オタク君とメイドさん
〜自己紹介〜
メイド喫茶の常連客たち。
流羽(23)
珊六(23)
真斗(23)
李仁(23)
メイドたち。
サクラ(25)
栗色の髪を一つに束ね、右肩から垂らしている。
ガーベラ(24)
ポニーテール。
ひまわり(20)
金髪ツインテール。
ある日、いつものようにお客として来ていた四人は席に座っていた。
中学のロボット研究部のメンバーだった四人だ。
珊六「いやー、相変わらずひまわりちゃんは可愛いですなぁ。」
珊六はそう言うとメガネをくいっとあげた。
ひまわり「ありがと!!」
真斗「ガーベラさんの麗しさもまた格別ですぞ!」
ガーベラ「ふふ、ありがとうございます。」
そこへサクラが李仁と流羽の飲み物を運んできた。」
李仁「サクラさん、ありがとうございます。」
流羽「はわわ、サクラさん。相変わらずお美しい!!!」
流羽は目が隠れるほど伸び切った前髪を揺らしながら感激の嵐をサクラに向けた。
まん丸な頭からついたあだ名はマリモだ。
サクラ「マリモさん、ありがとうございます。」
流羽「推しが!あだ名で呼んでくれたよ李仁!!」
李仁「はいはい、良かったな。」
サクラは周りの人たちに気付かれないように流羽にアドレス書いた紙を握らせた。
膝の上で紙を開いた瞬間、一瞬動揺するもサッとポケットに隠した。
李仁「どした?」
流羽「な、なんでもないよ。」
後日、公園のベンチで。
流羽の隣に座っていたサクラが膝をくっつけてきた。
ななな、何が起こってるんだ!?
確か、サクラさんに紙を渡されて、そこにはアドレスが書かれていて、メールをしたら話が終わらなくって、
そしたら会う約束をして!?
え、なに、ツボ買わされるの!?
「あ、あの!」
流羽が咄嗟に体を離す。
「ごめんなさい、私をいつも指名してくれているから流羽さん喜んでくれるかと思って。
そんなに嫌だった?」
ブンブンと首を左右に振る。
「あ、あなたのような綺麗な女性に近付かれて嫌なはずありません。
でも、こんなことしなくてもこれからもお店通いますから!」
その瞬間、サクラの目から涙がポタポタと落ちた。
「私、そんなつもりじゃ・・・。」
「あ・・・。」
ベンチから立ち上がると、タッタッタと彼女は去っていってしまった。
ひえぇ!どどど、どうしよう?どうしたら!?好きな子を泣かせてしまった!!
でも、どこに泣く要素があったんだろう??
後日。李仁のアパートに四人で集まった。
最初は何で黙ってただの、お前だけずるいだの、色々と言われたが、
怒られたのは他の理由だった。
珊六「ばかタレ!」
珊六が流羽の頭を軽くコツンとする。
流羽「いたっ!」
珊六「据え膳食わぬは男の恥って言うだろ!」
流羽「だって・・・お金の為とはいえ嫌なのに無理やり相手させるなんてできないよ。」
珊六「向こうから来てんだからそんなこと気にすんなよ!俺らただでさえ童貞なんだぞ!」
真斗「自分だっていざその場になったら泣いて帰ってきたくせに。」
珊六「うるさーい!二次元しか勝たんのじゃ!」
真斗「けど、いい判断じゃない?
ツボ買わされるとか、詐欺とか合わされてたかもしれないし。」
李仁「というか、普通に考えて彼女はお前のこと好きなのでは?」
この中で唯一、恋愛経験のある李仁の言葉に皆んなが目をかっぴらく。
「「「なにー!!?」」」
次の日。
俺はサクラさんを公園に呼び出すと全力で頭を下げた。
すると、ぎゅっと両手を握られ・・・。
「もう逃しませんよ。」
「願ったり叶ったりです!」
僕が叫ぶと、
サクラさんそれはそれは美しい笑顔を向けてくれたのでした。
お昼。カフェテラス。
「私たち付き合って三ヵ月ですし、そろそろキスしてもいいですか?」
「付き合う?誰と誰がですか?」
「私と!マリモさんがですよ!」
三ヵ月間、電話をしたり食事をしたり、
付き合ってると思っていた。
「え?僕とサクラさんって付き合ってたんですかー!?す、すみません。知らなかったです!!」
「いえ、いいんです。好きとか付き合うとか言わなかった私が悪いんですから。」
「好きなんですか?」
「好きですよ。」
「でも、あの、サクラさんはどうして僕なんかを好きになってくれたんですか?」
「二年前、助けてくれたじゃないですか。
私がストーカーに絡まれた時。」
二年前。
「離して下さい!」
ストーカーに腕を掴まれ、助けを呼ぼうとした時だった。
「いいじゃないか、サクラちゃん。俺と付き合おうよ。」
友人達と分かれ、帰ろうとしていた流羽はたまたま近くを通りがかった。
「ややや辞めろー!!!」
「マリモさん!!」
「な、なんだお前!」
「嫌がってるじゃないですか。腕離してあげて下さい!」
「お前には関係ないだろ!」
「関係あります!彼女は僕の大事な人だ!!」
「マリモさん・・・。」
それから近くにいた警察がストーカーを取り押さえ、
二人は一緒に駅まで帰ることになった。
「うっ、ひっく・・・。」
「あのー、大丈夫ですか?」
泣きじゃくる流羽にサクラが心配そうに声を掛ける。
「怖かった・・・うう・・・でも、あなたが無事で良かった・・・。」
「マリモさん・・・ありがとうございます、助けに来てくれて。」
あんなダサい助け方、忘れて欲しかった。
でも、彼女はそれをずっと覚えていただけでなく好きでいてくれたんだ。
駅の改札口。
「本当にありがとうございました。」
「いえいえ!僕の方こそ、ハンカチ貸していただいて・・・申し訳ないです。」
「よければもらって下さい。」
「え!?そんな、サクラさんのハンカチを頂くだなんて・・・。」
「モフモフしてて可愛いですよね。ライトグリーンで、珍しく真四角じゃなく角が丸くて。」
「なんか藻みたいですね。あ!すみません!サクラさんの持ち物に失礼なことを!」
「そんなことないです。じゃあ、私行きますね。」
「あ、はい。またお店で。」
「それ、私のセリフです!」
サクラはクスッと笑うと改札口を抜けていった。
サクラはマンションに帰ると、玄関に置いてある水槽を見つめた。
そこには二つのマリモが砂の上にちょこんと乗っている。
「ただいま。」




