三、赤ずきん少女とオズの魔法使い。
※ お気に入り登録をしてくださった二名の方、本当にありがとうございます。心からお礼申し上げます。
セレアは森の妖精を見失ってしまいました。
「なんて素早い逃げ足なの……。まるでメタル・スライムね」
セレアは童話で言ってはならない――
「あーもう! わかってるわよ。ドラクエ・ネタを一度でいいから使ってみたかっただけよ」
セレアの賢さが1上がった。
「あんたが使うな!」
こんなとこで一人漫才してもつまらないと思ったセレアは――
「丸投げしてこないでよ」
とりあえず森を歩くことにしました。
「…………」
森を歩くことにしました。
「わかったわよ、歩くわよ! 歩けばいいんでしょ!」
大事なので二度――
「あーはいはい、もうわかったわよ」
伏線を回収してみました。
「無駄に伏線張ってんじゃないわよ!」
しばらく歩き続けていたセレアは、やがて森を抜けて広大な小麦畑が広がる一本道のカントリー・ロードに出ました。
「なんでそこを一息で言う必要があるの? 一文が長ければ短く区切ればいいじゃない」
歩いてたら……道、変わった。
「もういいわ。次進めて」
その道をしばらく進むと、小麦畑の中に第一村人を発見しました。
「ダーツの旅!?」
――あ、違った。人間だと思ったけど、意外と案山子でした。
「『意外と』ってどういうこと!?」
しかも顔はアンパンマン似です。
「どんな案山子よッ!」
案山子はセレアを見つけると満面の笑顔で駆け寄ってきました。
セレアはあまりの恐怖に悲鳴を上げてしまいました。
「リアルに怖いから普通に来て、普通に!」
案山子はセレアの側にたどり着くと、早速小麦畑に待機していた森の妖精に、全身のワラをむしられてしまいました。
「――って、いきなりどんな展開!?」
森の妖精は現場から一本のワラを持ち去り、そのまま逃走しました。
「推理小説!?」
ワラをむしられた案山子はセレアに助けを求めました。
「早くジャムおじさんにこのことを知らせて~」
「知らせてどーするの!? あの工場はパン以外は作ってないんですけど!」
「ワラを抜かれて力が出ない~」
案山子は気絶してしまいました。
――次話へ続く。
「嘘でしょ!?」