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自由に生きようと転生したら、史上4人目の賢者様でした!?〜女神様、今の時代に魔法はチートだったようです〜【web版】  作者: 酒本アズサ


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第392話 誘惑と抑制

 んん…? 頬がカピカピになってる?

 隣を見るとおじいちゃんがスヤスヤと眠っている、昨夜モフった記憶が無いという事は飲み過ぎたらしい。

 とりあえず何故かカピカピの頬を綺麗にすべく洗浄魔法を掛けた。



 改めておじいちゃんを起こさない様に優しく撫でていたが、段々逆毛を立ててみたり、もうすぐお別れの冬毛に顔を埋めてみたりと大胆な触り方になっていく。



「この冬毛ともお別れの季節になるのかぁ」



 抱き枕の様におじいちゃんにしがみつきながら撫でていたら、パサパサと脚に振られた尻尾が当たっている事に気付いた。



「あ、おじいちゃん起きたんだね、おはよう。もうちょっとだけモフっていい?」



 僅かに頷いたので私が寝転んでおじいちゃんを上に抱き上げ、下からワシワシと顔の周りを撫で回したり抱き締めたりと冬毛を堪能する。

 その時普段はそんな事しないのに、顔を擦り付けたり腕や兎パジャマを甘噛みをしてきた。



 角兎(ホーンラビット)の毛皮のせいで狼の本能が刺激されてるとかじゃないよね!?

 そのまま本気でガブーッと噛まれたりしたら絶対流血沙汰になる。



「お、おじいちゃん? どうしたの? いつもと違うけど…」



 おじいちゃんの顔を両手で挟んで目を覗き込むと、楽しんでやっているのがハッキリとわかった。



「なぁんだ、ちょっと巫山戯(ふざけ)たくなったんだね。毛皮だから同族みたいで楽しくなっちゃったの? そろそろ着替えて朝食の準備するね、そこのテーブルも片付けなきゃ」



 最後に撫でるとおじいちゃんはのそりと起き上がり、私の上から退くとベッドから飛び降りる。

 私もベッドから降りてテーブルの上の物を全てストレージに収納した、その間におじいちゃんは昨夜脱いだ服を咥えるとドアの前で待機。



 私の着替えを見ない様にと、自分の裸を見せない心遣いだ。

 私の部屋の隣にある客室をおじいちゃんが使っているので、自分の部屋のドアを開けてからおじいちゃんのドアを開閉する、これでおじいちゃんは自室で着替えを済ませるだろう。



 私も着替える為に部屋に戻ろうとしたらホセと目が合った。

 私は兎パジャマのままで固まる、どうしてホセがここにいるのか、と。

 そんな私の心の声が聞こえたのか、ホセは苦笑いを浮かべて口を開いた。



「1階(下)に行ったら誰も居なかったからよ、まだ寝てんのか確認しに来たんだ。まぁ…その…似合うと思うぜ? じいさんがそれだけマーキングしちまうくらいにな、ククッ」



 そういえばおじいちゃんが起きてからの分は洗浄魔法掛けてなかったっけ。

 それより兎パジャマ姿を見られた!

 せめてエリアスに見られる前に着替えなきゃ!!



「すぐに着替えて朝ごはん準備す「へぇぇ~、それがエドガルドの言ってた僕達の前で着ちゃいけない夜着かぁ。あはは、可愛いねぇ」



 部屋に入ろうとした瞬間、楽しそうな声が聞こえた、もちろん声の主はエリアスである。

 錆びたブリキ人形の様にギギギと音がしそうな動きで振り向くと、満面の笑みを浮かべるエリアスがホセの後ろに立っていた。



 この顔は次にエドに会ったら言う!

 その場合約束を破ったからと何かしら条件突き付けられる予感しかしない。

 見せるつもりは無いって言っただけで約束した訳じゃないから何か言って来ても無視しちゃえば良いだけなんだけど。



「…………。見なかった事にして」



 私は無言で部屋に入り、ドアを閉める時に数センチだけ隙間を残してそう言い残すとパタンとドアを閉めた。

 ドアの向こうで何やら言っている様だが気にせず着替え、2人が居なくなったのを見計らって台所へと向かう。



 2人が食堂に居ても廊下から直接台所には入れるので油揚げの味噌汁とご飯と出汁巻き玉子、あとは煮物の他にほうれん草とハムのマヨ和(あ)えで良いかな。

 本当はほうれん草のおひたしにした方がヘルシーだが、皆あまり好きではないのか文句は言わないものの、悲しそうな顔をするので作らなくなった。



 朝食を作り終わったので昨夜のおツマミの残りやらグラスを出して綺麗にしてから食堂へ食事を運んだ。

 そして皆揃って食事をしていたら、おじいちゃんが真顔で兎パジャマを見られた事を忘れるくらいの爆弾発言をした。



「ホセ、お前番(つが)いたいと思う相手はこれまでにも居なかったのか?」



「ぶぅッ! ゲホゲホッ、ゴホッゴホッ!」



「お、おじいちゃん? 何をいきなり言い出すの?」



 咽せるホセの代わりに聞く。



「いやぁ、あの兎の夜着のアイルを可愛がっていたら…。孫は全員大きくなってしまったから次に可愛がれるのはひ孫だろう? こう…、思い切り甘やかしたくなってな。アイルもその内恋人や伴侶が出来たら今の様に構ったりできんだろう」



 どうやらおじいちゃんは兎パジャマのせいで父性愛を越えて祖父愛が燃え上がってしまった様だ。

 エド…、なんて罪なモノを作り出してしまったの。



 だけどホセの子供か…、獣人は母親の特性を受け継ぐって言ってたから狼獣人のだったらホセに似た同じ狼獣人が産まれるという事だよね。

 でもこの辺りで狼獣人ってホセしか見た事無いもんなぁ、事情が複雑だからビルデオまで行って嫁候補探すってのも難しいよね。



「もしホセの子供が産まれたりしたらアイルが離さなくておじいさんが可愛がる隙無いんじゃない? もういっそ自分で産めば良いのに、あはは」



「それは良い、母親が人族だったら人族か父親の特性を受け継いだ子供が産まれるからな」



「ッ!? いや、でもそんな理由で…」



 エリアスとおじいちゃんが好き勝手言ってるけど、確かに我が子なら好きなだけキスもハグも出来るし…だけど相手がホセっていうのは…。



「アイルが獣人の子供産んだら初恋が遅くなる様に異性と会わせず軟禁して育てたりして…」



 エンリケのひと言で食堂がシンと静かになった、そんな事しないからね!?

 気まずい空気が流れる中、誰も先程の話題に再び触れようとする者は居なかった。


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