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自由に生きようと転生したら、史上4人目の賢者様でした!?〜女神様、今の時代に魔法はチートだったようです〜【web版】  作者: 酒本アズサ


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第45話 野犬の正体

「『正常化(ノーマリゼーション)』ご、ごめんね…」



「お、治った」



「凄い光だったね」



「雷が落ちたかと思ったわ」



「次は気ぃつけろよ」



「はぁい…、『灯り(ライト)』」



 街灯に使われている程度の灯りをいくつか周辺に浮かべる、考えてみたら最初からこっちの光でも確認は出来たな…今更だけど。

 周囲が灯りに照らされると額に赤黒い石が埋め込まれたグレートデンみたいな犬達の姿が見えた。

 涎をダラダラ垂らしながらまだ目が眩んでいるのかフラつきつつ障壁に体当たりしている、そんな程度じゃ壊れたりしないけどね。



「なんだアイツら…」



「額に魔石…、昔話の魔法生物みたいだね」



「何でこの時代にそんなものが…」



「アイル、馬とヘラルドだけ守ってくれ。俺達であの犬達を殲滅する」



「わかった、ここにいる6匹以外に犬は居ないわ。障壁解除するよ、3、2、1…0!」



 私のカウントダウンに合わせて皆が武器を構える、カウントがゼロになった瞬間ビビアナの放った矢が1匹の口内に吸い込まれる様に後頭部まで貫いた。

 すぐさま次の矢をつがえてもう1匹の片目を射抜く、一瞬怯んだが再びビビアナに向かって走り出し、今度は頭に矢が刺さってパタリと倒れた。



 真っ先に犬に接触したリカルドは向かって来た犬の首を横薙ぎに斬り飛ばし、返す刃でもう1匹の頭を縦に割る。

 リカルドの剣を避ける様にエリアスに向かった犬は槍の穂先を掻い潜って噛みつこうとした瞬間石突きで横面を殴られた。



「ギャインッ」



 地面に転がって体勢を立て直す瞬間2匹を斬り伏せたリカルドがトドメを刺す。

 ホセは跳び上がって喉元に食らいつこうとして来た犬の頭を掴むとそのまま足元にあった岩に叩き付けた。

 グシャッと嫌な音がして辺りに血だけじゃなく飛び散り、ホセは顔を顰める。



「チッ、胸クソ(わり)ぃな」



「ああ、魔法生物だとしたら操っている奴がいるって事だ。月の無い夜に襲っていたのは額の魔石を見られない為だろうな」



「アイル、気持ち悪いかもしれないけどこの犬達を収納して貰えるかな? ギルドに報告しないといけないし」



「うん…、わかった。3人共血で汚れたでしょ、綺麗にするから来て」



「アイルが居てよかったわね、じゃなきゃこの寒い中あの川に入るはめになったわよ?」



 ビビアナが返り血を浴びた3人に馬が水を飲んでいた川を親指で指差した。



「確かに…、まだ冬ではないとはいえ夜に川に入るのは辛いな」



 川の水なんて夏でも冷たいのに秋の、しかも夜に入るのはさぞかし厳しいだろう。

 武器も含めて3人に洗浄魔法を掛けて綺麗にしてから犬達をストレージに入れていく。

 うう、黒い悪魔よりは断然マシだけどグロい物体をストレージに入れるのは抵抗がある。



「しっかし、ヘラルドはこれだけ騒いでてもよく起きねぇな。防音の魔導具でも持ってんのか?」



「僕達が居るとはいえ野営で防音なんて危ないから使わないでしょ。今まで夜に起きて来た事1度も無いから普通に寝てるんじゃない?」



 確かにあの光や犬の声、それに戦闘音で起きないのは凄いかも。

 私達を信頼して安眠してくれてると考えればちょっと嬉しくはあるんだけどね。



「もしかしたら犬達を操っている奴が近くに居るかもしれない、犬達がさっきのだけとは限らないから朝までは警戒を怠らない様にしよう。エリアス、交代の時間だから代わろう、休んでくれ」



「わかった、じゃあよろしく」



 リカルドがズボンのポケットから懐中時計を出して時間を確認するとエリアスと見張りを交代して焚き火の近くに腰を下ろした。

 川の近くの木に繋いである馬達は少々興奮しているものの、問題は無さそうという事でそのまま放置という事に。



 テントに入る前に探索魔法を使ったけど、半径500m以内には特に気を付けるような生き物は居なかったのでビビアナと一緒に朝方まで眠った。

 ふと誰かがテントに入って来る気配で目が覚めた、暗いけど薄らぼんやり見えるシルエットでホセだとわかる。



「お、目が覚めたか? 交代の時間だけど眠いなら寝ててもいいぜ、オレが朝まで見張っといてやるからよ」



 ビビアナを起こさない様に気をつけているのだろう、潜められた優しい声に思わず頷きそうになるが朝になったらまたホセに手綱を任せて座っているだけだからそこまで甘えるのは申し訳ない。



「ううん、交代するよ。もし移動中に眠くなったら寄り掛からせてもらうからよろしくね」



「ああ、寝ちまっても落ちない様に捕まえといてやるから安心しろ」



 目を擦りながら身体を起こして言うと、ホセから頼もしい言葉が返ってきた。

 テントから出ると入れ替わる様に私が寝ていた場所にホセが寝転がる。



 テントの中は暖かかったけど、冷たい夜風に触れて急いでストレージからローブを取り出して羽織った。

 真っ暗な中にポツンと焚き火の炎が揺れている、その横に置かれた枝を時々放り込みつつ探索魔法を使うがこちらに向かって来る魔物は居ない様だ。



 焚き火用の枝が残り少なくなった頃に夜空の一部が明るくなってきてストレージに入らなかった昨夜の血痕が視界に入る。

 放置したら他の人が野営する時に魔物が寄って来たりするかなぁ。

 最後の枝を焚き火に放り込んで立ち上がると血痕が飛び散っている中心に立った。



「『範囲清浄(エリアクリーン)』」



 なんとなく洗浄だけでは残滓が全て消えない気がしてお清め要素を足してみた。

 どす黒く変色した血痕が薄くなったと思ったら消えて無くなり、朝日に照らされた地面は何事も無かった様に元通りになった。



「そろそろ朝食の準備でもしようかな」



 昨日夕食を食べた場所にシートを広げようと振り返ると、そこにはヘラルドが立っていた。



「おはようアイルちゃん」



「お、はよう…」



 見られた!? タイミング的に清浄魔法を使ったところを見られたと思う、昨日と変わらないヘラルドの笑顔は商人としてのポーカーフェイスなのだろうか。

 ヘラルドの真意が読めなくて私はゴクリと唾を飲み込んだ。

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