十一、赤ずきん少女の矛盾
※ 前書きに失礼します。
お気に入り登録してくださった一名の方、ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。
重症の案山子を背負ったセレアとサラは森の妖精を追いかけ走っていました。
セレアは悔しげに吐き捨てました。
「ったく、バカ妖精。何なの、あの前話の終わり方。完全に追いかけなきゃいけない展開になっちゃったじゃない」
サラが言いました。
「セレア。あいつやっぱり魔法使いオズのこと――」
「えぇそうよ。アイツは初めからこの展開を狙っていたのよ。第一弾の――あの時のようにね」
セレアは『最強☆赤ずきんちゃん ファースト・エディション』の話を思い返しました。
「――って、なんかタイトルの後半に違うのがくっついてるんですけど!」
では、せっかくの機会なので、ここらで回想シーンをはさみま――
「やらなくていいからね」
「セレア。誰と話しているの?」
サラは首を傾げました。
「気にしないで」
「セレア」
呼びかけて、サラは足を止めました。
セレアも足を止めました。
サラは怪訝に顔を曇らせ、
「ねぇ、セレア。あなたは一体何者なの? 物語を自由に動かせるとか、物語を簡潔にしないといけないとか、とても主人公らしくない。それに時々、どこかに向かって誰かと会話している。それはどうして?」
サラの鋭い意見に、セレアは言葉をつまらせました。
「え~と……」
「ねぇ、セレア教えて。あなたは一体何者なの?」
「そりゃぁ、私はこの物語の主人公だから――」
「それだけとは思えない」
サラはセレアを問い詰めました。
「ねぇ、本当のこと話して」
(言えない……)
セレアは気まずくサラから目をそらし、心の中で呟きました。
(これだけは話せないの。ごめんね……)
――次話に持ち越せません。
※ 今回のみ、ちょっとシリアスに掘り下げてみました。――が、大して意味はありません。次話はいつも通りです。