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彼方からの呼び声  作者: ごおるど
第二章
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閑話 とある商人のつぶやき

閑話なので、短いです。内容も重複しているため、読み飛ばしていただいても結構です。


 私の名前はグノー。商人だ。主にグランフィリア王国で商売をしている。

 もう直ぐ建国祭があるので、普段よりも荷物の動きも多い。特に今回の祭りは千年目にあたるので、国をあげての大々的な行事も目白押しになっている。せいぜい稼がせてもらおう。

 いつものように納品する品を馬車に積んで街道を行くと、王国まで後少しというところで、小さな女の子が手を振っているのが見えた。

 はて、あのぐらいの年齢の子供を一人旅させるなんてありえないが、なにかあったのだろうか。

 馬車を止めると、少女というよりも幼女といったほうがいいような年齢に見える女の子だったので、余計になにか突発的なことでも起きたのかと思ったのだが、そうではなかった。

「すまぬが、街まで行くなら乗せてもらえまいか。礼はするゆえ」

 ずいぶん前時代的な言葉遣いの子供だ。こんなに小さいのに、もしかしてもっとずっと年が上なのかな?引きこもっているうちに少々浮世離れするのは、長命種にはありがちなことだから。身なりもいいし、連れている鳥も普通じゃないようだ。きっと、どこぞのお姫様がお忍びで祭り見物でもしにきたんだろう。

「お礼なんていらないよ。お嬢ちゃんみたいな小さな子が気を使うんじゃない」

 ためしにそう言ってみると、鷹揚な微笑みと共に礼の言葉が返ってくる。やはり、身分の高い産まれのようだ。

(おきな)は、どこまで行くのか?」

 翁か。髪もひげも白いから、そんな年齢に見えるのか。同族間では普通なんだが、大概実際の年齢よりも上に思われる。

 そんな思いが顔に出たのか、少女ははっとしたような顔をした。

「もしや、翁はそんなに年ではないのでは。あー、もし間違っていたらすまぬが、獣人かえ?」

「ああ、私は山羊の獣人だよ。そのせいで年寄りに見られるけどね。まあまあ年寄りだから、気にもならんさ」

「すまぬ、失礼を申した」

「いやいや、気にしなくていいよ。……そういうお嬢ちゃんは、魔族かい?」

 黒い髪に黒い瞳。このあたりでは見かけない顔立ちだが、獣相はなし。完全に人の姿を取れる獣人もいるが匂いが違うし、ただの人間にしては、抑えた魔力が重い波長を伝えてくる。だからそう思ったんだが、少女はとても驚いたようだ。

「は!?……わらわはそのように見えると?」

「いや、言葉遣いがね……。こう、古い感じだから、見かけ通りの年齢じゃないのかと思って」

「あー……」

 腑に落ちたような返事をよこすと、少女は自分が孤児であること、魔法を教えてくれた師匠に育ててもらったこと、引きこもり生活で少々一般常識があやしいこと、魔素中毒であることなどを淡々と話した。

 なるほど。そのしゃべり方はそのお師匠さんに教えられたものか。とすると、お師匠さんは相当な長命種なんだろうな。所作が綺麗なのはちゃんと教育されてたってことか。

 それにしても、魔素中毒って子供がなるものだと思ったが、この子は一体いくつなんだろう。








千年前というと平安時代ですが、その時代の話し言葉でしゃべっても、言葉が全く違うため(発音とか)ほぼ、通じないそうです。

長命種がいるのでそこまで変化しないだろうと言う設定ですが……すみません。自分が書きたかっただけです。

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