そして……。
※連続投稿しています。ご注意ください。
♪黒狼さんからお手紙着いた。白ヤギさんたら読まずに食べ……
「──あら」
セレアの母親は玄関先にいる白い子ヤギを見つけました。
「ちょっと待っててね。今お塩を持ってきてあげるから」
子ヤギは寄ってきて、口にくわえていた手紙をセレアの母親に差し出しました。
セレアの母親はそれを受け取りました。
宛名を調べましたが、どこの誰が誰宛に送ったものなのか書かれてありません。
「誰かしら? あ。もしかしたら、このヤギさんの飼い主の住所が書かれているのかもしれないわね」
セレアの母親は手紙を開けて見ることにしました。
手紙にはこう書かれてありました。
『セレアへ。
主人公なんだから寄り道だけはするなよ。
そして俺の話を真に受けて勝手に旅立つな。旅立つ時は声くらいかけろ。
ちなみに、あの手紙は俺が小さい頃サンタクロース宛に出した手紙だ。なんでその手紙が今頃になってそこに届いたのかは知らんが……。まぁ、旅から帰ってきたら連絡ぐらいしろよな』
セレアの母親は手紙を見て懐かしく微笑みました。
「セレアも年頃ね。いつの間にボーイフレンドを作っちゃって。この手紙も、まるで昔の私たちのようだわ」
セレアの母親は手紙を胸に寄せ、お空を見上げて言いました。
「あなた……。娘はあなたの血を継いで、立派な勇者になってくれました」
──数日後。
この世界の上空に、暗黒のドラゴンが現れたというのは……また別のお話である。