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十八 中国の夢・日本の夢

 二〇二五年六月下旬の、ヤケに蒸し暑い梅雨の日の午後、埼玉県所沢市の私鉄沿線の駅前の雑踏を土田がゆっくりと歩いている。一昨年に七〇歳を迎えたのを機に、一〇年以上勤めた機械メーカーを退職した土田が、今日は、昔良く中国に同行した鉄鋼商社の元部長の広岡宗介に会う事にしたのだ。

 名古屋出身の広岡だったが、退職後も名古屋には帰らず、

「いや、ゴルフ場が近いから、埼玉がいいんですよ」

と言って、埼玉に小さな一戸建ての建売住宅を購入したのだそうだ。

(もう二〇年以上も会ってないからなあ。わかるかなあ)

と、土田が少し不安を抱きながら待ち合わせ場所に向かっていくと、

「やあ、土田さん、久しぶりですなあ」

と、相変わらず声の大きな広岡が、歳の割には意外に毛量の多い、トレードマークのクシャクシャ頭を風になびかせながらやって来た。

「いや、温暖化の影響ですかね。雨でもないのにこんなに蒸し暑いんじゃ、年寄りには堪りませんな。とりあえずどっか入りましょう」

と言うので、二人で駅ナカのスターバックスに入った。

「じゃ、再開を祝して、アイスコーヒーで乾杯しますか?」

「そうですね。じゃ、お久しぶりです。乾杯!」

と、二人の暇な老人が、暇な会話を始めた。

「広岡さんは、今何してるんですか?」

「いや、僕はまあ、ゴルフしたりね…」

「あゝ、そうか。広岡さん、退職金も沢山出たんでしょ?」

「いや、そんな事ないですよ。それ全部ウチのローンの返済に使っちゃったし…だけどもう歳だし、おカネをもらう仕事はしてないですよ。ボランティアでね、東京マラソンの手伝いとかね、そういうのは時々やってます」

「奥様は?」

「あゝウチの家内は所沢のスーパーでパートタイマーやってますよ」

「そりゃ良いですね。やっぱり少しでも、働いておカネもらえるのは良いですよ」

「土田さんはどうなの?」

「いや、僕の方は、あの、会社潰したり色々ありましたから、まだ働かないといけないんですよ。年金だけじゃとても足りないし…」

「去年で前の会社辞めてから、何してたんですか?」

「最初シルバー人材センターに登録して、スーパーの自転車置き場の整理とかやったんですけど、最近の自転車って電動が多いから、すごく重くて腰痛めて辞めました。その後、近くの神社で酉の市のゴミ出し係とか、法律文書の翻訳とか、いくつかやりましたけど、とにかく仕事もらえても年取ると時給はメチャクチャ下がりますね」

「そりゃしょうがないでしょう。仕事もらえるだけありがたいじゃないですか。それで今は何を?」

「去年の年末頃からは羽田空港の旅行社でインバウンドの外国人の接客のアルバイトしてます」

「それは土田さんにピッタリの仕事だね」

「でも、国内の日本人の団体旅行のお世話もあって、それ、私みたいな老人がやると『老老介護』みたいになって、如何なモノかと…」

「まあ、良いじゃない。今の高齢者はお元気でしょう」

「そうそう。六〇過ぎると個人差がスゴくありますけど、八〇歳を過ぎてもデヴィ夫人みたいにスゴく元気でカッコいいおばあちゃんもいるんですよ」

「なるほどね。しかし土田さん、我々だって普通の老人と比べたら結構若々しい方なんじゃないの?何か、四〇年前とあんまり変わらないよね」

「いやいや、それはね、二人の間ではそうかも知れないけど、若い人から見たらもう立派なジジイですよ。もう電車に乗ったら、結構すぐ中学生なんかに席譲られちゃうんだから…」

「そりゃそうだ。そういう時は意地張らないで素直に『ありがとう』って言って座った方が良いよ」

「そうですね」

と、暫く互いの近況を話した後、次第に昔話に移った。

    ***

「もう、土田さんと中国行き始めてから四〇年近く経つんですなあ」

「そうですね。確かに中国はものすごい国になったけど、どうなんですかねえ」

「僕らが仕事でお会いした中国の人たちは、今でも幸せに暮らしているんだろうか?」

「さあ、他の国だと、例えばマルタ島にしてもイタリーにしても、昔の取引先と連絡取るの、割と簡単ですけど…」

「中国は何故かそうは行かないよね」

「そうなんですよ。何か情報が自由に取れないっていうか…あの、それで、ちょっと中国の体制の事考えてて思い出したんですけど、昔ね、私が社会人になった一九七五年頃ですけど、毎日の『エコノミスト』っていう雑誌にですね、当時通産省の審議官だった、天谷直弘さんっていうすごく頭の良い方が、確か『資本主義と社会主義』っていうようなタイトルの記事を書かれたんですよ。それによると、確かこんな話でした。社会主義は基本的に自分だけのために働く事を許さない。常にみんなのため、つまり他人のために働く『利他主義』しか認めない。だから個人でカネ儲けようっていう動機が殺されてしまう。一方資本主義の方は『利己主義』が基本で皆自分のためにカネを儲けようとするけど、本人の意思で他人のための『利他主義』で行動する事も出来る。だから、『利己主義』と『利他主義』の両方の動機を殺さない資本主義の方に力があって、最終的には資本主義が勝つ、みたいな事が、書いてあったと思います。私の記憶では…」

「ふうん、何か、それ、僕も読んだ気がする」

「昔の官僚の偉い人の頭の中はすごかったですよね。今の人たちはどうなんですかね?」

「ま、それはともかく、毎日の『エコノミスト』って言う雑誌は、保守というより当時からどっちかっていうとリベラルだったと思うけど、天谷さんとか色んな立場の人の意見を載せてたよね」

「そうですね」

「何か、昔の人たちの方が、保守もリベラルも、日本や世界の先の事を、今よりもっとずーっと真剣に考えてたような気がするね」

「そうかもしれませんね。あゝ、それで、さっきの資本主義と社会主義の話ですけど、こういう話もあるんですよ。私が、アメリカでちょっと知り合った、当時のソビエト連邦からアメリカに亡命してきたアレックス(元々の名前は確かアレクセイとか)とマリアナっていうご夫婦がいたんですが、ご主人のアレックスが言うにはね、社会主義が好きな人にとって、社会主義は居心地の良いトコロだ。何故って、ソビエトの公社では、朝出勤さえすれば、昼からは仕事さぼって黒海の海岸で海水浴してても、給料はちゃんともらえるのだから…だけど、人より沢山稼いで豊かな暮らしをしたい、という人にとっては、そこはあまり居心地の良くないトコロだ、だから、私たちは、アメリカにやって来た」

「何か、天谷さんの記事と同じようなストーリーだね」

「そうなんですよ」

「すごくわかりやすい話だね。で、そのご夫婦はどうなりました?」

「アレックスさんは、シカゴのビジネススクール卒業してからニューヨークの投資銀行に就職して、偉くなってお金持ちになりました。就職する前に改名して苗字の方はブルームバーグとか何かバーグの付く銀行家みたいな名前に変えてました。元々ユダヤ系の方で、そのコミュニティのお力で亡命出来たようなお話も聞いたし…」

「今でも交流があるの?」

「いやもう身分が違っちゃいましたから…最後にお会いしたのは八〇年代後半でしたか、仕事で東京に来られた折に、米国大使館に併設されていた、アメリカンクラブのプールで泳いでるからって電話をいただいて、プールから上がってランチをご一緒しました。米国滞在がもう一〇年を超えてて、グリーンカード(永住権の証明)をもらった日に、奥様がケーキ焼いて、ご夫婦でお祝いしたって言ってましたね」

「ふうん、アメリカに渡って自由主義を謳歌したっていう事ね」

「そうですね。奥様のマリアナさんもとても綺麗な方でした」

「そこ、大事なポイントですか?」

「そうですね。美しいものは…」

「すべて正しい…」

 土田が追加のコーヒーとチキンのサラダラップを注文した。

    ***

「なるほど。それで、さっきの話の続きだけど、中国については、これからどうなんだろうね?」

「まあ、今の中国は、社会主義だか共産主義だかわかりませんが、一部に物凄(ものすご)いお金持ちがいるっていう点では、資本主義よりもっと資本主義的なのかもしれませんね」

「大中華主義とか言いますよね、ロシアともかなり違う、中国独自の社会体制っていう感じがしますね。まあ、我々が知り合った中国の人たちは、皆、働き者のお人好しばっかりだったから、そういうお金持ちとは縁が無いかもしれないね」

「で、会社同志の交流は出来るんですけど、個人の消息については中々つかめないんですよね」

「だから、情報統制っていう事でわからない事がすごく多いのと、特に最近は日本を含めた周辺諸国と殆ど軍事的に揉めてるでしょう。だから日本の会社も結構工場を東アジアに移したりしてるよね」

「自国の体制に自信があれば、そんなに隠さなくても良いように思いますけど、今は中国に工場を残してるトコも東南アジアの拠点を強化してるようなんですが、その東南アジアの工場のシステムが、ハッキングに遭って停止してしまって、そのハッカーの発信元が、どうも中国じゃないかとか、中々良いニュースになりませんね」

「基本的に人もモノも豊かな中国なんだから、もっと周りの国と、仲良く、平和的に交流すれば、本当にアジアの盟主になれると思うんだけどね」

「共産主義と民主主義って相容れないモノでもないと思うんですよ。例えば中国共産党だって、一党独裁じゃなくて、第一共産党、第二共産党、第三共産党とか複数あれば、国民がその中から好きなリーダーを選べる訳だから、良いんじゃないかと思いますけど…まあ良く調べると、中国国内に別の政党もあるみたいですけど、支持率が一%に満たないとかとりあえず独裁じゃないよっていう言い訳みたいに、その存在を認められてる感じなんですよね」

「ふうん、そうなんだ。土田さん、案外詳しいね」

「あゝ、前の会社で輸出許可申請やってた時に、ネットとか、中国も認めているサイトとか色々な情報を調べました」

「お互い似たような体制だったら、話が早いと思うんだけどね」

「『中国でおかしいのは共産党だけだ』っていう話は、仕事をしてた時に沢山の中国の人から聞きました。特に、中国の共産党政権に強く反対って訳ではなくて『中国の共産党政権は他の国の政府とはかなりやり方が違うかもしれないけど、俺たち中国のビジネスマンは普通だよ』っていうニュアンスのようですけど、とにかくですね、共産主義でも専制政治と結び付かなければ、民主主義の実現は可能だと思うんですよ」

「どういう事?」

「何か、面倒くさい話ですけど、僕らが学生の頃って、近代経済学とマルクス経済学とか言って、みんなマルクス、エンゲルスの本も、少しですけど読まされましたよね」

「そうそう、労働価値説とか言って、どの労働者の働く価値も一緒だとか、納得いかなかったけどな」

「そうですね。ところが共産主義の組織論ってマルクスじゃなくてレーニンの『国家と革命』っていう本に書いてあるんですよ」

「ふうん」

「そこにはですね、リーダーは選挙で決める、ってはっきり書いてなくて、ただ『皆の中の第一人者がリーダーになる』って、書いてあるんですよ。当初は書いた本人のレーニンがリーダーだったんですけど、その後、スターリンになっちゃったでしょう。リーダーになる人が優しさのある人だったら良かったんですけど、リーダーが暴君だったら、すぐ専制政治になっちゃうじゃないですか」

「なるほど」

「現にNHKの『映像の世紀』か何かで、ロシア革命の百年みたいな番組をやってた中で幾つかのエピソードがありましたけど、確か晩年のレーニンが、『後継者を(トロツキーじゃなくて)スターリンにしたのは間違いだった』みたいな事を言ってましたよね」

「そうだったかも…」

「しかし、その偉い人、リーダーの気持ちが変われば、専制政治も意外と簡単に変えられると思うんですよ」

「どういう事?」

「ええ、簡単に言うと、『クリスマスキャロル』の『スクルージ』みたいな話になれば良いと思うんですけど…」

「やあ、まだ良くわからんけど…」

「あれって、冷酷な金貸しのスクルージが、クリスマス・イヴの晩に過去と現在と未来の精霊の力を借りて自分の来し方行く末を見つめ直して心を入れ替えて、クリスマスの朝に善き人として歩み始めるっていう話でしょう。それを何とか専制君主というか、独善的なリーダーにやってもらえれば解決するんじゃないかと思うんですよ」

「それってすごく難しいんじゃないの?第一にその、精霊とか神様とか、そういう専制者にアドバイスというか、その眼を覚まさせる人というか、そういう役割の人とか、機関が必要なんじゃないの?それは、誰にやらせるの?」

「猫の首に鈴を付けるっていう仕事ですね」

「ジェームス・ボンドやイーサン・ハントがいる訳じゃないからね」

「はあ、確かにそれが一番難しいと思います。国でも、会社でも、あるいは最近話題になった音楽学校や大学でも、偉い人って、誰も見てないトコロで悪い事やりますよね」

「そうだね」

「だから、そうならないように、国だったら『法の支配』とか会社だったら『内部統制』とか、組織の序列とは別の場所から監視する眼みたいな制度があるじゃないですか」

「いや、だけど共産党の中に内部監査会なんか作れる訳ないだろ」

「そりゃそうですけど…」

「それに、自由主義諸国の『法の支配』にしても企業の『内部統制』にしても、実際には形ばかりで、結果的に偉い人の思い通りに運んでしまう事が多いんじゃないの?」

「そうですね。しかし、昔っから日本じゃ『お天道様はお見通し』って言って、悪い事をすれば天の神様が見ていて罰が当たるって、教わりましたよね。どういう社会制度のリーダーでも何か人智を超えた存在があって、そういうモノをおそれるっていうんですかね、そういう謙虚な気持ちが無いと、結局長続きしないと思うんですよ」

「だけど、社会主義、共産主義っていうのは宗教とか神様を認めないんだろう?」

「でも、ロシアにはロシア正教がずっとある訳だし、中国だって、福建省には仏教寺院が沢山あるし、チベットだって内モンゴルだって土着の宗教を信じてる訳だから、為政者にだって何らかの宗教心は残ってると思うんですよ」

「土田さんは、人間を信じるってわけだ」

「そうですね。だって、旧ソビエトからアメリカに来たアレックスにしても、あるいは中国で我々がお会いした沢山のビジネスマンも、基本的に我々と全然変わらないんだから、政府の偉い人たちだって、人間としての資質はそう変わらないと思うんですよ」

「でも悪いヤツは死ぬまで悪いヤツなんじゃないの?」

「いや、スターウォーズだと、悪の化身みたいなダースベーダーが息子のルークとの戦いの中で心の奥にあった善き心を取り戻して、ジェダイとして死んでいく、なんていう話もあったでしょう?」

「そりゃ映画の中の話だよ」

「でも広岡さん、最近思うんだけど、地球っていう名前のこの星は意外と狭いと思うんですよ。それで、今世界で起こってる事って、もう殆どスターウォーズの世界だと思うんですよね」

「そうかね」

「ええ、だって二十世紀から二十一世紀の今までの間に、科学技術だけがお化けみたいに発達して、いくつかの国ではもう数発で地球を滅亡させる事のできる兵器を持って、ダークサイドとフォースを信じる善い方の集団に別れて戦い続けている、なんて、正にスターウォーズそのものじゃないですか」

「何か、段々難しい話になって来たね」

 広岡がトイレに立って、暫くすると戻って来た。

    ***

「あゝ、広岡さん、今日はこれくらいで止めときましょう。何れにしても中国がもっと、周囲に開かれた友好的な国になっていくならば、中国の夢と日本の夢が一緒になるみたいな事も可能だと思うんですよ」

「そうかもね」

「だって、我々の経験からいっても、どこの国でも普通の人たちの考え方にそれほどの差は無い訳だから、現在のままの力関係を維持しながら平和を志向していくっていう事に異論はないのでは?」

「でも、中々そういう方向に動いてくれなかったら?」

「その場合は、とりあえず現在の力関係を維持していく事に全力を挙げるしかないんじゃないですか」

「その通りだね」

「それは、政治も経済も国境も軍事も現状維持っていう事です」

「軍事もですかね?」

「そりゃ、だって、スターウォーズ見たって、ダークサイドの軍隊が一番大きくて強そうだけど、ジェダイの方だってある程度戦えるだけの戦力は備えている訳だから『丸腰』で生きていける国なんて、無いんじゃないですかね」

「うん、そうかもね」

「マルタみたいな小さい国でも、立派な軍隊はあるようですけど、例えば北イタリーのレリチ(Lerici)っていう石の産地にも近い、港町があって、近くに古いお城のある観光地でもあるんですけど、そこの静かな湾の端の方に大きな軍艦が停泊してる事があります。ローマにも軍用の空港があって、イタリー人と日本人が話しているとすぐ『次はドイツ抜きでやろうな』って言うんですよ。ドイツの石屋は『イタリーは弱いから、次はイタリー抜きでやろうな』って言うんですけどね」

「昔の三国同盟の話ですな」

「何れにしても、自分の国の現状を維持するために、軍隊を持っているのが普通だと考えているのが殆どの国の人で、日本みたいに、みんなで『お花畑』みたいな話してる国は他にはないような…」

 店の外を行き交う人たちを眺めながら、何となく、スティングの「フラジャイル(Fragile)」の歌詞が浮かんで来た。

「戦いの血を洗い流す雨が(つぶや)く、私たちは何と壊れやすい存在なのかと…(On and on the rain will say, How fragile we are how fragile we are)」

 今の地球が一種のスターウォーズのような世界だとして、この星は小さくて本当に壊れやすい存在だと土田は思った。そうであるならば、若者も老人も今出来る事に全力を尽くすべきではないのか。愛だの恋だのと言ってる場合じゃない。いや、それも大事だけど…

「土田さん、どうしたの?ボンヤリして…」

「あっ、失礼しました」

「じゃ、またお会いしましょう」

「そうですね」

 広岡の後ろ姿が駅ナカの雑踏に紛れて見えなくなった。改札口を通過した土田の瞼に、何となく、中国の昔の友人、北京の楊さん、福州のテレサ、五蓮の許青年や上海の蔡女史の顔が浮かんで来た。

(皆、どうしているかな)

(元気があるうちに、また中国で誰かに会えると良いな)

と思った。叶わない望みかもしれないが…

少し混み合って来た夕方の電車の中で、土田がスマートフォンにイヤホンを付けてお気に入りのテレサテンをユーチューブで聞き始めた。音楽は気分転換に最高だ。彼女のベストアルバムにも勿論「香港」は入っている。ツーコーラス目のサビの部分に入った。

*どこへ私はたどり着くの

*どこへ心を連れてゆくの

この小さな星がどこへ向かおうとしているのか、世界の誰もまだ知らない。

(了)


※この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。


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― 新着の感想 ―
懐かしい中国や、私には見えてこなかった中国を見せて下さり、ありがとうございました。 最初の頃は、まだ兌換券が使われていた時代でしょうか。私が中国に滞在したのは2001年でしたので、2002年ごろの様子…
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