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MIND  作者: Black Knight
目覚め
2/11

act2

オレ達二人は今、夕飯の買い出しとオレの個人的な雑貨、それと案内も兼ねて黄昏ヶ丘モールへと来ていた。


学園の中にあるここは、主に放課後の生徒達の溜まり場になっているらしい。






---------------






粗方買い物を済ませたオレ達は一息いれようと綾花のオススメカフェ“ゆうぐれ”へと入る。


適当な席に座り、綾花がブレンドティーなる物を注文する。


綾花曰く“様々なハーブが使われていてリラックス効果があり、ちょっとした病気程度なら治りが早くなるらしい”そうだ。


綾花の話を聞いているうちに店員がブレンドティーの入った二つのカップと小皿に載った六枚のクッキーを持って来た。


店員がティーとクッキーをテーブルに載せてごゆっくり、と一言言い厨房に戻っていった。


「それじゃあ飲もうか。」


カップに口を近づける。

すると鼻の中に様々なハーブの香りが広がっていく。


一口飲んでみて驚いた。今まで飲んだ茶の類とは全然違う。


自然と口から、

「うまいな、コレ」と言葉が漏れる。


「そうでしょ。 このクッキーも食べてみなよ」


クッキーの皿をずい、と勧められ、早速一枚食べてみる。

ほんのりとした甘さとサクサクとした食感がとても良い。


「これもレベルが高い......」と言うと、


「でしょでしょ」と綾花は笑顔で言った。


「ところで本当にお前の部屋に住んでいいのか?」


そう疑問を投げかけると「しょうがないよ、他に行くあてとか無いんでしょ?」と気恥ずかしく答えた。


「まあ、そうだが」


「………この話はもう終わりにしよっ。 残りの買い物をして帰らないと暗くなっちゃうよ?」


「ああ、分かった」


そう言った時には二人ともハーブティーを飲み終えていた。

会計を済ませてカフェの外に出ると綺麗な夕日は大分西の方へ傾いていた。


その夕日を見て「早く買い物して帰ろ」と綾花が言い、


「OK。 じゃあ行こう」


そう言って歩き出すと、一人の男とぶつかってしまった。

反射的に「すみません」と謝り、ぶつかった男を見ると、その顔には仮面を付けていた。


「こちらこそすみません」と男が言った。

それでは、と続けて男は去って行く。




その時、眩暈がした。更に頭痛や倦怠感もする。


「う…......」その場にオレは倒れ込む。


「ちょっと………大丈夫!?」と綾花の声が聞こえるが返事が出来ない。


そのまま、オレの意識は闇の奥底へと吸い込まれていった。




~夢~




「初めましてだな、成瀬統軌君。私は明沢(あきさわ) (まこと)だ」

いつの間にか仮面を付けている男が目の前に立っていた。コイツ、さっきぶつかった男か?


「………何故オレの夢にアンタが出てくる?」

そう問うと明沢と名乗る男が微笑した。


「君の生活はこれから非日常へと巻き込まれ、崩れ去っていくだろう。 私はそれを伝えに来たのだよ」


そう言うと、自分の体から淡い光が出て来て胸の前で結晶となった。


「それを砕きたまえ。 そうすれば君は自分の日常を護る術を得られる筈だ」


意味は良く分からなかったが俺の手は引き寄せられる様に目の前の結晶を砕いた。 砕けた結晶は燐光となり俺の体へと消えていった。


「また会える日を楽しみにしているよ」と言い残し、明沢と名乗る男は闇の中へと消えていった。


………


……





目が覚めるとそこは知らない部屋だった。




何処からともなく水の音が聞こえている。


体を起こすと、周囲には女子向けのグッズやら何やらが置かれていた。


もしや天国かと一瞬思ったが違うな。するとドアが開き、外からこの部屋の住人が顔を出した。


「起きたね、体の方は大丈夫なの?」


桃色の髪を伸ばしている幼馴染こと綾花が訊ねて来た。




「ああ、もう平気だ」言うと腹の虫が大きな音を立てた。


「………夕食作ろうか?」と言う綾花にすまない、と言うオレだった。






---------------






久しぶりの綾花の手料理は超がつく程の美味だった。


夕食を食べ終えた頃には十時になりそうだったのでオレが倒れた後の事を聞いた。


あの後、たまたま通りかかった綾香のクラスメイトの友人に頼んで運んでもらったらしい。

とりあえず、明日にでも礼を言っておくとして、今日はもう休息をとることにしようと思い綾花に使って良い部屋を聞くと、廊下の突き当たりの右側だそうだ。


他の部屋も聞いておき、部屋を出る時、「ありがとな、お休み」と言うと

笑顔で「お休み」と返され、リビングを出る。

自分に割り当てられた部屋に入り、明日の準備をパパッと終わらせ、布団の中に入り、オレは目を閉じた。


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