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おかあさん

作者: ひ。

さきこちゃんは、とてもお金持ちの家に生まれました。さきこちゃんの家は庭付きの大きな大きな家で、欲しいものは何でも買ってもらえました。さきこちゃんは、とてもわがままに育ちました。それでも、さきこちゃんは近所の子供にお菓子をあげたり、転んで怪我している子供がいると、傷の手当をしてあげたりする、優しい心を持っていました。さきこちゃんは、お母さんが大好きでした。さきこちゃんのお母さんは、いつもさきこちゃんに本を読んであげました。さきこちゃんは、お母さんの朗読が好きでした。また、さきこちゃんのお母さんは、とてもさきこちゃんに優しかったのです。


めぐみちゃんは、とても貧乏な家に生まれました。めぐみちゃんは、小さな部屋が一部屋しかないアパートで、お母さんと二人で住んでいました。貧乏なので、欲しいものも買ってもらえないし、いいものを食べていないので、毎日お腹をすかせていました。お母さんは朝早くから夜遅くまで働きに出ているので、めぐみちゃんは、いつも部屋で一人ぼっちでした。それでもめぐみちゃんは、お母さんが大好きでした。お母さんは、仕事から帰ってくると、寂しい思いをさせてごめんねと言って、毎日めぐみちゃんを抱きしめました。めぐみちゃんはそのたびに、わたしは大丈夫よ言いました。


ある日のことです。さきこちゃんとめぐみちゃんの家に、病院から電話がありました。その病院は二人が生まれた産婦人科の病院でした。電話の内容は、二人を取り違えました、ごめんなさいということでした。さきこちゃんとめぐみちゃんの顔をよく見ると、確かにさきこちゃんはめぐみちゃんのお母さんに、めぐみちゃんはさきこちゃんのお母さんに似ているのです。さきこちゃんのお母さんとめぐみちゃんのお母さんは、どうしようかと相談しました。相談した結果、やっぱり本当の親と暮らすのが一番だということになったので、さきこちゃんはめぐみちゃんの家へ、めぐみちゃんはさきこちゃんの家へ、それぞれ行くことになりました。さきこちゃんもめぐみちゃんも、今までのお母さんと別れるのが寂しくて、えんえん泣きました。二人のお母さんは、それぞれ新しいお母さんも優しいわよと言って、さきこちゃんとめぐみちゃんを慰めました。


 さきこちゃんが新しい家にやってきました。さきこちゃんの本当のお母さんは、とってもさきこちゃんに優しくしました。でも、さきこちゃんは今までお金持ちの家で贅沢に暮らしてきたので、貧乏な暮らしがとても嫌でした。それでも一ヶ月くらい経てば、貧乏な暮らしにも慣れてきました。さきこちゃんの本当のお母さんは、これまでめぐみちゃんにしたように、仕事から帰ってくると、さきこちゃんを毎日抱きしめてやりました。さきこちゃんは、次第に本当のお母さんが好きになっていきました。


 めぐみちゃんが新しい家にやってきました。めぐみちゃんは今まで貧乏だったので、何不自由ないお金持ちの家での暮らしがとても気に入りました。お小遣いももらえるし、お母さんはいつも家にいてくれるので、寂しい思いをすることがなくなりました。また、新しいお母さんはめぐみちゃんにとても優しくしてくれるので、めぐみちゃんは本当のお母さんがとても好きになっていきました。


 さきこちゃんとめぐみちゃんが新しい暮らしにすっかり慣れたある日曜日のことです。さきこちゃんがお母さんと一緒に外へ出かけていると、公園でめぐみちゃんとめぐみちゃんのお母さんが一緒にブランコで遊んでいるのを見かけました。さきこちゃんは、今までの事を思い出して、前のお母さんがとても恋しくなりました。めぐみちゃんもさきこちゃんとそのお母さんに気が付いて、さきこちゃんと同じように今までの事を思いだして、前のお母さんが恋しくなりました。二人はほとんど同時に、おかあさんと叫びながら、前のお母さんのところへ走っていきました。


 めぐみちゃんとさきこちゃんのお母さんは、また話し合いを持ちました。二人のお母さんも、赤ちゃんの頃から育てた子供の方がかわいいということを、お互いが言いました。それで、さきこちゃんとめぐみちゃんは、元のお母さんのところへ戻っていきました。めぐみちゃんとさきこちゃんは、涙を流して喜びました。


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