいい。清らかな萌えを感じる。このまま天井に張り付く貧乳くノ一のバニ子たんを愛でていたい。

しかし衛兵さんが無粋にも俺の楽しみを遮る。


「燃えすぎて窒息?さっきからお前は本当に何を言っているのだ?どこにも火などついておらんぞ」


まるで頭がおかしい奴を見るかのような視線を投げかけてくる衛兵さん。


頭がおかしいのはお前だ。萌えと燃えの区別もつかんとは。いずれ神の裁きを下してやろう。


「俺の心に火がついているんですよ」


衛兵さんに答えながらも、バニ子たんの方を見続ける。どうやら衛兵さんをなんとかしてあげるよ、と言っているらしい。

必死で衛兵さんを指差し、殴り倒すジェスチャーをしている。


それにしても天井に張り付きながら、両手を放しても大丈夫だとはなかなかやりおる。


ハァハァ。


自分で脱走してもよいが、スライムの能力は出来れば使いたくない。ここはバニ子たんに任せてみるのもいいかもしれない。


バニ子たんに頷いて合図を送る。

バニ子たんがうさ耳をピンと立て了解したよという風に頷き返してくれた。


やはりかわいい。

うさ耳にも神経が通っているのか。どうやって助けてくれるのかお手並み拝見だな。


俺の方をチラッと見たバニ子たんは一瞬で衛兵さんの後ろに降りたった。物凄い早業だ。おそらく「俊敏」のステータスが相当高いのだろう。職業(クラス)は見た目通り「忍者」だろうか。

そんなこと考えている間に、衛兵さんが気絶させられる。気配を消した状態での背後からの鋭い手刀。無防備の首を的確に射抜くそれは衛兵さんの意識を刈り取るには十分だったのだろう。衛兵さんの体が崩れ落ちた。


バニ子たんが俺に微笑みかけ、腕をとった。俺の腕がバニ子たんの胸に当たる。...正直全く胸を感じない。少し厚い胸板と言ったところか。いやまな板と言った方がしっくりくる。


バニ子たんが俺をキッと睨んできた。ただ身長差のせいで上目遣いになってしまい、正直全く怒っているように見えない。むしろ萌える。


そんなことを考えていると、バニ子たんが俺の手を抓ってきた。

スライムなので全く痛くない。


不満そうに俺を睨むバニ子たん。

彼女は俺の心が読めるのだろうか。


バニ子たんがはぁっと諦めたように溜息をついて俺の腕を引く。どうやらさっさと逃げ出そうということらしい。

特に逆らう理由もないのでバニ子たんに連れられて外に出る。



そのまま街の外れまで逃げた俺たちは偶然見つけたベンチに腰掛けた。


「...っ助けてくれてありがとう」


少し声が上ずってしまった。俺は長らく母以外の異性と話してないのだ。バニ子たんのような美少女を前にしては仕方がないことだろう。


引かれなければ良いが。


「ん。気にしなくても良いですよ。あたしにも目的がありますので」


口を覆っていた布を外したバニ子たんが答えてくれた。凛としたきれいな声だ。ロリータな見た目とのギャップが堪らない。


「ふむ。目的と言うのは?」


内心でドキドキしまくってるのを隠すため、必死で冷静を装った声で返事する。心なしか話し方も少し変わっている気がする。


「お願い!パントマイマーさん!アリスを、妹を助けるのを手伝って下さい!」


いきなり潤んだ目で頭を下げられた。さっきまでの冷静な様子はどうしたのだろう。


「えっと...」


続く言葉が出てこない。当たり前だ。女子ともまともに話せない、万年引きこもりの俺が泣いている女の子の対応なんか分かるわけがない。


このままじゃやばい。


俺の脳内で警報が鳴り響く。折角の美少女とのひと時なのだ。頼りない男として幻滅されたくない。

必死で今までプレーした数々のエロゲとギャルゲを思い出し、状況打開のヒントを探す。


目の前で急に女の子が泣き出した時の対応...


こんなときイケメン主人公はどうするか...


......とにかくわけを聞く...これが一番無難か?

いや。確かあのとき主人公幼馴染のヒロインに「この鈍感ーーーっ!!!!」って怒鳴られて好感度も軒並み減少したはずだ。ここでそんなことが起こっては堪らない。これはやめた方が良いだろう。


取り敢えず謝る...確か「べ、別にあんたは悪くないんだけどさ...」って返しだったはずだ。良くはないが、悪くもない。無難と言ったところか。

まぁここはこれでいくか。


「すまなーー」


しかしバニ子たんに謝りかけてふと気付く。


いやいやいや。


待て待て。


確かあのあと幼馴染は主人公に聞こえない声で「ばか...」と小さく呟いたはずだ。

何か心に煮え切れないものがあったのだろう。紳士な俺がバニ子たんにそんな思いをさせるわけにはいかない。これも却下だ。


じゃあ正解はなんだったか。


確か...


えっと...


そうだ!これだ!

これなら間違いない!


暫しの思考の後、幼馴染の好感度を急上昇させる選択肢を完全に思い出した俺は早速行動に移る。




俺は今は潤んだ目を下に向けているバニ子たんを優しく抱きしめた。さらに顔をうさ耳に近付け、耳元で「本当に大切なのはお前だけだ」と甘い吐息を吹き掛けながら小さく呟いた。


バニ子たんの身体が震える。うれしくて感動しているのだろう。


決まった。これでバニ子たんの好感度もはち切れんばかりに膨らむに違いない。

胸の膨らみは無いに等しいが。


俺の抱擁を受け、バニ子たんの肩がワナワナ震えている。どうしたのだろうか。


しかし、取り敢えずは「どうしたの?」と声をかけようとした瞬間、突如俺の体が宙に浮いた。


「きゃああああああ!!!!変態ーーっ!!!!」


あれ?と思った瞬間には俺はバニ子たんの悲鳴とともに吹き飛ばされていた。



ん?どうしてこうなった。



新手ツンデレか?

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