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自由に生きようと転生したら、史上4人目の賢者様でした!?〜女神様、今の時代に魔法はチートだったようです〜【web版】  作者: 酒本アズサ


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第127話 解散

 朝、ビビアナと2人部屋で目を覚ますと外から気合の入った声が聞こえて来た。

 窓から外を見ると騎士達が訓練している様だ、どうやらウチの男性陣も混ざっている。



 獣人差別があると言っていたのに一緒に訓練しているところを見ると、騎士達は実力主義なのかもしれない。

 Aランク冒険者と手合わせなんてそうそう出来ないだろうし。



「ふわぁ…、静かになったわね、どうやら訓練も終わったみたいだし、着替えて食堂に行きましょ」



「そうだね、顔洗おうか『洗浄(ウォッシュ)』」



 いつもの事なのでビビアナも反射的に目を閉じて息を止めた状態で口を開ける。

 一瞬でサッパリしたので各々着替えてすぐに出られる準備をした。



「これでもう部屋に戻らなくても大丈夫だね、リカルド達がまだなら注文だけしておいて先に食べちゃおっか」



「ふふ、そうね。リカルドの実家は公爵領とは方向が違うって言ってたし、食べた後にフェリス達に挨拶もしたいんでしょ?」



「うん、別れの挨拶も無しに行くのはちょっと寂しいかな」



「ずっと馬車で一緒だったものね、それじゃあ早く食事を済ませましょ」



 人も疎らな食堂で男性陣3人分も合わせて注文し、テーブルの上に所狭しと料理が並べられた頃に首にタオルを掛けた3人がやってきた。

 まだ朝は冷えるというのに井戸水を被って来たのか髪が濡れている上、体温で水が蒸発しているのか騎士達も水蒸気らしきものをモワモワと身体から放っている。



「おっ、オレ達の分も注文しといてくれたのか、ありがとよ」



「そうよ~、感謝しなさい、あんた達」



「あはは、ありがとう」



「ああ、鍛錬で腹が減ったから助かる」



 結構ボリューミーな朝食を平げた頃には男性陣の髪もほぼ乾いていた、筋肉で体温が高いから早く乾くのだろうか。

 食事を済ませた私達はロレンソに別れの挨拶し、依頼完了のサインを貰ってクロード達にも挨拶をしに行こうとしたら微妙な顔をされた。



 ボカしていたがどうやら家の意向で獣人が一緒に行動している様な冒険者に影響されては困ると公爵家からの迎えの者達が接触をさせまいとしているらしい。

 だから昨日も部屋で夕食を食べる事になったのか。



「会えなくても部屋の外から声を掛ける事はできるでしょ」



 クロード達が居る部屋は最高級の家族部屋で使用人用の部屋もついているタイプなので2人共同じ部屋に居るはずだ。

 リカルドが部屋をノックすると、昨日見た侍女が出て来た。



「今から宿をでるので最後に挨拶をしに来た」



 侍女はチラリとホセに視線を向けるとあからさまに顔を顰めた。

 ムカッときて文句を言おうとしたらホセに肩を掴まれ、ポンポンと優しく頭を叩いて宥められてしまった。



「挨拶は結構です、報酬は受け取ったのでしょう? このままお立ちください」



「……奥が騒がしい様だが?」



「あなた方には関係ありません」



 ツンと愛想も何も無い態度でそう言い放つ侍女。

 絶対クロードやフェリスの意見じゃないでしょ!?

 リーダーはリカルドなので話を任せる為に黙ってはいるけど、拳を握ってイラついているとホセが耳元に口を寄せてきた。



「奥の部屋でクラウディオとフェリシアがオレ達に会うとゴネてる声が聞こえてるぜ、どうやら侍女達にこっちに来るのを阻まれてる様だ」



 奥から話し声の様なものが聞こえるのはフェリスが騒いでいるせいだろう。

 私は一歩下がってコッソリ魔法を使った。



「『風道(ウィンドパス)』」



 息を吸い込みながらドアに近づき、部屋の中に向かって話す。



「クロード、フェリス、賢者の叡智があなた達の希望(エスペランサ)になる事を祈ってるわ! 元気でね!」



「なっ、無礼な!」



 防音仕様の部屋でも空気は通っている、なので大きめの声を風に乗せてしまえば2人の元に私の言葉はちゃんと届いただろう。

 2人を愛称で呼んだ事に対し侍女は憤慨している様だが知った事では無い。



「リカルド、もう行こう。2人には会えないみたいだし、こんなパルテナの伯爵家の使用人より教育のなっていない人を相手にするのは時間の無駄だよ。公爵家の使用人でこの程度だなんて、タリファスは碌な人材が居ないのかな?」



「な…っ、なん…っ」



 ただでさえホセへの態度でもムカついていたのに、2人にも会わせて貰えなかったので大人気ないとは思いつつも思いっきり嫌味を言って良い(黒い)笑顔をしてやった。

 侍女が言葉を失い口をパクパクさせてる間にリカルドの腕を引っ張ってその場を離れた。



「くっ、くくくっ、アイルって結構言うよね」



 階段を降りながらエリアスが笑い出した、さっきは侍女の手前我慢していた様だ。

 ちなみに碌な人材云々というところまで奥の部屋に聞こえる様にしていたので、奥の部屋に居た侍女達もキーキー言ってるかもしれない、ざまぁみろ。



「だってムカついたもん。もし父親の公爵の命令だったとしても、フェリス達の事を想っていたらちょっとくらい会わせるでしょ? あんなのフェリス達の事を蔑ろにしてるって証拠だよ」



 プリプリ怒りながら宿の出入口に向かうとロレンソが居た。



「その様子じゃ会えなかったみたいだな。すまない、ただの護衛騎士じゃ口添えする権限すら無いんだ」



「ふふん、逃した魚が如何に大きかったかその内知る事になるかもね! その時になって公爵が頭を下げたとしても遅いんだから。『信用は満月の様…一度壊れれば日に日に欠けていく』…って、賢者アドルフが言わなかった?」



 確か覆水盆に返らずのドイツ版だったと思う、違う国だったら間抜けかも…ドイツだったよね?

 表現は格好良いけど、満月は信用と違って勝手にまた満月に戻るのになぁ、と思ったんだよね。



「俺はあまり学が無いから知らないが、公爵様なら知ってるかもな。俺もあんたらとの繋がりは持ってた方が良いと思ってるぜ」



「だったらギルド経由でフェリスの婚約がどうなったか報せてほしいな。公爵家は家臣の個人的な付き合いまで口を出したりしないでしょ?」



「ははっ、そうだな。了解、リカルド宛に報せよう、女の名前宛だと妻に勘繰られるからな。今までありがとう、道中気を付けて」



「ああ、そちらも」



 ロレンソとリカルドが握手を交わして私達は宿を出た。


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