ACT2
体育館裏での戦闘から何度かファントムが現れたがそれほど強くもなく、ある戦闘が終わった際に前から気になっていた事を綾花と高原に聞いた。
「マインドを初めて使った時は戸惑わなかったのか」
そう聞くと綾花は「よく分からないけど、どこか懐かしい感じがしたの。」と言い、高原も「俺もだな。ここら辺に記憶があるような気がすんだが...」とこめかみの周辺を指差して言う。
オレも全く同意見だったが、なんだかんだ言ってその場はそれっきりで終わった。
それから3週間が経ち、梅雨の五月に入った。
毎日雨が降っていると言っても過言ではないこの月のとある日。
オレが傘を差して校門から出て行こうとした時、目の前にレインコートを羽織った一人の少女が立ちはだかった。
「貴方が成瀬統軌......」少女がそう呟き、こちらの顔を覗いてくる。
オレの事を知っているのか?
「君は何も」何者なんだ、と聞こうとした瞬間、少女がレインコートから銀色に鈍く輝く刃物を取り出そうとするのが見え、咄嗟に飛び退く。
少女は取り出したサバイバルナイフでついさっきまでオレがいた空間を切り裂いていた。
本気でこの少女は俺を殺るつもりだ。
さっきの一閃に少しでも反応が遅れていたら確実に頸動脈を斬り付けられてやられていただろう。
少女はオレをサバイバルナイフでは殺せないと判断したのか、鞘に素早く戻して後ろに置いてあったアタッシュケースをこれまた素早く開き始める。
中から出てきたのは木製のグリップやハンドガードが目立つSVD狙撃銃だった。
AKの様に耐久性が高く、狙撃手に重宝されている名狙撃銃だ。
こちらに銃口を突き付けられた瞬間オレはクロスタイマーを握り、銃声とほぼ同時に強く念じる。
すると周囲の空気が固まり、降りしきる雨や帰っていく生徒、目の前の銃口から発射された弾頭も全てが止まる。
静止世界に入った証拠だ。
「いい加減にしろよ、お前は何者だ?」口調を少し荒げて問う。
少女は「貴方を殺しに来た......」とだけ呟き、再度銃口を向ける。
「クソッ。」
オレは吐き捨てる様にそう呟くと、腰に下げておいたムラマサを鞘から抜き放った。
始めましてやお久しぶりの方もどうもBlack Knightです。
受験が終わり、無事合格できたと思ったらいきなり課題が山盛り。
春休みだというのに休んだ気がしませんでした。
ということで久々に出した作品、楽しんでもらえればうれしい限りです。