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壁の向こうの君が  作者: 蓮太郎


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11/19

友達。

「おはよう。」

(今日は、詩音くんと水着を買いにいく。試着して・・・見てもらう。

ドキドキが止まらない。)


「おはよう。」

(美琴、なんだかいつもと違うな。

何かあったのかな?)


二人は、百貨店へゆっくりと歩く。


「美琴、大丈夫か?」


「えっ?何が?」


「なんだかいつもと違うから。」



「えっ?そう?

大丈夫、大丈夫。」


「そっか。何かあったなら言ってくれよ?」


「うん。今は毎日楽しいよ!

だから心配しないで!」


「うん。良かった。」




「着いたー!先に詩音くんの水着見に行こっ!」

百貨店に着くと、美琴はいつもの美琴に戻った気がして、詩音は安心した。


美琴は、詩音の手を取り引っ張る様に水着売り場へと向かう。


美琴は、売り場に着くと、自分の水着を選ぶかの様に物色し始めた。


「うーん。これかな〜。あっ、これもいいかも!」

(これは俺に決定権は無さそうだ。

母さんと買物に来ている様だ。でも、美琴、楽しそうだな。)

そんな事を思いながら見ていると、美琴は水着を持って駆け寄ってきた。


「詩音くん!これにしよっ?」


「あ、うん。」


「・・・ごめん。私が選んじゃダメだよね。詩音くんも見てみて。」


「いいよ。これ気に入った。」


「そう?じゃあ一応、試着する?」


「試着?いいよ。これにする。」


「う〜ん。じゃあ、はいっ!」

美琴は、自分の選んだ水着を詩音に渡す。

詩音は、レジに向かい水着を購入した。


「買ってきたぞ。」

詩音は、ベンチに座る美琴に、嬉しそうに声をかけ、隣りに座った。


「うん。楽しみだな〜、海!」

(私の選んだ水着買って嬉しそう。

良かった〜。)


「そうだな。楽しみだ。」


「じゃ、次は私の水着だね。」


「うん。」


「行こっ!」

美琴は、立ち上がり詩音の手を取った。


詩音は、水着売り場の前で立ち止まる。

「どうしたの?」


「俺、ここに入るのか?ここで待ってていいか?」


「ダメー!私も男性の水着売り場入ったんだからね〜。」


「分かったよ。」

詩音は、渋々水着売り場へ足を進めた。


「詩音くん、これどう?似合いそう?」


「あ、うん。」

詩音は辺りをキョロキョロと見回し、不審者の様に落ち着きが無い。


(詩音くん、ちゃんと見てない。

よしっ、試着作戦結構だ。)


「じゃぁこれ試着しよ〜。」


「うん。」


「ここで待ってて。試着したら見てね。」


「うん。」


バタン。

美琴は試着室のドアを閉めると、服に手をかける。

(ドア一枚だけしかない。向こう側には詩音くんがいる。何だかドキドキする。)


美琴は、水着に着替えドアを開ける。

詩音は、背中を向けていた。


「詩音くん、どう?」

美琴が声をかけると、詩音が振り返った。


「わぁ!」

詩音は、美琴を少しみただけで、背中を向けてしまった。

(む、胸が!胸が半分出てますけど!

見れない。これはダメだろ!)

「詩音くん、ちゃんと見てよ!」

美琴は、詩音を追い詰める様に言う。


「いや、ちょっとその水着は!」

詩音は、背中を向けたまま言った。


「こっち向いて。」

美琴は、詩音の両腕に手をかけ、クルッと回した。


「どう?」


「・・・。」

詩音は、顔を赤くして黙っている。


「わぁ!大変!」

美琴は、詩音の顔を見て騒ぎ出した。


「な、何?」


「は、鼻血!」


「えっ?」

詩音は、鼻血を手で覆う。


美琴は、急いでカバンからティッシュを取り出すと、詩音の鼻に突っ込んだ。


「は、恥ずかしい。

水着売り場でティッシュを鼻に突っ込んでいる男。まずいだろ。」


「ふふっ。可愛いよ。」


「と、とりあえず、その水着はダメだ。」


「何で?」


「ほ、他の奴らに見られたくない。」


「何で?」


「何で?・・・・何で?」


「何それ〜。分かった。じゃあ違うの選ぶ。」

美琴はドアを閉め、服を着た。

(他の人に見られたくない。だってー!キャー!)


美琴は、詩音が恥ずかしがりながら選んだ上下ともヒラヒラのついた、露出度の低い水着を買った。


水着を買い、二人は帰り道を歩いていた。

「あ〜、面白かったー!」

美琴は、満足そうだ。


「何だか疲れた。」


「だろうね〜。血を流してまで選んでくれたし、この水着は大切にするー。」


「血を流してって、鼻血だぞ。情けない。」


「ふふっ、そうだね。でも、色々嬉しい収穫がありました。」


「収穫?」


「べっつに〜!」

美琴は嬉しそうに歩く速度を速めた。


「何だよ収穫ってー。」

詩音は、美琴に追いついて問いかけた。


「ナイショ!」


「そうかよ〜。」

詩音はつまらなそうにしながらも、美琴といると楽しいと思いながら、美琴を見つめた。


そして念願の夏休み。


「わぁー海だー!」

詩音と美琴は、クラスメイト達と海に来ていた。

「早く気が選んて入ろうぜ!」

安藤は、大はしゃぎだ。


「じゃあ、私達着替えてくるね〜。」

(この子は〜佐藤渚さとう なぎさだったかな?私、詩音くん意外と関わらなさすぎだな。男女4人づつの、8人。いい機会だし、今日は仲良くなりたいな〜!)

美琴は心の中で、そんな事を思いながら、更衣室に向かった。



「えっ?みんな下に水着着てきたの?」

美琴は、周りの女子生徒を見ながら言う。

「その方が楽じゃん?」


「確かに〜。私海って小さい頃にきた以来だし、思いつかなかったよ。

私、もう少しかかるから、先に行っててー。」


「分かったー。」


渚達3人は、先にビーチへ向かって更衣室を出て行った。

美琴が着替え終わり、ビーチに着くと、詩音は3人の女子に囲まれていた。


(しまったー!詩音くんが囲まれてるー!)

美琴は、焦りを隠す様にゆっくりと詩音の元へ向かう。

「ごめん。お待たせ〜。」

詩音は、美琴の水着姿を見て、顔を赤らめた。


「詩音ちゃん水着可愛いー!」


「えっ?本当に?ありがとう!詩音くんに選んでもらったのー!」


「えーいいなー!」

(この子、マウント取ってきた。

付き合ってはないらしいけど、やっぱり高倉くんの事好きすぎなんだろうな。

別にいいけど、ちょっと心配になる。)

渚は、まっすぐすぎる美琴が気になっていた。


「おっ!みんなそろったな!海入ろうぜー!」

安藤は、大はしゃぎで走り出した。

他のクラスメイトも、海に走り出す。


「詩音くん、何話てたの?」


「えっ?」


「女の子達と。」


「なんか・・・俺と美琴がどういう関係かとか?」


「な〜んだ。」


「何で?」


「何でもない。それはそうと、詩音くん私の体は他の人に見せたくないのに、他の女子の水着に鼻の下のばしちゃってさ〜。ずるくない?」


「べ、別に鼻の下伸ばしてないぞ!?」

詩音は、浮気を疑われたかの様な剣幕で美琴に弁解した。


「まぁ、男の人は仕方ないよね〜。

行こっ!」

美琴は、少し不満気に手を差し出した。


「待てよ!」

詩音は、美琴の手を取りながら真面目な顔をした。


「な、何?」


「た、確かに・・・正直に言うと見てしまった。で、でも鼻血も出てない!心臓も正常だった・・・えっ?何で?」


「バカ!しらなーい!

行くよ!」

美琴は嬉しそうに詩音の手をひいて、海に走り出した。


「わぁー!」

バシャーン!

「ゲボゲボ。」


「ごめん!詩音くん大丈夫?」


「水飲んだ。ゲボゲボ。大丈夫。」


「ごめんねー。」


バシャーン!

「おーい!二人の世界かよー!」

安藤は、詩音と美琴に水をかけた。


「やったなー!」

美琴は、安藤に水をかけ返した。


「ほらっ!詩音くんもー!」


バシャーン!

「どうだ安藤!」


「ニ対一は卑怯だろー!おい!渚!手伝え!」


「えー。面倒くさいわー。」

バシャーン。

渚は、そう言いながらも、楽しそうに参戦する。


「あはははっ!」

楽しい時間が過ぎて行く。

美琴は、詩音がいなければ自分はここにきっといない。

そう思いながら、詩音を見つめた。



「あー!食べた!」

海ではしゃいだあと、海の家で昼ごはんを食べた。

「次はビーチバレーしようぜー!」

安藤は、ビーチボールを手に立ち上がった。


「私、ちょっと休憩。」

渚は、疲れた様子だ。

「ごめん私も。」

美琴も疲れを隠せない様子だ。


「何だよ〜。じゃあ、高倉は強制参加な!人数足りなくなるし!」


「えっ?・・・分かったよ。」

詩音は渋々、安藤に腕を引かれビーチに歩いて行く。


「みんな元気だね〜。」

美琴は、渚に話しかけた。

「私、佐藤渚。渚でいいよ。」


「あっ、私、」


「美琴。でいい?」


「う、うん。私の名前知っててくれたんだ。」


「嫌でも覚えるわよ。あなた有名人よ。」


「何で?」


「みんなのアイドル高倉くんを独り占めしてるって。あっ、今日来てる私を含めた三人は、高倉くんの事はかっこいい以外、何とも思ってないから安心して。」


「そっか。そうだよね。私、嫌われ者だよね。」


「まぁね〜。」


「バッサリだね。」


「私、包み隠すとか無理だから。

美琴、あなた一学期の最初の方、ずっと寝てたよね?何か訳あり?」


「う〜ん。」

美琴は、ほとんど話した事のない渚だったが、何だが信用できる相手だと思った。そう思うと、次から次に家の事、雨の日の公園の事、詩音がいないと頑張れない。そんな事が口から勝手に出て、話してしまった。


「なるほどねー。」


「な、なんか私ばっかり話してごめん。」


「気にしないで。私が聞いたんだから。」


「ありがとう。」


「家の事とか、高倉くんに話して楽になるならいいけど、高倉くんに話せない話は、私が聞いてあげるわ。」


「えっ?それって恋バナ?」


「そう。私、安藤が好きなんだ。」


「えっー?!そうなの?

・・・恋バナ、もう楽しい!」

美琴は、嬉しそう微笑んだ。


「高倉くんもそれっぽいけど、安藤も同じ系統なのよね〜。」


「好きとか分からん!みたいな?」


「そうそう。」


「・・お互い、苦労しそうだね。」


「これからは、相談のるし、のってね。」


「もちろん!よろしくね。」


「こちらこそ。」


そんな感じで、美琴と渚は、連絡先を交換した。


「あー!疲れたー!ジュース買おうぜー!」

美琴と渚の話が一段落すると、安藤達が戻ってきた。

美琴と渚は、安藤を見ると顔を見合わせて笑った。

「なんか二人仲良くなってない?何の話してたんだ?」

安藤は、不思議そうに首をかしげた。


『秘密〜。』

美琴と渚は、声を合わせて笑った。



駅からの帰り道。

美琴と詩音はゆっくりと歩いていた。

「ねぇ、詩音くん!」


「どうした?いつになく嬉しそうだな。」


「友達できた!」


「佐藤さん?」


「そう!連絡先も交換したー。」


「良かったな。なんか良く分からんが、俺も安藤と、交換させられた。」


「ふふっ。そうなんだ。」


「うん。強引だった。」


「でも、安藤くんと、渚は信頼できそうだよ?仲良くなれるといいな〜。」


「そうだな。」


「そうそう、夏祭り、4人で行かない?さっき渚から誘われてさ。」


「いいけど。」


「じゃあ決まりねー!楽しみが増えた。」

美琴は、嬉しそうだ。


「そうだな。今日も何だかんだ楽しかった。友達っていいものかもな。」


「そうだね!」


街灯の光が、二人を優しく照らしていた。


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