一、赤ずきん少女inワンダー異世界
『僕をこの世界に召喚してください。お願いします』
次の日。
赤ずきんの少女セレアは自宅ポストに届いた手紙を、じっと見つめていました。
「……召喚って、何?」
そこへ黒狼の少年がやって来ました。
「何してんだ?」
「見てわからない? 手紙読んでいるの」
「へぇ……誰から?」
「気になるの?」
「別に」
…………。
「知らない人から手紙が届いたの」
「気にしてねぇって言ってるだろ!」
黒狼の少年は顔を紅潮させて叫びました。
しかしセレアは無視するように手紙を見つめたまま小首を傾げました。
「召喚って、いったい何かしら? しかも『お願いします』って切実に書かれたら、なんとなく応えてあげなきゃって思うのよね」
「この世界のどこかにある『召喚』って食い物でも欲しがっているとかじゃないのか?」
「あるの? そんなの」
「探せば意外とあるかもな」
「探して見つかるモノなの?」
黒狼の少年はお手上げして言いました。
「さぁな。その手の話は森の妖精に聞けば何かわかるんじゃないのか?」
「村の長老じゃなくていいの?」
「童話に長老なんて出てこないだろ?」
「それもそうね」
セレアは納得しました。
「それじゃ、今から森の妖精に会って聞いてみることにするわ」
セレアは『召喚』という幻の食べ物を求めて、家を旅立つことになりました。
※ あー。なんか忘れている気がする……。