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自由に生きようと転生したら、史上4人目の賢者様でした!?〜女神様、今の時代に魔法はチートだったようです〜【web版】  作者: 酒本アズサ


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第279話 1つ目の島

 結果的にイカバター醤油は食堂には無かったらしい、宿屋の時に気付いていたけど醤油を町の商店が取り扱って無かったから。

 だけど塩胡椒のバター焼きは特許期限が切れているくらい前からあるらしくて食堂でも提供されていたそうだ。



 もしかしたら商業ギルドを通して情報を得たら、エドの同僚だったクレメンテの『自由(リブレ)商隊』辺りが醤油を売りに来るかもしれない。

 自由に旅をしながら商売してるって言ってたもんね、その内世界のどこへ行っても醤油を手に入れられる様になると良いなぁ。



「おい、また食い物の事でも考えてんのか? 締まりの無い顔してるぞ? もうすぐ島に到着するけど、忘れ物はねぇな?」



「うん、あ~…、また陸酔いに苛(さいな)まれるのかぁ」



「まぁまぁ、島では1泊だけなんだし」



 エリアスに宥められるが、気が重い。

 陸酔いには正常化が付与されたネックレスが効かないしなぁ、グルグル回って目が回るのは「リンパ液が回転している」や「目の痙攣」という状態異常という事で無効化してくれるけど、陸酔いは状態異常と判断されない様だ。



 最初に到着した島は馬車で回れば1日で1周出来る程度の大きさで、それなりの農地や森があるので食料は普通に自給自足だ。

 動物も人が住み始めた時に船で運んで森に放したので、天敵もいないこともあり豊富に獲れるらしい。



 島に到着して乗客が下船すると、乗客が島の宿屋に居る間に一気に客室の掃除がされる。

 そして島民からすると船が来る日は乗客からの現金収入の機会と外からの調味料や物が入って来る嬉しい日なのだ。



 態度が悪い客が居ると大変だが、中にはひと目で恋に落ちて妻にすると連れ出す人も居れば、逆に住み着いた人も居るらしい。

 そして島から出たい年頃の女の子達は、連れ出してくれる運命の人と出会うのを夢見ているとか。



 となると当然こうなるよね~。



「すごぉい、素敵~!」



「腕の筋肉触っていい?」



「冒険者ってカッコイイよね~、憧れちゃう」



 昼に到着したのだが、乗客は船を降りてすぐ昼食が準備された広場で食事を摂る事になった。

 そして給仕は島民の有志という事だが、ここはキャバクラか!?

 給仕していた人達は、私達が食事を始めたら好みの異性の元へ行って話しかけているのである。



 聖騎士やカリスト大司教は聖職者という事で誰も隣に座ってないが。

 ベンチシートなのに置いてある食事の間隔が妙に空いているからおかしいなぁとは思ったんだよね、こうやって隣に座って口説き落とす為だったのか。



 ちなみにビビアナの両脇にも男性が座って飲み物を差し出したりしている。

 私? 私の両脇にも居るよ、13歳くらいの子供がね!!

 ムッツリとしている私を旅の同行者はニヤニヤしてたり苦笑いしながらこっちを見ているが、何気にこの子達は私の胸をチラチラ見て来るので嫁候補を求めているいっぱしの男なのだ。



 残念ながら私は子供好きではあるが、エドみたいな意味で好きでは無いので食事の邪魔をしないで頂きたい。

 しかし彼らは結構攻めの姿勢で口説きにかかって来る。



「名前は何て言うの?」



「もぐもぐ…ごくん。アイルだよ」



「あはは、それ偽名? 4人目の賢者様と同じ名前だろ? 確かに黒髪黒目だけどさぁ、でもきっと賢者様より君の方が可愛いと思うな」



「凄くサラサラして綺麗な髪だね、こんな綺麗な髪は初めて見たよ、ずっと触っていたいくらい」



「もしゃもしゃ、ポリポリ、もぐもぐ、ごくん」



 左右から口説かれてはいるが、私の口は忙しいのだ。

 視線を感じて顔を上げると、カリスト大司教達が恐い笑顔でこちらを…正確には私の両隣の少年達をみていた。

 そしてなにやらカリスト大司教がエクトルに耳打ちすると、エクトルは立ち上がりこちらへ来た。



「少年達、その方は紛れもなく本物の4人目の賢者様だ。失礼な真似をするのは聖騎士であるこの私が許さん」



「「ヒィッ! ごめんなさい!!」」



 殺気を込めた威圧を受け、少年2人は脱兎の如く逃げ出した。

 鍛え上げられた腹筋を持つエクトルの声はとても通る、故に辺りはシンと静まり返り、視線が私に集中した。



「エクトル、ありがとう。ンンッ、賢者でもただの冒険者なので気にしないで食事をつづけてね」



 ゆっくり食事が出来る様になったのでエクトルにお礼を言い、咳払いして誤魔化しつつ、他の人達に食事を続けてもらう。

 船の乗客は港町で既に賢者の噂を聞いていた上、船でもストレージから物を出している私を見ているのですぐに食事を再開した。



 座っている場所で賢者の仲間だとバレたパーティメンバー達は、さっきよりも激しく入れ替わり立ち替わり口説きに来る人達が増えて大変そうである。

 私のところはエクトルが忠告してくれた上にカリスト大司教達が睨みをきかせてくれているので誰も来ずにゆっくり食事が出来た。



 申し訳ないと思うか? いやいや、子供に言い寄られている私を助けようともせず、明らかに面白がって観察していた仲間達なので仕返しという訳ではないけれど、傍観した私は悪くないと思う。

 勝ち誇った様にゆっくり食事をする私を睨むホセも恐くないもんね。

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